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副業・掛け持ち

看護師YouTuber・SNS発信の注意点。守秘義務・就業規則・PR表示

更新 2026年10月23日読むのに約6分

看護師の発信は、個人のアカウントでも、守秘義務・倫理綱領・就業規則の三つが重なります。収入が出る発信では、広告の表示と健康の表現の決まりも加わるため、投稿の前に見る点と、始める前の確認先を順にまとめます。

発信してみたいけど、どこまでならいいのか、迷うよね。

決まりごとを、先に整理しておこう。

個人のアカウントでも、守る決まりが三つある

SNSやブログ、動画の発信は、勤務時間の外で、自分の名前や別の名前で行うものです。それでも、看護師として発信する場合や、仕事で知ったことに触れる場合は、一般の人の発信にはない決まりが関わります。大きくは、法律の守秘義務、日本看護協会の倫理綱領、勤務先の就業規則の三つです。

一つ目は、保健師助産師看護師法42条の2です。保健師・看護師・准看護師は、正当な理由がなく、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない、と定められています。この決まりは、看護師でなくなった後も同じです。罰則は44条の4にあり、6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。ただし、告訴がなければ公訴を提起できない罪(親告罪)とされています。

二つ目は、日本看護協会の「看護職の倫理綱領」(2021年3月15日)です。条文4に、看護職は対象となる人々の秘密を保持し、取得した個人情報を適正に取り扱う、と書かれています。解説では、個人情報には氏名や生年月日のほか、画像や音声も含まれることが述べられています。ソーシャルメディアについては、情報の正確さの確認と、対象となる人々と看護職自身のプライバシー権の保護に、細心の注意を払うよう書かれています。

三つ目は、勤務先の就業規則です。病院ごとに違い、発信そのものの扱いも、副業・兼業の扱いも、規則に書かれていることがあります。

投稿の前に、毎回同じ順番で見直す

決まりが分かっても、実際の投稿の場面では、迷いが残ります。投稿ボタンを押す前に、毎回同じ順番で見直す型を作っておくと、判断がぶれにくくなります。見るところは、人、画像・音声、職場の三つです。

  • 人:患者さんや家族の話、会話、様子が入っていないか。名前を伏せた話でも、状況が重なると、誰のことか分かる場合があります。
  • 画像・音声:写り込み(ネームプレート、ホワイトボード、画面、背景)がないか。倫理綱領の解説でも、画像や音声は個人情報に含まれると述べられています。
  • 職場:勤務先や同僚が分かる書き方になっていないか。内部の出来事や方針など、業務上の秘密にあたりうる内容が入っていないか。
投稿前の見直しは、毎回くり返す
  1. 書くまず下書きにする
  2. 人を見る患者さん・家族が分かるか
  3. 写り込みを見る画像・音声・背景
  4. 職場を見る勤務先や規則との照らし合わせ

同じ順番で見ると、迷いが減るよ。

匿名のアカウントなら大丈夫、とは言い切れません。守秘義務の条文は、アカウントの名前ではなく、業務上知り得た人の秘密を漏らすかどうかで書かれています。実在の病院名や人の名前を出して、体験を書くことも、避けたほうが安全です。

自分自身の情報も、守る対象です。倫理綱領の解説は、対象となる人々だけでなく、看護職自身のプライバシー権の保護にも、細心の注意を払うよう書いています。勤務先の最寄り駅、勤務表、同僚との写真など、自分や仲間の暮らしが特定されやすい情報も、載せる前に見直します。

載せてしまったあとに気づいたときは、まず投稿を非公開にするか削除して、勤務先の窓口に早めに伝えます。伏せておくより、早く伝えるほうが、職場も対応を考えやすくなります。

投稿ボタンの前で、ひと呼吸おけるといいよね。

迷ったら、載せないでおく、も立派な判断だよ。

下書きのまま置いて、見直す

副業・兼業として始めるなら、就業規則と国の指針を見る

動画の広告収入やブログなどで収入が出ると、発信は副業・兼業の話にもなります。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)は、裁判例を踏まえて、原則、副業・兼業を認める方向が適当、としています。ただし、これは企業に向けた書き方で、個々の病院の就業規則を上書きするものではありません。「副業は法律で自由」とは言えない点に、注意します。

同じガイドラインには、就業規則などで副業・兼業を禁止または制限できる場合として、次の四つの整理が示されています。また、労働者は、使用者の業務上の秘密を守る義務(秘密保持義務)を負う、とも書かれています。

  • 労務提供上の支障がある場合
  • 業務上の秘密が漏洩する場合
  • 競業により、自社の利益が害される場合
  • 自社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

厚生労働省のモデル就業規則は、2018年(平成30年)1月の改定で、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、副業・兼業の規定を新設しました(第14章第68条)。ただし、モデルはひな型で、勤務先の規則は別です。許可制か、届出制か、禁止か。まず自分の勤務先の就業規則で確かめます。

趣味として続ける発信

収入がない場合でも、守秘義務と倫理綱領は、同じように関わります。勤務先に、SNSの利用や発信についての決まりがないかを確かめます。

収入が出る発信

就業規則の副業・兼業の定めと、許可や届出が要るかを確かめます。収入の税の扱いは、確定申告の記事と、税務署の窓口で確かめます。

副業として始める前の、確かめる順番
  1. 規則を読む副業・兼業と発信の項目
  2. 職場に聞く許可・届出が要るか
  3. 範囲を決める載せない内容を先に書く
  4. 税の窓口へ収入が出たら確認

順番に確かめていけば、慌てなくて済むよ。

収入が出る発信で、もう一つ守ること。広告の表示と健康の表現

発信で収入が出る形は、大きく三つあります。動画やブログに表示される広告の収入、紹介した商品やサービスが売れたときに報酬が入るアフィリエイト(成果報酬型の広告)、企業から依頼を受けて商品を紹介する案件(PR)です。後の二つは、自分の投稿そのものが広告になる点で、ふつうの体験談とは扱いが変わります。

消費者庁は、2023年(令和5年)10月1日から、広告であることが一般の人に分からない広告(ステルスマーケティング)を、景品表示法の違反としています。規制の対象は、商品・サービスを提供する事業者(広告主)で、依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は対象ではない、と案内されています。ただ、依頼元が違反を問われる投稿は、依頼を受けた側にとっても信用を落とす投稿です。依頼を受けたときは、「広告」「PR」など広告と分かる表示をどう入れるかを、引き受ける前に依頼元と決めておきます。

健康に関わる表現には、別の決まりも重なります。医薬品医療機器等法(薬機法)66条は、「何人も」医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などの効能・効果について、虚偽または誇大な記事を広告し、記述し、流布してはならないとしています。医療法6条の5も、「何人も」病院・診療所に関して広告をするときは、虚偽の広告をしてはならないとしています。どちらも主語が「何人も」なので、企業だけでなく、個人の発信にも関わる書き方です。

  • 「看護師が勧める」と添えて、化粧品やサプリの効果を言い切らない(効果の書き方は、薬機法の対象になりうる)
  • クリニックや美容医療のアフィリエイトでは、体験や効果を大げさに書かない(医療法の広告規制に関わる)
  • 依頼を受けた投稿は、冒頭や最初の画面で広告と分かるようにする
  • 勤務先と同じ分野の商品を紹介するときは、就業規則の競業や名誉の項目と照らし合わせる

看護師という肩書きは、読む人にとって信頼の材料になります。その信頼が、広告の効き目として使われる形になるため、表現は一般の人より慎重にしておくほうが安全です。どの表現が違反にあたるかの個別の判断は、この記事ではできません。迷う表現は、消費者庁の運用基準や、厚生労働省の医療広告の案内で確かめます。

迷ったときの相談先と、始める前の準備

就業規則を見せてもらえるかどうかも、聞いてよいことの一つです。人事や総務に、「副業や発信の決まりを確かめたい」と、短く聞きます。理由を細かく説明する必要はなく、「確かめたい」という姿勢で足ります。

副業・兼業の全体像は、看護師の副業に分けてあります。本業のほかに、別の職場でも働く掛け持ちの考え方は、看護師の掛け持ちで扱っています。この記事は、発信という場面に絞り、守秘義務と、就業規則の見方を中心にしました。

発信を、仕事の悩みを話す場所として使うこともあります。つらさが強いときは、不特定多数に向けて書く前に、つらいときの窓口など、顔の見える相手に話す選択肢もあります。

始める前の準備メモ

好きなことを発信するのは、素敵なことだよ。

守るものを先に決めておけば、安心して続けられるね。

よくある質問

匿名のSNSアカウントなら、仕事の話を書いても問題ありませんか?

問題がないとは言い切れません。守秘義務の条文は、業務上知り得た人の秘密を漏らすかどうかで書かれていて、アカウントが匿名かどうかでは区切られていません。迷う内容は載せないのが安全です。

看護師がブログやYouTubeで収入を得るのは、副業になりますか?

収入が出ると、副業・兼業の話になります。許可制か、届出制か、禁止かは、勤務先の就業規則で決まるため、まず就業規則を確かめ、人事や総務に聞いてください。税の扱いは、税務署や市区町村の窓口で確認します。

副業は法律で認められていますか?

厚生労働省のガイドラインは、原則、副業・兼業を認める方向としています。ただし、企業に向けた指針で、個々の病院の就業規則を上書きするものではありません。勤務先の規則を確かめてください。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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