ケース別・職種
看護師と介護士・助手・薬剤師・リハビリ職との関係を職種別に整理
更新 2026年10月23日読むのに約6分
他職種との行き違いは、相手の態度よりも、見ている場面が違うことから生まれることがあります。この記事では、職種ごとに、頼み方・聞き方の例と、こじれたときの動き方を整理します。
介護士さん、助手さん、薬剤師さん、リハビリの先生。誰に何を頼めばいいのか、迷うこともあるよね。
職種ごとに、見ている場面が違う
同じ患者さんを見ていても、職種ごとに見ている場面は違います。職場による違いはありますが、看護師は病状の変化や医療的な処置、全体の調整を見る場面が中心になります。介護士は食事・排せつ・入浴・移動などの生活の介助、薬剤師は薬の内容や飲み方、リハビリ職は動作や、できることの変化を見る場面が中心です。上下ではなく、見ている角度が違うだけです。
| 職種 | 主に見ている場面 | 頼む・聞くときのコツ |
|---|---|---|
| 介護士 | 食事・排せつ・入浴・移動などの生活の介助 | 気づきを聞き取り、看護側の判断は理由を添えて返す |
| 看護助手 | 環境整備・物品の補充・搬送などの周辺業務 | 何を・いつまでに・報告先の3点で頼む |
| 薬剤師 | 薬の内容・飲み方・組み合わせ | 患者さんの状態と、困っている点をそろえて聞く |
| リハビリ職 | 歩く・立つなどの動作、日常生活の動き、飲み込みの訓練 | 病棟での様子と、訓練室での様子を交換する |
役割の分け方は、職場によって違います。業務基準・手順書で確かめてください。
見ている場面が違うだけ、と考えると気が楽だよ。
職場によって、役割の分け方は違います。介護士が多い施設もあれば、助手さんが中心の病棟もあります。業務基準や手順書で、誰がどこまで行うかを確かめておくと、頼みごとの線引きに迷いにくくなります。
新しく入った人は、職種ごとの役割より先に、「誰に聞けば早いか」を覚えるほうが、仕事が回りやすくなります。最初の週に、各職種の窓口になる人を一人ずつ、教えてもらいます。名前と顔が一致していると、頼みごとの心理的な距離が、ぐっと縮まります。
介護士・看護助手:生活の場面を、いっしょに支える相手
生活の介助の場面は、介護士や助手さんのほうが、患者さんと長く接していることがあります。食欲、表情、眠りの様子、皮膚の変化といった小さな気づきを、持っていることもあります。まず聞くところから始めると、情報が集まりやすくなります。
「今日、食事の様子はどうでしたか」のように、具体的な場面を聞くと、答えやすくなります。「何か変わったことはありましたか」だけだと、答えが短くなることがあります。
言葉の違いにも気をつけます。看護の現場で普通に使っている略語や専門用語が、介護の現場では通じないことがあります。逆に、介護の現場の言い方が、看護側に伝わらないこともあります。頼むときや聞くときは、略語を使わず、「いつ」「どこで」「どのくらい」を言葉にすると、行き違いが減ります。
看護の判断が必要な場面では、結果だけでなく、理由を一言添えます。「この方は、飲み込みの様子を見たいので、食事のときにむせがあれば教えてください」のように、観察してほしい点を具体的に頼みます。「これは、お願いできない」と断る場面でも、理由を添えると、関係がこじれにくくなります。
気づいたことを教えてもらえて、助かりました。この点だけ、私のほうで確認しますね。
介護士さんの気づきを受け取る例
看護助手さんへの指示の出し方は、別の記事に文例をまとめています。看護助手への指示の出し方と言い方の例で、依頼の3点と、場面別の言い方を確かめられます。
薬剤師:薬の疑問は、情報をそろえて聞く
薬のことを薬剤師に聞くときは、聞く側の情報がそろっているほど、答えが早く返ってきます。患者さんの状態(飲み込みの様子、食事の状況)、困っている点、いつまでに知りたいかを、先に整理します。
飲ませ方や、薬の形を変えてよいかは、自分で決めず、薬剤師や医師に確かめます。確かめる内容を短く書いてから連絡すると、行き違いが減ります。
○号室の方で、飲み込みにくさが出てきました。いまの薬の形のままでよいか、確認させてください。午後の配薬までに知りたいです。
薬剤師に聞く例
調剤室が離れている職場では、やり取りが電話や院内のシステムが中心になります。顔が見えないぶん、用件と期限を最初に言うほうが、相手が動きやすくなります。
薬の変更や、中止の連絡が入ったときは、誰がその情報を受け取り、誰が患者さんに伝えるのかを、その場で確認しておきます。連絡が薬剤師、医師、看護師のあいだを行き来するうちに、最後の人に届いていなかった、ということが起きやすいところです。受け取ったあとは、申し送りに残して、次の勤務帯の人に伝わる形にします。
薬の連絡は、最後に誰が受け取ったかまで見届けると安心だね。
リハビリ職:病棟での様子と、訓練室での様子をつなぐ
リハビリ職は訓練室での動きを、看護師や介護士は病棟での動きを、それぞれ見る場面が中心になることがあります。この二つが食い違うことがあります。「訓練室では歩けるのに、病棟では、一人で立とうとしない」のような場面です。どちらが正しいかではなく、情報を交換するきっかけです。
伝えるときは、時間帯と場面を添えます。「夕方になると、ふらつきが強い」「トイレのとき、手すりを使わない」といった形です。リハビリ側から、病棟での介助の方法や、声のかけ方を教えてもらうと、日々のケアにも活かせます。
日程の調整でも、行き違いが起きやすい職種です。検査や処置と、訓練の時間が重なるときは、前もって連絡し、「いつならよいか」を一緒に決める形にすると、互いに動きやすくなります。
退院や転院が近づいたときは、目標の共有が大切になります。「トイレまで一人で歩けるようにしたい」「食事を自分で食べられるようにしたい」など、退院後の生活で必要な動きを、看護師、介護士、リハビリ職がそれぞれ同じ言葉で覚えておくと、日々のかかわりがそろいます。目標が職種ごとに違っていると、患者さんも戸惑います。
- 相手と用件:リハビリ(訓練の時間変更)
- 患者さんの状態:○号室、午後は疲れが出やすい
- 困っていること:検査と時間が重なる
- いつまでに:今日の15時までに返事がほしい
- 返事の受け取り方:電話/メモ/ステーションで声
連絡の前に書き出すと、抜けに気づけるよ。
ぎくしゃくしたときの動き方
職種の間で行き違いが起きたとき、早めに動くと、小さなうちにおさまることがあります。順番の例です。
- 1. 何が、いつ、誰との間で起きたかを、事実で整理する
- 2. 相手に直接、責める形でなく、確認の形で聞く
- 3. 直らないときは、主任や師長に、事実で伝える
- 4. 職種をまたぐ調整は、主任やリーダー同士で話してもらう
医師への報告や連絡が絡むときは、医師への報告の順番にまとめています。他職種に伝えた内容を、申し送りでどう残すかは、申し送りの伝え方で確かめられます。
どの職種にも共通して使えるのは、お礼を具体的に言うことです。「ありがとうございます」だけでなく、「この情報で、午後の対応が決められました」と、役に立った点を添えます。役に立ったことが伝わると、次の連絡や情報が、さらに集まりやすくなります。
関係の悩みが重く、出勤が気になるときは、一人で抱えず、つらいときの窓口にも話せます。
職種間の悩みは、個人の相性に見えて、実は仕組みの問題のこともあります。連絡の手段が決まっていない、申し送りの時間に他職種が入れない、といった仕組みの穴は、一人の工夫では埋まりません。主任や師長に、仕組みの話として伝えると、職場全体の動きとして考えてもらえます。
職種が違うと、言葉の前提も違うんだよね。
聞いて、伝えて、少しずつ合わせていこう。
よくある質問
介護士さんと看護師の考え方が違うときは、どうすればよいですか?
どちらが正しいかを決める前に、それぞれが見ている場面を聞きます。看護側の判断は、結果だけでなく理由を添えて返すと、納得してもらいやすくなります。
薬剤師への問い合わせは、電話と院内システムのどちらがよいですか?
職場の決まりによって違います。急ぎの場合や、状態の説明が必要な場合は電話、記録として残したい場合はシステム、というように使い分ける職場もあります。勤め先の決まりを確かめてください。
リハビリの時間と、検査や処置が重なったときは?
前もって連絡し、いつならよいかを一緒に決めます。連絡では、患者さんの状態と、重なる理由、返事がほしい時刻を添えると、調整が進みやすくなります。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。