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キャリアの見通し

看護師の将来性は?AI・需要・将来の不安を、公的な推計で見る

更新 2026年10月23日読むのに約6分

将来が不安になるのは、情報が断片的で、どこまで確かなのか分かりにくいからかもしれません。この記事では、公的な資料で言えることと、まだ言えないことを分けて見ていきます。

先のことが見えにくいと、不安になるよね。

「将来性」で知りたいのは、3つの問い

将来性という言葉には、いくつかの問いが混ざっています。仕事は、この先もあるのか。人手は、足りるのか。仕事の中身は、変わるのか。この3つは、見る資料も、確かさも違います。混ぜたまま考えると、不安だけが大きくなりやすいです。

1つ目の「仕事があるか」は、医療や介護の需要の見通しで見ます。2つ目の「人手は足りるか」は、看護職員の需給推計と、実際の就業者数で見ます。3つ目の「中身が変わるか」は、AIなどの技術や制度の動きで見ますが、この3つ目は、公的な推計を確認できていません。次の図は、推計の資料を読むときに、順に見ていく項目の並びです(筆者の整理で、公的な資料の図ではありません)。

将来の推計を読む、5つの順番
  1. 人口の見通し総人口・高齢化
  2. 医療・介護の需要病床・サービスの見込み
  3. 必要な看護職員需要の推計
  4. 実際の就業者いま働く人の数
  5. 自分の働く場地域・職場で確かめる

全国の推計は、自分の職場の話ではないよ。最後は、足元で確かめよう。

需給推計は、こう作られている

厚生労働省の資料(2026年4月10日、2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会の第1回)によると、看護職員の需給見通しは、おおむね5年ごとに、これまで通算8回策定されてきました。直近の第8次は、2025年までの供給と需要を推計したものです。

需要の推計は、「医療需要あたりの看護職員数」に「将来の医療需要」をかけて出します。将来の医療需要は、一般病床と療養病床では、地域医療構想の病床数の必要量が使われ、介護保険のサービスでは、介護保険事業計画の見込み量などが使われます。つまり、看護職員の必要数は、病床や介護サービスの計画に、強く引っ張られる数字です。

第8次の2025年の数字は、需要と供給の差として、看護師の人手不足の実情の記事で見ています。この記事では、その数字をなぞらず、次の2点に絞ります。2040年に向けた推計の検討が、2026年4月に始まったこと。そして、2026年9月14日の第5回までの資料でも、2040年の必要数や不足数の人数はまだ示されておらず、推計の進め方について委員の意見(新たな地域医療構想との整合をとる、訪問看護は介護保険の利用分も含めて推計する、実人員と常勤換算を分けて示す、など)を整理している段階だということです。

これから公表される資料を読むときは、次の3点を先に見ると、数字に振り回されにくくなります。

  • 何年の推計か:2025年までなのか、2040年に向けたものなのかで、使える場面が違います
  • どんな前提か:シナリオが分かれている場合は、どの条件の数字なのかを確かめます
  • 何を数えているか:人数なのか、働く時間なのか。単位が違う数字を、並べて比べないようにします

数字が続いたね。ここで、ひと息つこうか。

人口と地域包括ケアから見える、働く場の動き

同じ資料には、人口の将来推計も載っています。総人口は、2020年の1億2,615万人から、2040年に1億1,284万人、2070年に8,700万人と見込まれています。2040年には、65歳以上が全人口の35%を占める、という推計です。

地域包括ケアシステムは、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律2条1項で、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、医療・介護・介護予防・住まい・日常生活の支援を包括的に確保する体制と定義されています。厚生労働省は、2025年を目途に進めてきたこの体制を、2040年に向けて深めるとしています。85歳以上の人口や、認知症の高齢者、ひとり暮らしの高齢者が増える見込みで、65歳以上の人口のピークは2043年とされています。

この動きは、病院だけでなく、地域の中での看護の場が関わりを増していく見方につながります(筆者の読みで、公的な推計の結論ではありません)。たとえば、介護サービス施設・事業所調査(2024年10月1日現在)では、訪問看護ステーションは18,042事業所で、前年の16,423事業所から増えました。看護師の訪問看護ステーションでの就業者は、衛生行政報告例(2024年末)で91,022人です。ただし、就業者の65.7%は今も病院で働いています。訪問看護の就業者が今後どこまで増えるかは、2040年に向けた需給推計の結果が出てから見直す点です。

公的な資料で、言えることと言えないこと
知りたいこと資料で言えることまだ言えないこと
人口の将来2040年に1億1,284万人、65歳以上は35%の推計地域ごとの違いは、確認した資料にない
訪問看護の場ステーションは18,042事業所(2024年10月)今後の事業所数や就業者数の推計
看護職員の需給(2040年)推計の検討が、2026年4月に始まった第5回(2026年9月)までの資料では、人数はまだ示されていない
AIの影響—公的な推計は、確認できていない

出典は、本文と末尾の「出典・参考」を見てください。数字は推計や調査の年が異なります。

分からないことを分からないと分けるのも、大事な整理だよ。

AIや不安は、こう受け止める

AIが看護の仕事に与える影響について、公的な推計は、今回確認した資料にありません。だから、「看護師はなくなる」とも、「なくならない」とも、この記事では言えません。言えるのは、法律が看護師の業を、療養上の世話または診療の補助と定義し(保健師助産師看護師法5条)、看護師でない者がその業をしてはならないと定めている(同31条)、という現時点の定めまでです。

不安が強くなるのは、確かなこととそうでないことが混ざるときです。次のチェックで、手元の不安を、確かな材料と、分からない部分に分けてみます。

将来の不安を、材料に分ける

立場によって、将来の見方の置きどころは変わります。経験が浅い人は、この先に学びをどう積むかが中心の問いになります。夜勤の負担を減らしたい人は、本文で見た就業先の内訳(病院が65.7%)や、訪問看護の事業所数を手がかりに、病院以外にも働く場があることを確かめておけます。子育て中の人は、訪問看護や施設など、勤務の形が違う場を、比較の材料に入れられます。どの立場でも、全国の推計で決めるのではなく、自分の暮らしに合う働き方を、足元で確かめます。

働く場を広げる見取り図は、キャリアプランの考え方にあります。段階的に学びを積む目安は、クリニカルラダーで整理しています。勤務先の将来を確かめたいときは、次のように聞く方法があります。

この地域の高齢化の見通しを踏まえて、今後の病棟や在宅の体制を、どのようにお考えか教えていただけますか。

面接や見学で、勤務先の将来を聞く例

気になった資料の名前だけ、手帳に控えておこう。

材料が増えると、不安は少し小さくなるかもしれないね。

よくある質問

看護師は、将来なくなる仕事ですか?

この記事で確認した公的な資料には、そのような推計はありません。AIの影響を示す公的な推計も、確認できていません。現時点の法律の定めは、本文に書いたとおりです。

2040年に、看護師は足りなくなりますか?

2040年の看護職員の需給推計の人数は、2026年9月14日の第5回検討会までの資料では、まだ示されていません。検討は2026年4月に始まり、推計の方針を議論している段階です。第8次の2025年の見通しは、人手不足の記事で整理しています。

将来が不安なとき、最初に何を見ればよいですか?

人口の見通し、地域の医療・介護の計画、自分の勤務先の動きの3つを、順に確かめます。全国の推計は、自分の職場の将来を直接示すものではありません。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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