雇用形態の比較
看護師の派遣の仕組みとメリット・デメリット。病院で働けない理由も
更新 2026年10月23日読むのに約9分
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看護師の派遣は、病院・診療所では原則禁止で、例外が決まっています。この記事では、派遣で働ける場所と働けない場所、期間や日雇の決まり、2026年10月に変わった待遇の扱いを、法令と通知の範囲で整理します。
病院では、看護師の派遣が原則できないって、知ってた?
結論から:病院・診療所での看護師の派遣は、原則できない
労働者派遣法4条1項3号は、業として行う派遣により労働者に従事させることが適当でない業務として政令で定めるものについて、労働者派遣事業を行ってはならないと定めています。同条3項は、派遣先がその業務に従事させることも禁じています。医療関係業務は、この政令(労働者派遣法施行令2条)で定められています。
看護師の業務については、保健師助産師看護師法2条・3条・5条・6条・31条2項に規定する業務で、次の場所で行われるものが対象です。病院と診療所(ただし厚生労働省令で定める診療所を除く)、助産所、オンライン診療受診施設、介護老人保健施設、介護医療院、医療を受ける者の居宅です。令和3年(2021年)の厚生労働省の通知は、病院等では、派遣される医療資格者を特定できずチーム医療に支障が出るとの指摘などを考慮して、原則禁止とされていると説明しています。
ここでいう派遣は、派遣会社に雇われた人が、別の職場に送られて、そこで指揮命令を受けて働く形です。病院やクリニックが直接雇うパートや非常勤、単発のアルバイトは、派遣とは別の形になります。「看護師 派遣」で検索して出てくる求人が、どの形のものかを、場所と雇い主から見分けることが出発点です。
| 場所・場面 | 派遣の扱い |
|---|---|
| 病院・診療所(除外される診療所を除く)・助産所 | 原則禁止 |
| 介護老人保健施設・介護医療院・患者さんの居宅 | 原則禁止(条文に含まれる) |
| 産休・育休・介護休業の代替(特定の人の休業期間) | 例外として可能 |
| 紹介予定派遣 | 例外として可能 |
| へき地の病院等(看護師・准看護師) | 例外として可能(令和3年4月から) |
| 特別養護老人ホームなどの社会福祉施設等 | 通知は派遣が認められると説明。個別は確認 |
法令・通知(令和3年3月2日)による。個別の施設や求人の可否は、派遣会社・都道府県労働局に確認します。
まず、場所がどの行に当たるかを確かめよう。
例外で働ける3つの形
1つ目は、紹介予定派遣です。法2条4号は、派遣元事業主が、派遣の開始前または開始後に、派遣労働者と派遣先について職業紹介を行い、または行うことを予定してするものと定義しています。派遣で働きながら職場を確かめ、その職場で直接雇用に進む形です。厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」は、派遣先が紹介予定派遣を受け入れるとき、6か月を超えて同じ派遣労働者を受け入れないこととしています。つまり、試しに働く期間は最長6か月が目安です。
紹介予定派遣のよいところは、入職を決める前に、病棟の雰囲気、夜勤の組み方、教育の進め方を、実際に働いて確かめられることです。見学や面接だけでは分からない「入ってからのずれ」を、先に小さくできます。指針は、派遣先が職業紹介を希望しなかったときや雇用しなかったときに、派遣元の求めに応じて、その理由を派遣元に書面などで示すことも定めています。直接雇用に進まなかった場合も、派遣会社を通じて理由を聞き、次の職場選びに使えます。
2つ目は、派遣先の労働者の休業の代替です。法40条の2第1項4号・5号は、派遣先の労働者が産前産後休業・育児休業(およびこれに準ずる休業)、または介護休業をする場合の、その労働者の業務を挙げています。条文は「その労働者の業務」で、特定の人の休業期間に限られます。産休代替なら、いつでも病院に派遣できる、という意味ではありません。働く側から見ると、期間がはじめから区切られている仕事なので、ブランクのあとに病院の感覚を取り戻したい人や、決まった期間だけ働きたい人には、選びやすい形です。
3つ目は、へき地です。令和3年(2021年)4月1日から、へき地の病院等で、看護師・准看護師・薬剤師・臨床検査技師・診療放射線技師が行う診療の補助等の業務について、派遣が認められました。「へき地」は、離島、過疎地域、山村などをその区域に含む、政令・省令で定める市町村のことで、「地方だから」というだけでは該当しません。通知は、へき地での派遣は看護師確保の選択肢の一つで、派遣によらなければならないわけではない、とも説明しています。また、派遣元は、事前研修(最低6時間以上が望ましい)を受けた看護師等を派遣すべきとされています。
なお、社会福祉施設等での看護業務は、緊密な連携が必要な高度なチーム医療は一般的に行われず、利用者の日常的な健康管理業務が中心になるとして、通知で派遣が認められるとされています。ただし、施設のどこまでが「病院等」にあたるかは、個別の判断です。
勤務先の種類と、その場所が看護師の派遣で働ける場所にあたるか、根拠を教えていただけますか。
派遣会社に確認するときの例
場所の行が決まれば、派遣会社に聞くことも決まるね。
派遣で働くときの決まり:期間・日雇・待遇
派遣には、期間の決まりがあります。いわゆる3年ルールには、2つあります。1つは、派遣先の事業所単位の期間制限です。同じ事業所の同じ業務で、派遣を受け入れられるのは原則3年までで、過半数労働組合などの意見を聴いたうえで、3年ずつ延長できます(法40条の2)。もう1つは、派遣労働者個人単位の期間制限で、同じ組織単位(課など)で、同じ人が働けるのは3年までです。こちらは、延長しても超えられません(法35条の3、40条の3)。組織単位を変えれば、新たに働けます。
3年の制限がかからない場合もあります。無期雇用の派遣労働者、満60歳以上の人、産休・育休・介護休業の代替などです(法40条の2第1項)。主語は、派遣元と派遣先で違うため、「誰の義務か」を取り違えないことが大切です。
日雇い(日々または30日以内の期間を定めた雇用)の派遣も、原則禁止です(法35条の4)。例外として、満60歳以上の人、学生、収入が一定額(本人の1年分の収入、または生計を維持している配偶者等の収入と合わせて500万円以上)の人などが定められています。看護師については、令和3年(2021年)4月から、病院・診療所・助産所・老健・介護医療院・居宅以外の社会福祉施設等で、看護師が日雇派遣で働くことが可能になりました。准看護師の業務は、日雇派遣の対象になりません。単発の働き方は、単発・スポットの働き方で整理しています。
- 契約ごとに、就業先と期間が決まる
- 産休・育休の代替など、期間の区切られた仕事がある
- 雇用主は派遣元で、指揮命令は派遣先から受ける
- 病院・診療所は原則禁止(例外あり)
- 同じ組織単位で、同じ人は3年まで
- 日雇(30日以内)は原則禁止
得やすいことと制約を、並べて見ておこうね。
待遇の決まりは、2026年10月1日に変わりました。派遣労働者の同一労働同一賃金の改正で、リーフレットは、通常の労働者と業務の内容が同一の派遣労働者には同一の無事故手当を、更新を繰り返すなどで継続的な勤務が見込まれる派遣労働者には同一の家族手当や病気休職の給与保障を、同一の夏季冬季休暇とあわせて求める、という趣旨で説明しています。実際にどの待遇がどの派遣労働者に当たるかは、派遣元に確かめます。派遣時の労働条件の明示にも、待遇の相違の内容・理由の説明を求めることができる旨が加わりました。
派遣を選ぶ前に、確かめる順番
派遣では、雇い主(派遣元)と、働く職場(派遣先)が別になります。義務の主語も別なので、「どちらに聞くか」を意識します。次の順番で確かめると、聞き漏れが減ります。
- 1. 働く場所の種類を聞く(上の表のどの行に当たるか)
- 2. 例外にあたる場合は、紹介予定派遣・休業の代替・へき地のどれかを聞く
- 3. 契約期間と、更新・3年の扱いを聞く
- 4. 昇給・手当・休暇など、待遇の決まり方を聞く
- 5. 労働条件の書面を、働き始める前にもらう
時給を比べるときは、直接雇用のパートの公的な平均を看護師の時給の相場で見て、派遣会社が示す時給と、交通費や手当の扱いを並べます。直接雇用のパートと比べるときは、パートの記事も使えます。夜勤やクリニックで派遣を考えているときの疑問は、派遣で夜勤・クリニックは選べるかにまとめています。
決まりが多い働き方でも、順番に確かめれば大丈夫だよ。
まず、場所の確認から始めよう。
よくある質問
看護師の派遣は、病院でもできますか?
原則として禁止されています。例外は、紹介予定派遣、産休・育休・介護休業の代替、へき地(看護師・准看護師の診療の補助等)です。個別の求人の可否は、派遣会社や都道府県労働局に確認してください。
派遣で3年以上、同じ職場で働けますか?
同じ組織単位で、同じ人が働けるのは3年までです。ただし、無期雇用の派遣、満60歳以上、休業の代替などは例外です。組織単位を変えれば、新たに働ける場合があります。
紹介予定派遣は、どのくらいの期間ですか?
厚生労働省の派遣先の指針は、紹介予定派遣で同じ派遣労働者を受け入れる期間を、6か月を超えないこととしています。実際の期間と、直接雇用に切り替わるときの条件は、派遣会社に確かめてください。
出典・参考(公的な情報)
- 労働者派遣法 第2条・第4条・第35条の3・第35条の4・第40条の2〜40条の4(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働者派遣法施行令 第2条・第4条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働者派遣法施行規則 第1条・第32条の4・第33条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働者派遣法施行令の一部を改正する政令の公布について(医政発0302第14号ほか、令和3年3月2日)(厚生労働省)
- 派遣先が講ずべき措置に関する指針(第2の18 紹介予定派遣)(厚生労働省)
- 派遣労働者の同一労働同一賃金 改正ポイントのご案内(令和8年10月1日施行)(厚生労働省)
- 厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年10月)について(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。