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税金・社会保険

看護師の年金はいくら?厚生年金の計算式と、加入年数別の受給額の試算

更新 2026年10月23日読むのに約6分

年金の話は、仕組みを聞くほど遠く感じてしまいます。老後にいくら受け取れるかは、保険料を納めた月数と、働いたときの報酬で決まるので、日本年金機構の計算式に看護師の平均賃金を当てはめて、加入年数別の目安を出してみます。

年金って、聞けば聞くほど、遠い話に思えてこない?

年金は2階建て。まず言葉を整理する

日本の公的年金は、2つの層に分けて考えると見やすくなります。1つめは国民年金で、受け取る年金を老齢基礎年金といいます。2つめは厚生年金で、会社などに勤めて厚生年金に入った期間がある人が、基礎年金に上乗せして受け取る年金を老齢厚生年金といいます。日本年金機構は、老齢基礎年金を受け取れる人に厚生年金の加入期間があれば、65歳から上乗せされる、と説明しています。

看護師は、病院や施設に常勤で勤める間は、厚生年金に入るのが一般的です。非常勤やパートの場合は、週の所定労働時間20時間以上などの要件に当たれば加入します。企業規模の要件は段階的に撤廃が進んでおり、勤務先の規模によって適用の時期が違います。詳しくは看護師の扶養と社会保険の壁で扱っています。

もう1つ、覚えておきたい区分があります。厚生年金に入っている人に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者で、年収130万円未満などの条件に当たる人は、国民年金の第3号被保険者になり、自分で保険料を納めません。退職して厚生年金を抜けた60歳未満の人は、国民年金に切り替えて、保険料を自分で納める必要が出てきます。切り替えの手続きは、退職後の健康保険・年金・税金の手続きにあります。

加入から受け取りまでの流れ
  1. 20歳から加入国民年金。勤めれば厚生年金
  2. 保険料を納める免除・猶予の制度もある
  3. 10年以上受給資格期間
  4. 65歳から受け取る繰上げ・繰下げも選べる

どこを見ればいいかが、少し見えてくるよ。

老齢基礎年金は、満額と計算式を知る

老齢基礎年金を受け取るには、保険料を納めた期間と、免除された期間などを合わせた受給資格期間が、10年以上必要です。以前は25年でしたが、2017年8月1日から10年になりました。受け取りは、原則として65歳からです。

金額は、日本年金機構によると、令和8年4月分から、昭和31年4月2日以後生まれの人で、満額が年額847,300円(月額70,608円)です。昭和31年4月1日以前生まれの人は、年額844,900円(月額70,408円)です。令和8年度の改定率は1.9%と、機構が案内しています。

計算式は、満額の847,300円に、保険料の納付状況を月数で表した数を掛けて、40年分の480月で割る形です。納付した月は1、全額免除の月は8分の4、4分の1納付の月は8分の5、半額納付の月は8分の6、4分の3納付の月は8分の7として数えます。40年は、20歳から60歳までの加入できる期間です。

次の二つは、式の動きを見るための例です。実際の見込額は、本人の記録で決まります。

  • 40年のうち420月を納めて、残りの60月が未納だった場合:847,300円 × 420 ÷ 480 = 約74万1千円
  • 同じ420月を納めて、残りの60月が全額免除だった場合:免除の60月が8分の4で30月分になるので、847,300円 × 450 ÷ 480 = 約79万4千円

未納の月は年金額に反映されませんが、免除の月は一部が反映されます。収入が減って保険料が払えないときは、未納のままにせず、免除や納付猶予の申請を考えます。制度は、このあとの節で説明します。転職で勤務先を変える間に空白ができると、その期間の保険料の扱いが、年金額の差になって現れます。

自分の年金を、確かめる準備

式がいくつも出てきたね。ここで一度、深呼吸しよう。

次に出てくるモデルの額は、条件を先に見てから読んでね。

厚生年金の上乗せと、モデルの額の読み方

老齢厚生年金の中心になる報酬比例部分は、日本年金機構によると、平成15年4月以後の加入期間について「平均標準報酬額 × 1000分の5.481 × 加入月数」で計算します。平均標準報酬額は、各月の標準報酬月額と標準賞与額の合計を加入月数で割った額で、賞与も含みます。平成15年3月以前の期間は、賞与を含まない平均標準報酬月額に1000分の7.125を掛ける別の式です。過去の報酬は、再評価率で今の水準に置き換えてから計算します。

看護師の平均に当てはめてみます。令和7年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)で、10人以上の事業所の一般労働者の看護師は、きまって支給する現金給与額が月36万5,900円、年間賞与が85万6,400円でした。月額×12+賞与で年約524.7万円、12で割って月約43.7万円を、平均標準報酬額と仮に置きます(筆者の計算)。全期間が平成15年4月以後で、この水準が続いたとする、単純な試算です。

  • 厚生年金に40年(480月):報酬比例部分 約115.0万円。基礎年金の満額84.7万円と合わせて年約199.8万円(月約16.6万円)
  • 厚生年金に30年(360月):報酬比例部分 約86.3万円。基礎年金と合わせて年約171.0万円(月約14.3万円)
  • 厚生年金に20年(240月):報酬比例部分 約57.5万円。基礎年金と合わせて年約142.2万円(月約11.9万円)

どの行も、基礎年金は40年分を納めた満額(令和8年度、昭和31年4月2日以後生まれ)として足しています。厚生年金に入っていない期間に国民年金の未納があれば、基礎年金は減ります。実際の額は、標準報酬月額の上限、賃金の変化、経過的加算、税や保険料の天引きで変わるため、試算は式の動きを見る目安です。個人の見込額は、ねんきん定期便など、本人の記録に基づく案内で確かめます。

日本年金機構は、令和8年4月分から、厚生年金の標準的な年金額を、夫婦2人分の基礎年金を含めて月額237,279円としています。前提は、平均標準報酬(賞与を含めた月額換算)が45.5万円で、40年間就業した場合です。前の年度は232,784円でした。

受け取り方の選択と、免除・窓口

年金は、65歳より遅らせて受け取る繰下げと、早めて受け取る繰上げを選べます。繰下げは66歳から75歳の間で選べて、増額率は1か月につき0.7%、最大84%(75歳で84.0%)です。増額した額は、生涯続きます。繰上げは60歳から65歳の間に請求でき、1か月につき0.4%、最大24%(昭和37年4月2日以後生まれ)が減ります。請求したあとは取り消せず、国民年金の任意加入や保険料の追納ができない、事後重症による障害年金の請求ができないなどの制限もあります。どちらが得かは、人によって違うので、ここでは増減の仕組みだけを示します。

60歳以上で、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取る場合は、在職老齢年金の仕組みがあります。令和8年4月から、基準額が月51万円から月65万円に上がり、基本月額と総報酬月額相当額の合計がこれを超えると、超えた分の半分が支給停止になります。老齢基礎年金は、この調整の対象外です。

保険料を納めるのが難しいときは、免除(全額・4分の3・半額・4分の1)と、20歳以上50歳未満が対象の納付猶予があります。失業などの事実を確認できれば、前年の所得に関係なく免除や猶予を受けられる特例もあります。納付猶予の期間は、受給資格期間には入りますが、年金額には反映されません。免除・猶予の保険料は、承認から10年以内なら追納できます。退職して収入が途切れるときに、思い出せる制度です。国民年金の保険料は、令和8年度は月額17,920円です。

年金の仕組みの早見表(令和8年度)
項目数字・内容見るとき
受給資格期間10年以上免除の期間も含めて数える
受け取り開始原則65歳繰上げ・繰下げも選べる
基礎年金の満額年額847,300円昭和31年4月2日以後生まれ
繰下げの増額1か月0.7%・最大84%66歳から75歳まで
繰上げの減額1か月0.4%・最大24%請求後は取り消せない
保険料(国民年金)月額17,920円免除・猶予の制度がある

令和8年度の公的な数字です。年度が変わると改定されるので、日本年金機構の案内で確かめてください。

気になる行に、印をつけておこう。

老後の資金づくりの全体像は、看護師の老後資金の考え方で扱います。公的年金の見込額は、ねんきん定期便や、日本年金機構の窓口で、自分の記録を確かめるところから始まります。

ここまで付き合ってくれて、うれしいよ。

仕組みが見えただけでも、ぼんやりした不安は、少し小さくなるよ。

よくある質問

看護師の年金は、いくらもらえますか?

保険料を納めた月数と、厚生年金に入っていた期間の報酬で決まります。看護師の平均賃金(令和7年の統計で年約524.7万円)が40年続いたと仮に置くと、報酬比例部分は年約115万円、基礎年金の満額と合わせて年約200万円が目安です。自分の額は、ねんきん定期便などの本人の記録で確かめます。

厚生年金の標準的な額の237,279円は、自分にも当てはまりますか?

当てはまるとは限りません。夫婦2人分の基礎年金を含み、平均標準報酬45.5万円で40年間就業した場合のモデルです。自分の額は、ねんきん定期便などの本人の記録で確かめます。

転職で空白期間があると、年金はどうなりますか?

厚生年金を抜けた期間は、国民年金の保険料を納める必要があります。払えないときは、未納にせず、免除や納付猶予の申請を、市区町村の窓口や年金事務所で相談します。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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