手当・賞与・退職金
看護師のボーナスが少ない・なしのとき。契約書と規程で確かめる項目
更新 2026年10月23日読むのに約6分
ボーナスが思ったより少ない、出ていない、と気づくと、気持ちが先に沈みます。何と比べて少ないのかを分けて、手元の書類から確かめる順番をまとめます。
思っていたより少なかった、って気づいたとき、がっくりするよね。
「少ない」は、何と比べた「少ない」か
ボーナスが少ないと感じるとき、比べている相手は、いくつかに分かれます。比べる相手が違うと、確かめる場所も変わります。
- 前回や前年の自分の賞与(金額が動いたのか、算定の条件が変わったのか)
- 同僚や、同じ年代の人(評価の差か、雇用の区分の違いか)
- 他の病院や統計の平均(規模や設置主体が違う集計と比べていないか)
- そもそも出ていない(制度がないのか、支給の条件に当たらなかったのか)
どれに近いのかを、1つ選んでみます。複数あっても、一番近いものから確かめます。
明細を開いたまま、一度深呼吸。先に気持ちを置いてから、数字を見よう。
手元の書類で、先に確かめる項目
統計を見る前に、手元の書類で確かめられることが、いくつかあります。賞与の規程は、就業規則や賃金規程に書かれていることが多く、雇用契約書(労働条件通知書)にも、賞与の有無や時期が書かれている場合があります。
最後の項目は、見落とされやすい点です。求人や契約書に年収の見込みが書かれていても、賞与が別に出る前提なのか、月給に含まれているのかで、受け取り方が変わります。雇用契約書の賃金の欄と、賃金規程の賞与の条文を並べて読みます。
「出ていない」と感じるときには、まだ額が決まっていない場合も混ざります。厚生労働省の令和8年賃金引上げ等の実態に関する調査では、医療,福祉の企業の夏の賞与のうち、「支給するが額は未定」が10.6%ありました(調査時点の状況です)。支給の時期が遅れているだけなのか、対象から外れているのかは、賃金規程の支給日と、給与担当への確認で分けられます。非常勤や短時間勤務の人が対象に入るかどうかも、規程の対象者の条文で見ます。
統計と比べるときの、読み方の注意
日本看護協会の2024年度賃金調査(病院調査)では、看護職員に賞与を「支給していない」病院は0.7%でした(無回答11.3%)。賞与を支給した病院の離職率は11.0%、支給していない病院は15.1%と、数字に差がありますが、賞与の有無が離職の原因かどうかは、この数字からは分かりません。
令和7年賃金構造基本統計調査(民営10人以上、一般労働者の看護師)の年間賞与は、全体で平均85万6,400円でした。企業規模別では、1,000人以上が105万7,100円、10〜99人が62万4,200円で、差があります。経験1年未満は11万4,100円と低く出ます。経験年数ごとの細かい数字と支給の時期は、看護師のボーナスの平均と時期に載せています。
前年より減ったと感じたときの参考に、同じ賃金構造基本統計調査(民営10人以上、一般労働者の看護師、男女計)の年間賞与の平均を、3年分並べます。令和5年調査(2022年分)が85万6,500円、令和6年調査(2023年分)が83万5,000円、令和7年調査(2024年分)が85万6,400円です。標本の入れ替えがあるため、年ごとの小さな差を「上がった」「下がった」とは読みません。全国の平均がほぼ横ばいでも、自分の額が動くことはあり、その理由は規程と評価の側にあります。
賞与を「支給した」病院の割合は、設置主体で違います(日本看護協会の2024年度賃金調査)。公立が94.8%、国立が93.4%、医療法人が85.3%、個人が75.0%です。設置主体や規模の違う病院の平均と、自分の額を直接並べても、条件が違う者どうしの比較になります。比べるなら、同じ規模・同じ設置主体の範囲か、自分の過去の額が、まだ筋のよい比べ方です。
- 雇用契約書の賞与の欄
- 賃金規程の賞与の条文
- 賞与の明細の算定の基礎
- 賞与を出さない病院は0.7%
- 規模や経験で平均が違う
- 全国の平均は、年ごとの差が小さめ
自分の条件は、左の書類にしか書いていないよ。
比べるなら、同じ規模の平均か、自分の去年の額なんだね。
話を持っていくときの、順番
書類を見たあとで、給与担当や上司に聞く場面が来ることがあります。順番を決めておくと、気持ちが先走らずに済みます。まず、事実を日付つきで書きます(前回の賞与の額、今回の額、算定期間、明細の行の名前)。次に、規程の条文を指して、「この条文のこの部分の計算は、どう当てはまるのか」と聞きます。最後に、答えを日付つきで控えます。口頭の説明だったときは、あとで要点をメモに残し、必要なら文書でも確認します。
感情のまま「少なすぎる」と伝えるより、「算定の基礎と計算のしかたを知りたい」と聞くほうが、答えが具体的になります。説明に納得できる部分と、まだ分からない部分を分けて残しておくと、次に窓口へ相談するときの材料にもなります。
退職の前後と、窓口に持っていくもの
辞めたい気持ちが重なると、「ボーナスの前に辞めたらどうなるか」も気になります。最初の手がかりは、賃金規程の賞与の条文に、支給日に在籍していることが条件として書かれているかどうかです。支給日在籍の条件の考え方と、辞める時期の決め方は、ボーナスをもらってから辞めたいときと看護師の退職の時期の決め方で扱っています。給料の水準の悩みは、給料が安いと感じたときの確認に分けています。
規程の内容に納得がいかない、説明が得られない、というときは、都道府県労働局などに置かれた総合労働相談コーナーで、相談できます。持っていくものは、雇用契約書、賃金規程の賞与の条文、直近の賞与の明細の3つです。
賞与の額が、どの算定の基礎で決まったのか、明細のこの行の意味を教えてもらえますか。
給与担当に聞くときの一言の例
数字のことで気持ちが重いときは、ひとりで抱え込まないでね。
よくある質問
ボーナスが出ない職場は、おかしいのですか?
このページでは、善しあしを判断しません。日本看護協会の調査では、賞与を支給していない病院は0.7%でした(無回答11.3%)。雇用契約書と賃金規程の賞与の条文を確かめ、納得できないときは総合労働相談コーナーに規程を持って相談します。
ボーナスの前に辞めると、もらえませんか?
賃金規程の賞与の条文で、算定期間と、支給日に在籍している必要があるかを確かめるのが先です。条件の書き方で扱いが変わるので、「もらえる」「もらえない」は規程を読んでから判断します。
ボーナスが少ないのは、病院の規模のせいですか?
規模で平均が違うのは、統計で出ています(令和7年賃金構造基本統計調査で、1,000人以上は105万7,100円、10〜99人は62万4,200円)。ただ、自分の額の理由は、規程と評価で決まるので、規模だけでは言い切れません。
出典・参考(公的な情報)
- 2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 報告書(公益社団法人 日本看護協会)
- 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(厚生労働省)
- 令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表(e-Stat)(厚生労働省)
- 令和6年賃金構造基本統計調査 職種第1表(e-Stat)(厚生労働省)
- 令和5年賃金構造基本統計調査 職種第1表(e-Stat)(厚生労働省)
- 令和7年賃金構造基本統計調査 第14表 性・経験年数階級別(e-Stat)(厚生労働省)
- 労働基準法 第11条・第24条・第37条・第89条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。