税金・社会保険・扶養
看護師の扶養内で働く基準。106万・130万の壁と税の壁の見分け方
更新 2026年10月23日読むのに約7分
「壁」は一つではなく、社会保険・扶養の認定・税の3つに分かれ、基準の数字も、確かめる窓口も違います。この記事では、2026年10月の変更を踏まえて3つの壁を分け、確かめる順番を整理します。
「壁」って言葉が多すぎて、頭がぼんやりしちゃうよね。
3つに分けると、ほどけてくるよ。
「壁」は、3つの別の話をまとめた言葉
厚生労働省は、会社員の配偶者などで一定の収入がない人は、被扶養者(第3号被保険者)として、社会保険料の負担が発生しないと説明しています。収入が増えて一定の額を超えると、保険料の負担が発生し、手取りが減るため、働く時間を調整する人がいます。その収入の基準(年収に直して約106万円、130万円)が、「年収の壁」と呼ばれます。
- 社会保険の壁:自分の勤め先の健康保険・厚生年金に入るかどうか。基準は週の時間などで、いわゆる106万円は2026年10月に賃金要件が撤廃されました。
- 被扶養者の壁:家族の健康保険の扶養に入り続けられるかどうか。基準は原則として年収130万円未満です。
- 税の壁:所得税・住民税がかかるか、家族の控除の対象になるか。基準は、令和何年分かで変わります。
- 週の時間を出す契約の所定労働時間
- 社会保険に入るか週20時間・規模など
- 扶養に残れるか見込まれる年収
- 税の線を見る令和何年分か
- 窓口で確かめる人事・保険者・役所
一つずつ、順番に見れば、ほどけるよ。
社会保険の壁:賃金の線は消え、週の時間が軸に
短時間で働く人が、自分の勤め先の社会保険(厚生年金・健康保険)に入る要件のうち、所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金要件は、2026年10月1日に撤廃されました(日本年金機構)。残っている要件は、週の所定労働時間が20時間以上であること、学生ではないこと、2か月を超えて雇用される見込みがあること、勤め先の企業規模(従業員51人以上)です。年収約106万円を超えなくても、週20時間以上で働くなら、社会保険に入る場合があるという意味です。
企業規模の要件は、段階的に広がります。2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上、2035年10月から規模を問わず対象になります。従業員数は、事業所ごとではなく企業の単位で、厚生年金の適用対象者の数で見ます(厚生労働省)。勤め先が表のどの段階に当たるかは、人事で確かめます。50人以下でも、労使の合意があれば、対象になる場合があります。
| 従業員数 | 対象になる時期 |
|---|---|
| 51人以上 | 現在(2027年9月まで) |
| 36人以上 | 2027年10月から |
| 21人以上 | 2029年10月から |
| 11人以上 | 2032年10月から |
| 10人以下 | 2035年10月から |
厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトによる。従業員数の数え方は、勤め先の人事で確かめます。
勤め先の規模で、時期が変わるんだね。
なお、通常の労働者の所定労働時間・日数の4分の3以上の人は、規模にかかわらず、適用事業所で働くなら加入します(時間からの見分け方は短時間正社員と時短勤務)。雇用保険は別で、現行は、週20時間以上、31日以上の雇用の見込みが基準です(週10時間以上への拡大は2028年10月)。
ここからは、シフトの話に引きつけて、考えてみよう。
被扶養者の壁:130万円と、契約から見込む認定
家族の健康保険の扶養に入る基準は、原則として、年間収入が130万円未満であることです。同居なら被保険者の年間収入の2分の1未満、別居なら被保険者からの援助額より少ない、という条件も付きます。認定される人が60歳以上の場合は180万円未満、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)なら150万円未満です。
2026年4月1日から、認定の見方が変わりました。労働契約(労働条件通知書など)に定められた賃金(諸手当・賞与を含む)から見込まれる年間収入が基準額未満で、ほかの収入が見込まれなければ、原則として被扶養者として扱われます。ただし、契約期間が被扶養者になった日から1年未満の場合、シフト制など労働時間が不明確な場合、手当の金額が不明確な場合は、この方法で認定できません。看護師のパートにも、シフト制で働く人がいるので、契約書に、時間と日数がどう書かれているかが、大事になります。
人手不足による労働時間の延長などで、一時的に収入が130万円以上になったときは、事業主の証明を添えて、原則、連続2回まで、被扶養者として認められます。3年連続になると、扶養を外れる手続きになります(協会けんぽの案内)。130万円以上になると、被扶養者から外れ、自分で国民健康保険・国民年金などに加入する形になります。
たとえば、時給2,000円、1日6時間で、年52週働く、という例で、週2日なら約125万円(2,000円×6時間×104日)、週3日なら約187万円(同×156日)です。賞与や交通費は含めない、単純な計算の見本で、実際の判定は、契約から見込まれる額で行われます。週2日(週12時間)や週3日(週18時間)は、週20時間未満なので、社会保険の適用拡大の対象外です。それでも、収入が130万円以上になれば、扶養は外れます。社会保険の壁と被扶養者の壁が、別の話だという例です。
配偶者の勤務先に、家族手当や配偶者手当がある場合は、その支給の基準が、会社ごとに別にあります。公的な基準ではないので、家族の勤務先の規程で確かめます。
税の壁:令和8年分から、基準が動く
税の壁は、年分を付けて読みます。配偶者控除の対象になる配偶者の合計所得は、令和6年分以前が48万円以下(給与だけなら収入103万円以下)、令和7年分が58万円以下(同123万円以下)、令和8年分が62万円以下(同136万円以下)です(国税庁)。令和8年分の改正は、2026年12月1日の施行で、令和7年分と混ぜないようにします。
パート本人の所得税は、国税庁のタックスアンサー(No.1800)によると、令和8年分は、収入が178万円以下でほかに所得がなければかかりません。給与所得控除の最低保障額74万円(No.1410)と、合計所得132万円以下の人の基礎控除104万円(No.1199)を足した額です。令和8年12月1日の施行で、令和8年分から適用されます。住民税は別の仕組みで、厚生労働省の資料では、令和9年度の住民税の所得割は年収119万円まで課税されず、均等割は市町村の非課税の範囲によるとされています。自分の住民税は、市区町村に確かめます。
社会保険の壁
加入すると、自分で保険料を負担し、手取りが変わります。基準は、週の時間・規模・見込み年収などで、窓口は保険者や年金事務所です。
税の壁
所得税や住民税がかかるか、家族の控除の対象になるかの基準です。令和何年分かで数字が違い、窓口は税務署や市区町村です。
配偶者特別控除は、令和8年分で、配偶者の合計所得が62万円超133万円以下の範囲で適用され、控除額は段階的に下がります。給与だけの場合、厚生労働省の資料は、パートの年収が136万円超から207万円以下の範囲と説明しています。毎月の給与から引かれる所得税は、令和8年11月までは変わらず、令和8年分は12月の年末調整で、改正後の控除を使って精算されます。令和9年1月1日以後に支払う給与からは、「令和9年分 源泉徴収税額表」が使われます(国税庁 Q&A)。年の途中で辞めて年末調整を受けない人は、改正後の控除を受けるために確定申告が要ります。
窓口の早見表と、確かめる順番
- 勤め先の人事:週の所定労働時間・日数、契約の内容、従業員数の段階
- 家族の勤務先と、加入している健康保険:被扶養者の認定、配偶者手当の基準
- 年金事務所:社会保険の加入、国民年金の手続き
- 税務署・国税庁のサイト:所得税、配偶者控除など
- 市区町村:住民税、国民健康保険
働き方の種類や、パートの時給の見方は、看護師のパートで働く前に決める順番にまとめています。お金まわりの確かめ方は、退職金がない職場での確かめ方にもあります。次に、仕事中のけがの補償は労災で扱っています。
家族のことも関わる話だから、ひとりで抱えこまなくていいよ。
時間、扶養、税の順で見れば、窓口でも迷わないね。
よくある質問
扶養内で働くには、年収をいくら以内にすればよいですか?
壁は3つあり、一つの数字では決まりません。社会保険は週20時間以上などの要件、被扶養者の認定は原則年収130万円未満、税は令和何年分かで数字が違います。家族の勤務先の健康保険と、勤め先の人事で確かめてください。
106万円の壁は、なくなったのですか?
2026年10月1日に、月額8.8万円以上という賃金要件が撤廃されました。ただし、週20時間以上、学生ではない、2か月を超える見込み、企業規模の要件は残ります。誰でも社会保険に入るわけではありません。
パートで週3日働くと、扶養から外れますか?
週の日数だけでは決まりません。契約から見込まれる年間収入が基準額未満かどうかで見られます。週3日・1日6時間は週18時間で、社会保険の適用拡大の対象外ですが、収入が130万円以上になれば、扶養を外れます。
出典・参考(公的な情報)
- 「年収の壁」への対応(厚生労働省)
- 2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました(日本年金機構)
- 社会保険加入の要件(社会保険適用拡大特設サイト)(厚生労働省)
- パート・アルバイトの方への社会保険の適用について(厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト)
- 厚生年金保険法 第12条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて(通知)(厚生労働省)
- 労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて(日本年金機構)
- 令和8年度被扶養者資格の再確認について(全国健康保険協会)
- 第3号被保険者(日本年金機構)
- パートタイム・有期雇用労働法のあらまし(2026年10月1日改正省令等施行)(厚生労働省)
- No.1180 扶養控除(国税庁)
- No.1191 配偶者控除(国税庁)
- No.1195 配偶者特別控除(国税庁)
- No.1410 給与所得控除(国税庁)
- No.1199 基礎控除(国税庁)
- No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか(国税庁)
- 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月)(国税庁)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。