文例・申し送り
看護師の申し送りを短くまとめる型と例文。3つに絞って話す
更新 2026年10月23日読むのに約5分
申し送りが長くなるのは、話し方が下手だからではなく、拾った情報をすべて持ち込んでいるからのことが多いです。短くまとめる型と、場面ごとの文例を並べます。
申し送りの時間、気づくと予定をこえていること、あるよね。
長くなる申し送りは、どこで長くなっているか
申し送りを聞く側は、いまの状態と、これから自分が動くことの二つを受け取りたいと思っています。ところが話す側は、勤務中に拾った情報が頭に残っているので、朝から順にすべて話そうとしてしまいます。すると聞く側は、何を持ち帰ればよいのか分からないまま、話の終わりを待つことになります。
長くなる原因は、たいてい次の三つのどれかです。
- 時系列で話している:起きた順に話すと、大事な変化が話の後半に埋もれます
- 変化のない項目まで読み上げている:安心のために全部言うと、変わったことの重みが薄まります
- 推測と事実が混ざっている:「〜のようです」「たぶん〜です」が続くと、聞き返しが増えて時間が延びます
苦手意識が強い人ほど、聞き返されないようにと、情報を足しがちです。足すほど長くなり、長いほど聞き返しが増える、という流れに入ることがあります。ここでは足す方向ではなく、削る方向で型を作ります。
聞く側の事情にも触れておきます。受け取る側は、申し送りを聞きながら、そのあとの自分の動き、たとえば受け持ちの順番や、先に行う処置を、頭の中で組み立てています。話が長いと、その組み立てが中断されます。短くすることは手を抜くことではなく、受け取る側の作業を邪魔しないための配慮です。
削る基準は、聞き手が動くかどうか
残す情報の基準は、聞き手がそれによって動くか、判断が変わるかです。動きも判断も変わらない情報は、記録に書いてあれば、口頭では省けます。残すのは、次の三つです。
- 変わったこと:前の勤務帯のはじめと比べて、違ってきた点。数値や時刻があれば添えます
- やったこと:その変化に対して、すでに行った対応と、その結果です
- 次に見てほしいこと:次の勤務帯で、いつ、何を確かめるか。お願いしたいことがあれば、ここに入れます
並べる順番も大切です。最初に、いちばん伝えたい変化を一言で言い、そのあとに対応、最後にお願いと進めます。話の最後がお願いだと、聞き手は何をすればよいかを持ち帰りやすくなります。
- 拾う勤務中のメモを見る
- 選ぶ動きが変わる3つだけ
- 並べる変化→対応→お願い
- 言ってみる小声で一度だけ
全部話そうとしないで、3つだけ選ぼうね。
変化がない患者さんは、「変わりありません。引き続き、〇〇を見てください」の一言で終えます。変わらなかったことも大事な情報ですが、詳しく話すのは、聞き手が尋ねたときで足ります。
医療現場の伝達には、状況・背景・評価・提案の頭文字をとったSBARという型が使われることもあります。勤め先に決まった様式があれば、そちらが先です。ここで紹介する三つは、様式に当てはめる前の、情報を選ぶ下ごしらえとして使えます。
メモの段階で三つに絞れたら、口に出すのはぐっと楽になるよ。
次は、そのまま直して使える形を見てみよう。
そのまま直して使える、場面別の文例
文例は、そのまま読むためではなく、自分の言葉に直す土台として使います。〇の部分に、部屋や時刻、見てほしい項目を入れます。個人が分かる情報は、口頭でも記録でも、必要な範囲にとどめます。
- 〇号室|変化:夕方から食事量が減った
- やったこと:〇時に検温、医師に連絡済み
- 次に見ること:21時の検温と、食事の様子
- お願い:夜勤の最初の巡視で、声かけを
メモは、この四つの行だけでいいんだよ。
場面ごとの文例を並べます。
- 変化があるとき:「〇号室の方です。夕方から食事量が減っています。〇時に検温をして、医師に連絡済みです。21時にもう一度検温して、食事の様子と合わせて見てください」
- 変化がないとき:「〇号室の方は、午前から変わりありません。次の検温でも、同じ項目を見てください」
- 検査や外出の前後:「〇時に検査へ出ます。戻ったら、まず〇〇を確認してください。結果は〇〇さんに伝える予定です」
- 終わっていないことがあるとき:「〇〇は、まだ終わっていません。理由は〇〇で、〇時までに行う予定です。間に合わないときは、早めに声をかけます」
- 迷っていることがあるとき:「判断に迷っている点があります。〇〇をAにするかBにするか、〇〇さんに確認したいです。確認が取れるまでは、Aで見ています」
- 時間が限られているとき:「時間が限られているので、変化があった方から先に話します。変わりのない方は、あとでまとめます」
〇号室の方です。〔変化〕。〔対応〕。次は〔いつ・何を〕見てください。
変化・対応・お願いの順に並べた骨組み(個人が分かる情報は出さない)
朝の申し送りのように時間が限られる場面では、最後の「時間が限られているとき」の言い方が役に立ちます。話す順番を先に宣言しておくと、聞き手も、変化のある方に集中して聞けます。
聞き返されたときと、長くなったときの直し方
聞き返されること自体は、失敗ではありません。聞き手が必要な情報を取りに来ている合図です。聞き返された内容は、その場で一言メモしておきます。次の申し送りの最初にその項目を入れておくと、同じ聞き返しは減っていきます。
よくある言い方と、直し方の例です。
- ×「たぶん〜だと思うんですけど…」→〇「事実は〜です。推測ですが、〜の可能性があると考えています」
- ×「いろいろあって、えっと…」→〇「結論から言います。〜です」
- ×「〜という感じでした」→〇「〇時に〜でした」と、時刻や数値で言う
- ×「すみません、長くなりました」で終える→〇「以上です。確認したい点はありますか」で終える
報告全般の型は報連相のコツに、新人のうちの報告の悩みは新人看護師の報告に、介護士・薬剤師・リハビリ職など、職種ごとの伝え方の違いは看護師と多職種の関係にまとめています。
聞き返しを記録して、自分の型にしていく
申し送りの上達は、型を覚えることより、自分の聞き返されやすい場面を知ることで進みます。聞き返された場面を、日付、場面、直した一言の三つで、現在地ログに残してみてください。1か月分たまると、検査の前後が多い、夜間の様子が抜けやすい、といった偏りが見えてきます。
偏りが見えたら、その場面の文例だけを、自分の言葉で作り直します。全部の場面を直そうとしないほうが、続けやすくなります。
型を使っても、話すたびに強く緊張するときは、申し送りの技術より、相手との関係の難しさが関わっているのかもしれません。そのときは先輩がきついときも読んでみてください。次は、患者さんへの言葉遣いを整える接遇と言葉遣いの言い換え集です。
短く伝えられた日は、あとからじわっと、うれしくなるよね。
よくある質問
申し送りが苦手で、毎回、時間がかかります。何から直せばよいですか?
話す前に、メモの中から聞き手が動く情報を三つに絞る作業から始めます。話し方を直す前に、中身を選ぶだけで、短くなることが多いです。
患者さんの数が多い日は、どうやって短くしますか?
変化があった方から先に話し、変わりのない方は「変わりありません」の一言でまとめます。話す順番を先に宣言しておくと、聞き手も集中しやすくなります。
メモを見ながら話してもよいですか?
勤め先の様式や決まりがあれば、それが先です。そのうえで、数値や時刻はメモを見て正確に伝えるほうが、記憶に頼って言い間違えるより安全です。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。