手当・賞与・退職金
看護師の退職金はいくら?公務員と中退共の計算例と、確かめ方
更新 2026年10月23日読むのに約6分
退職金は、辞めると決めてから探すと、期限に追われやすい項目です。この記事では、公務員の支給率と中退共の受取額で「いくら」の目安を示し、制度の有無と支給の条件の区切りを書き出す方法をまとめます。
退職金って、自分の職場にあるのかどうか、ちゃんと見たことあるかな。
退職金は、あるか、ないかから分かれる
厚生労働省の令和5年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の民営企業、令和5年1月1日現在)では、退職給付(一時金・年金)の制度がある企業は、全産業で74.9%でした。企業規模別では、1,000人以上が90.1%、300〜999人が88.8%、100〜299人が84.7%、30〜99人が70.1%です。医療,福祉は75.5%で、制度がない企業が24.5%あります。
制度の形は、医療,福祉で、退職一時金だけが86.9%、退職年金だけが1.7%、両方を併用が11.4%です。この数字は、医療・福祉業の企業全体の割合で、病院や診療所の看護職員に限った数字ではありません。自分の職場に制度があるかどうかは、規程で確かめるしかありません。
労働基準法89条は、退職手当の定めをする場合に、適用される労働者の範囲、決定・計算・支払の方法、支払の時期を、就業規則に書くよう定めています。常時10人以上の職場で制度があるなら、これらが規程に書かれているはずです。制度が見当たらないときの見方は、退職金がない職場で確かめることで扱っています。
自分の退職金を、6つの項目で書き出す
確認する項目は、次の6つにまとまります。規程の写しを手元に置いて、右の列を埋めていきます。
| 項目 | 見る場所 | 書き出す中身 |
|---|---|---|
| 有無 | 就業規則・退職金規程 | 制度があるか、対象は誰か |
| 支給の条件 | 退職金規程 | 勤続何年以上か |
| 計算の方法 | 退職金規程 | 式と、支給率の表の有無 |
| 退職の事由 | 退職金規程 | 自己都合と会社都合の差 |
| 支払の時期 | 就業規則・退職金規程 | 退職後いつ、どう払うか |
| 積立の仕組み | 人事・給与担当 | 社内か、外部の共済か |
項目の区切りは、本文の確認事項をまとめたもの。内容は職場で違うので、規程と給与担当で確かめる。
6つ埋まれば、全体像が見えてくるよ。
積立の仕組みは、退職一時金を社内の準備で払う、外部の共済に加入しているなど、職場で違います。令和5年就労条件総合調査では、退職一時金制度の支払準備の形(複数回答、全産業)が、社内準備56.5%、中小企業退職金共済制度42.0%、特定退職金共済制度9.9%でした。規程の文言だけでは分からないことがあるので、給与担当に「どの仕組みで積み立てているか」を聞けると、全体像が見えます。
6つの項目は、全部分からなくても、書けるところからでいいよ。
分からない欄には、「聞く」と書いておこうか。
いくらになるか。公務員と中退共の計算例
看護師だけの退職金の平均を出した公的な統計はないので、看護師が多く働く仕組みの「計算のしかた」から目安を出します。公立・国立の病院の看護師に近いのは、国家公務員の退職手当です。退職日の俸給月額に、退職の理由と勤続年数で決まる支給率をかけ、調整額を足します。内閣人事局の早見表(調整率を含めた数)で、自己都合なら勤続10年で5.022か月分、20年で19.6695か月分、定年などなら20年で24.586875か月分、35年以上で47.709か月分です。
- 俸給月額28万円・自己都合・勤続10年:約141万円
- 俸給月額32万円・自己都合・勤続20年:約629万円
- 俸給月額34万円・定年・勤続35年:約1,622万円
どれも基本額だけの筆者計算で、調整額は入れていません。自治体の病院は、各自治体の条例で決まります。
民間の中小の病院やクリニックでは、外部の中小企業退職金共済(中退共)に入っている職場があります(全産業で、退職一時金の支払準備に中退共を使う企業は42.0%、令和5年就労条件総合調査)。中退共は、事業主が払う掛金の月額と納付月数で、基本退職金が決まります。厚生労働省の基本退職金額表では、掛金月額1万円なら、5年で60万8,200円、10年で126万5,600円、20年で266万6,600円です。掛金月額5,000円なら、10年で63万2,800円です。掛金の納付が11か月以下だと支給がなく、43か月目以降は付加退職金が加わることがあります。
辞める時期との関係は、規程の区切りで見ます。「勤続〇年以上で支給」「勤続年数ごとの支給率の表」があれば、その区切りの前後で金額が動きます。勤続年数を日数・月単位・年度単位のどれで数えるか、試用期間や休職の期間が入るかも、規程で確かめます。退職の時期の考え方は、看護師の退職の時期の決め方にまとめています。
受け取るときの手続きと、支払いの時期
受け取り方も、仕組みで違います。社内の規程で払う退職金は、就業規則か退職金規程に書かれた支払いの時期(退職後何日以内か、どの方法か)に沿って、勤め先から払われます。常時10人以上の職場で退職手当の定めがあるなら、支払いの時期は規程に書く項目です(労働基準法89条)。
中退共の場合は、勤め先ではなく、退職した本人が中退共に請求します。事業主から「退職金共済手帳」を受け取り、請求書、マイナンバー入りの住民票、本人確認書類のコピーなどをそろえて送ると、書類に不備がなければ1か月から2か月半ほどで、本人の口座に振り込まれます。手帳を受け取っていないときは、退職の手続きのときに給与担当に聞きます。
退職金には、退職所得控除を引いたあとの金額の2分の1に税がかかります。勤続20年までは1年40万円、20年を超えると1年70万円の控除で、計算例のほとんどは控除の範囲に収まります。勤め先に「退職所得の受給に関する申告書」を出していないと、支払額の20.42%が源泉徴収されるので、受け取る前に出しておきます。計算の式と例は退職金にかかる税金の基本にまとめています。
退職金規程の、勤続年数ごとの支給率の表を、見せてもらえますか。
給与担当に聞くときの一言の例
退職金だけでなく、毎月の手当も含めて職場を比べたいときは、看護師の手当の種類の一覧も合わせて見ると、全体の収入の中での位置が見えてきます。
支給率の表か、中退共の掛金。どちらか1つ分かれば計算できるね。
よくある質問
看護師の退職金は、いくらくらいですか?
仕組みで変わります。国家公務員の支給率で計算すると、俸給月額32万円・自己都合・勤続20年で約629万円(基本額)です。中退共に掛金月額1万円で10年入っていれば、基本退職金は126万5,600円です。自分の額は、規程の支給率か中退共の掛金で確かめます。
退職金のことは、辞める前に聞いてもよいのですか?
まず、就業規則や退職金規程が手元で読める形で置かれていないかを探します。見当たらなければ、給与・人事の担当に、制度の有無と確認できる書類を聞く形が、角が立ちにくい聞き方です。
退職金に、税金はかかりますか?
退職所得控除を引いたあとの金額に、1/2をかけて税を計算します。控除の範囲に収まれば、所得税がかからない場合もあります。控除を超える場合は課税されるので、金額や勤続年数ごとの計算は、国税庁の案内で確かめます。
出典・参考(公的な情報)
- 労働基準法 第11条・第24条・第37条・第89条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 令和5年就労条件総合調査の概況(退職給付)(厚生労働省)
- 国家公務員退職手当支給率早見表(平成30年1月1日以降の退職)(内閣官房内閣人事局)
- 基本退職金額表(中小企業退職金共済)(厚生労働省)
- 退職金計算の方法・考え方について(独立行政法人勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部)
- 退職金請求手続きの流れについて(独立行政法人勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部)
- No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(国税庁)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。