新人の壁
新人看護師が覚えられないとき。メモの型と、続く復習の工夫
更新 2026年10月23日読むのに約6分
さっき教わったことが、もう出てこない。そんな日が続くと、自分の頭を疑いたくなります。この記事では、覚える方法より先に、引ける形にする工夫を整理します。
さっき教わったのに、もう出てこない。そんなこと、ない?
覚えられない、の中身は3つに分かれる
覚えられないと感じる場面は、中身を分けると対策が変わります。量が多すぎるのか、順番が頭に残らないのか、そもそも見たことがないものなのか。どれに近いかで、手を打つ場所が違います。
- 量:物品の置き場所、手順、薬、病気、人の名前が、一度に入ってくる
- 順番:手順の流れが、バラバラの断片のまま残っている
- 経験:まだ一度も見ていないので、思い出す手がかりがない
新人の時期は、この3つが同時に押し寄せます。覚えられないのは、能力の問題というより、受け取る量が多い時期だから、という面があります。出発点は、全部を頭に入れることではなく、必要なときに引ける形にしておくことです。
3つの中身に合わせた手の打ち方も、分けて考えられます。量が多いときは、今週覚えるものを3つに絞ります。順番が残らないときは、手順を矢印でつないだ小さな図にします。経験が足りないときは、先輩の動きを見学する機会を、自分から頼んでみます。どれも、能力を上げる話ではなく、困っている場所に合わせた工夫です。
- 量が多く、抜けが出やすい
- 忘れたとき、自分を責めやすい
- 急いだ場面で、出てこないことがある
- メモの置き場所が決まっている
- 忘れても、その場で確かめられる
- よく使うものは、自然と残っていく
覚える力より、探せる仕組みのほうが、先に助けになるよ。
持ち歩くメモは、場面・手順・一言で書く
メモは、書き写すだけだと、あとで探せません。書く型を決めておくと、見返す手間が減ります。型は、場面・順番・一言の3つです。
- 場面:どんなときの話か(例:〇〇の準備のとき)
- 順番:やることを、1・2・3と並べる
- 一言:先輩に言われた注意点や、その理由
一言の欄が、あとで効きます。手順だけだと、順番を忘れたときに戻れませんが、理由が書いてあれば、「だからこの順番だった」と思い出せます。先輩が口にした一言は、できるだけそのまま書き留めます。
手順は、文章より、図や表のほうが頭に残る人もいます。箇条書き、矢印、色分け、チェック欄など、自分が見やすい形に直してみます。物品の場所は、病棟の見取り図を自分で描き、先輩に間違いを直してもらう方法があります。書いて直してもらうと、覚えたことと、まだのことが見えてきます。
メモは、サイズと置き場所を決めます。ポケットに入る一冊にまとめる人もいれば、付箋を勤務中に使い、勤務後に一冊へ貼り直す人もいます。ただし、患者さんが特定できる情報は、メモに書かない、持ち出さないといった決まりがあります。職場の約束を、先に確かめます。
1か月ほどたったら、使わなくなった項目に印をつけて見直します。メモが増えすぎると、引くのに時間がかかり、引ける形でなくなってしまいます。使うものだけを残す手入れも、メモの工夫のうちです。
書く場所を決めるだけで、探す時間が、ぐっと減るんだよ。
復習は、短く・あけて・声に出す
復習は、長くやるより、短く何回かに分けるほうが、続けやすい形です。勤務後に3行だけ読み返す、休日の前に一週間分をさっと見る、次の勤務の前に今日のメモを一度開く。この3つの小さな場面に分けて置きます。
同じ内容を、翌日と数日後にもう一度さっと見る形も、続けやすい工夫です。覚えるつもりで構えず、「ここにこう書いてあったな」と目に触れさせる。復習する中身は、全部ではなく、その日つまずいた箇所に絞ります。目に触れる回数が増えると、メモを見なくても出てくる場面が増えていきます。
声に出して、順番を言ってみる方法もあります。頭の中では流れているつもりでも、口に出すと、抜けている箇所が分かります。通勤の途中や、休憩の終わりの1分で試せます。
覚えたかどうかは、自分で確かめられます。先輩の前でやる前に、手順を声に出して説明し、詰まったところに印をつけます。印の数が減っていけば、進んでいるしるしです。覚えた量より、印が減ったことを、小さな「できた」として記録に残すと、気持ちの支えになります。
休日に、勉強を詰め込みすぎると、疲れが残って、次の勤務での覚えが悪くなることもあります。何から勉強するかは、新人の勉強の順番の決め方で扱っています。今週覚えるのは3つだけ、と決めておくと、負担が軽くなります。
同じことを聞き直すのが怖いとき
2回目の質問は、聞きにくいものです。「さっきも説明したのに」と思われそうで、黙ってしまう人もいます。でも、分からないまま進めるほうが、あとで大きな困りごとになることがあります。
ここまではメモに書いてあるのですが、この部分が分からなくなってしまいました。もう一度、教えていただけますか。
メモを見せながら聞き直す例
メモを見せて聞くと、先輩は、どこまで伝わっていて、どこが抜けたのかを、すぐに見つけられます。「もう一度最初から」と言われる回数が減り、答える側の負担も小さくなります。聞き方の文例は、先輩への聞き方の文例にまとめています。
「聞く前に、どこまで調べたか」を一言添える方法もあります。メモを見ても分からなかった点を、自分で一度まとめてから聞くと、答えが短く済みます。ただし、患者さんの安全に関わることは、調べる前にすぐ聞きます。迷ったら聞く、が基本です。
先輩によって、やり方の説明が違い、どれを覚えればよいか迷うこともあります。違いは、メモに両方書いておき、「Aさんはこう、Bさんはこう」と並べます。そのうえで、職場の決まりがどちらなのかを、師長や担当の先輩に確かめます。決まりがあるのか、好みの違いなのかが分かるだけで、迷いが減ります。
覚えるペースの悩みは、担当の先輩や師長に、早めに伝える方法もあります。「メモはとっているが、身につくのに時間がかかっている」と事実で伝えると、同じ手順を繰り返す機会を増やす、見学の回数を増やす、といった補い方が相談しやすくなります。
覚えられなさに、疲れが関わっている場合もあります。睡眠が足りない日は、頭に入りにくいと感じる人がいます。メモや復習の工夫を試しても、つらさが強くなるときは、新人が泣いてしまうときも読んでみてください。書き出しの練習には、準備ツールも使えます。
メモを持とうと決めたこと、それだけでえらい工夫だよ。
覚えるのは、あしたの自分にも、ちょっと任せてみよう。
よくある質問
看護師の新人は、何をどうメモすればよいですか?
場面・順番・一言の3つに分けて書くと、あとで探しやすくなります。一言には、先輩が言った注意点や理由を書きます。患者さんが特定できる情報は、書かない・持ち出さないなどの決まりがあるので、職場の約束を確かめてください。
同じことを何度も聞いてしまいます。迷惑でしょうか?
メモを見せて「ここまでは分かるが、この部分が分からない」と聞くと、先輩も答えやすくなります。迷惑かどうかの前に、聞き方を整えるほうが、できることが多いです。
休日は、どのくらい復習すればよいですか?
長時間より、短く何回かに分ける形が続きやすいです。休日に詰め込みすぎると疲れが残ることもあるので、今週覚えるものを3つに絞るなど、量を決めてみてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。