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職場を知る

看護師が訪問看護へ転職する前に。向く人と、始める準備

更新 2026年10月23日読むのに約6分

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訪問看護は、利用者さんの自宅で療養を支える仕事で、病棟とは動き方も、判断の置き場所も違います。制度の枠組み、向き不向き、始める前に確かめる準備を、順に整理します。

自宅へ1人で伺う仕事、って聞くと、ちょっと身構えちゃうよね。

どんな仕組みの中で動くのか、先に見てみよう。

訪問看護は、制度のうえでは何をする仕事か

訪問看護の定義は、介護保険法8条4項にあります(2026年10月時点の現行条文)。居宅要介護者(主治の医師が、治療の必要の程度について厚生労働省令で定める基準に当てはまると認めた人に限られます)に対して、その人の居宅で、看護師などが行う療養上の世話または必要な診療の補助、と書かれています。

厚生労働省の2023年5月の資料は、もう少し広く説明しています。病気やけがのために、自宅で継続して療養を受ける状態にある人に対して、自宅で看護師などが行う療養上の世話や診療の補助、という説明です。提供する側は、訪問看護ステーションのほか、病院や診療所からも行えます。この記事が主に扱うのは、独立した事業所である訪問看護ステーションです。

どのくらいの人が、どのくらいの事業所で働いているのかも、公的な統計で見られます。令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)では、2024年末に就業していた看護師のうち、病院で働く人が895,944人(65.7%)、訪問看護ステーションで働く人が91,022人でした。事業所の数は、令和6年介護サービス施設・事業所調査で、2024年10月1日現在、訪問看護ステーションが18,042事業所(前年は16,423事業所)です。

この数字から言えるのは、病院で働く人が多数派であること、訪問看護ステーションにも約9万人の看護師がいること、事業所が1年で増えていること、までです。「人手が足りない」「競争が厳しい」といった評価は、この数字だけでは決められません。

数字を見ると、ちょっと冷静になれるよね。

1件の訪問は、指示書・計画・報告の流れの中で動く

自宅に伺う仕事と聞くと、看護師の判断だけで動く姿を思い浮かべやすいかもしれません。実際の制度では、1件ごとの訪問は、主治医とのつながりの中にあります。厚生労働省の資料が示している順番は、次のとおりです。

訪問看護の提供の流れ(厚生労働省の資料より)
  1. 指示書を受ける主治医の訪問看護指示書
  2. 計画をつくる希望・心身の状況・指示を踏まえ、目標と訪問看護計画書
  3. 看護を届ける指示書と計画にもとづく訪問
  4. 主治医へ報告訪問日・看護の内容・病状などを定期的に

病棟で「指示を受けて動く」のと、地続きなんだね。

保健師助産師看護師法37条は、主治の医師の指示があった場合を除いて、診療機械を使ったり、医薬品を授与したりしてはならないと定めています(臨時応急の手当などを除く)。診療の補助は、医師の指示のもとで行う、という考え方で、訪問看護でも変わりません。

つまり、利用者さんの前で1人になる時間が長くても、背後には「指示書」「計画」「報告」という線がつながっています。迷ったとき、誰にどう連絡するかが決まっているかどうかは、事業所を選ぶときに確かめたい点です。

医療保険か介護保険か、ステーションの体制はどうか

訪問看護には、医療保険と介護保険のどちらで行われるかという区別があります。利用する人の年齢、病気、状態で決まり、制度の大づかみは、次のとおりです。

訪問看護の保険の、大づかみな仕組み
場面仕組み
原則(要介護の人)介護保険の給付が、医療保険の給付より優先される
例外要介護の人でも、末期の悪性腫瘍・難病患者・急性増悪などで主治医の指示があった場合などは、医療保険で訪問看護が行われる
ステーションの指定介護保険の指定訪問看護事業所の指定を受けると、医療保険でも指定を受けたものとみなされる
病院・診療所が行うとき介護保険では指定訪問看護事業所とみなされる。医療保険では、診療報酬の在宅患者訪問看護・指導料などを算定できる

2023年5月の厚生労働省の資料にもとづく概要です。個々の利用者さんがどちらになるかは、主治医や事業所で確かめてください。

利用者さんごとに、どちらかが決まるんだね。

ステーションの人員の決まりは、指定居宅サービス等の基準の60条・61条にあります。看護職員(保健師、看護師、准看護師)は常勤換算で2.5以上、そのうち1人は常勤です。管理者は、専らその職務に従事する常勤の人(管理上支障がなければ、他の職務との兼務も可)で、やむを得ない理由がある場合を除き、保健師か看護師でなければなりません。これは指定を受けるための最低ラインで、実際に何人の看護師がいるかは事業所ごとに違います。ただ、基準の書き方は、病棟のように同じ時間帯に大勢の看護師が同じ場所にいる前提ではありません。看護職員の人数と、管理者以外のメンバーの経験の幅は、見学で聞いておきたい点です。

向いている人の特徴と、始める前の準備

向き不向きは、性格の良し悪しではなく、仕事の性質との相性です。ここまでの制度の流れから考えて、相性が出やすい点を挙げてみます。統計や調査で確かめた「向いている人の特徴」ではなく、仕事の作りから考えた目安です。当てはまらない項目があっても、不合格という意味ではありません。

  • 生活の場に入る意識を持てる:自宅は、利用者さんの暮らしの場。物の置き場所や家族の習慣を尊重できる
  • 少人数で動くことに抵抗が少ない:病棟のように、すぐ隣に先輩がいる状況ではない時間がある
  • 指示書・計画・報告という書面の流れを、丁寧に回せる
  • 病気だけでなく、暮らし全体を見て考えるのが苦にならない
  • 移動や訪問の予定を組み立てるなど、自分で段取りをつけるのが苦にならない

合いやすい働き方

1人ずつの利用者さんと、長めに関われるほうが性に合う。暮らしの工夫を一緒に考えるのが好き。段取りを自分で組むのが苦にならない。

迷いやすい点

急な判断を1人でする場面に強い緊張を感じる。大勢のチームで動くほうが安心する。記録や連絡の書面が負担に感じやすい。

病院から移る場合は、病棟の経験が、そのまま強みになる場面があります。観察する力、変化に気づく力、医師へ報告する力は、訪問先でも同じように求められます。一方で、機器や物品が整った病棟と違い、自宅にあるものを工夫して使う場面も出てきます。同じ在宅・介護の分野でも、通所の職場の違いはデイサービスの看護師の仕事で、施設の違いは老健と特養の違いで整理しています。

志望動機は、「夜勤が減らせるから」だけでは、面接で深まりにくいことがあります。何を大切にしたいのかを一度書き出すと、見学で聞く内容も決まります。書き方は訪問看護の志望動機に、まとめました。入ったあとの働き方を具体的に思い描きたいときは、時刻つきの例を載せた訪問看護師の1日の流れが使えます。夜間や休日の電話当番がどう扱われるかは、訪問看護のオンコールの記事で、待機の扱いと手当の見方まで整理しています。

見学・面接で聞くことのメモ

ここまで確かめてあれば、見学のときの質問が決まったね。ゆっくりで、いいからね。

よくある質問

訪問看護は、病院の経験が何年くらい必要ですか?

法令では、訪問看護ステーションの看護職員に年数の条件は書かれていません(管理者は保健師か看護師であること)。実際の応募条件は事業所が決めているので、求人票と面接で、未経験者の受け入れや同行訪問の期間を確かめてください。

訪問看護は、看護師が1人で判断するのですか?

訪問する時間は1人でも、制度の流れは、主治医の指示書、訪問看護計画書、主治医への定期的な報告でつながっています。迷ったときの連絡の流れは事業所ごとに違うため、見学で聞いておくと安心です。

訪問看護の事業所は、増えていますか?

令和6年介護サービス施設・事業所調査では、訪問看護ステーションは2024年10月1日現在で18,042事業所、前年は16,423事業所でした。増えているのは事実ですが、働きやすさや競争の強さは、この数字だけでは分かりません。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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