老後のお金
看護師の老後資金はいくら足りない?年金の試算と家計調査で見る早見表
更新 2026年10月23日読むのに約7分
老後のお金は、「総額いくら」を探すより、毎月の支出と年金の差から出すほうが、自分の数字に近づきます。この記事では、家計調査の支出と、看護師の平均賃金で出した年金の試算を並べて、足りない額の早見表にします。
老後にいくら必要か、と考えはじめると、そこで手が止まっちゃうよね。
支出と年金を、同じ月の単位で並べるところから始めよう。
老後の支出の目安:家計調査の高齢無職世帯
老後の支出の目安には、総務省統計局の「家計調査」が使えます。2025年(令和7年)平均では、65歳以上の単身の無職世帯の消費支出は月148,445円、税や社会保険料などの非消費支出は月12,990円でした。65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、消費支出が月263,979円、非消費支出が月32,850円です。
収入の側も見ておきます。単身の無職世帯の実収入は月131,456円で、そのうち年金などの社会保障給付が120,212円です。可処分所得(実収入から非消費支出を引いた額)118,465円に対して消費支出が上回り、毎月29,980円が足りていません。夫婦のみの無職世帯でも、可処分所得221,544円に対して、毎月42,434円が足りない形です。足りない分は、貯金などを取り崩して埋めている、と読めます。
この記事の試算では、年金を税や保険料を引く前の額で出すため、支出の側も「消費支出+非消費支出」で比べます。単身なら月161,435円、夫婦のみなら月296,829円です。これは全国の平均で、住まいが持ち家か賃貸か、地域、健康状態で大きく変わります。自分の家計で置き換えるときは、いまの支出から、仕事のための費用や子どもの費用など、老後になくなるものを引いて考えます。
支出の数字は、ノートに写しておくといいよ。次で年金と並べるからね。
看護師の年金を、厚生年金の加入年数別に試算する
公的年金は、国民年金(老齢基礎年金)と、厚生年金(老齢厚生年金)の2階建てです。老齢基礎年金の令和8年度の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの人で年額847,300円(月額70,608円)で、20歳から60歳までの40年間、保険料を納めた場合の額です。
老齢厚生年金の報酬比例部分は、日本年金機構の案内では、平成15年4月以後の加入期間について「平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数」で計算します。平均標準報酬額は、各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、加入月数で割った額で、過去の分は再評価率で現在の水準に直します。
看護師の賃金の水準には、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査を使います。看護師(男女計)のきまって支給する現金給与額は月365,900円、年間賞与は856,400円で、年に直すと約524.7万円、月平均で約43.7万円です。これを平均標準報酬額と置いて、加入年数ごとに当てはめたのが、次の試算です。
- 厚生年金40年(480月):報酬比例部分は年約115.0万円(月約9.6万円)。基礎年金の満額と合わせて月約16.6万円
- 厚生年金30年(360月):報酬比例部分は年約86.3万円(月約7.2万円)。合わせて月約14.3万円
- 厚生年金20年(240月):報酬比例部分は年約57.5万円(月約4.8万円)。合わせて月約11.9万円
試算の仮定は、加入期間のすべてで、いまの看護師の平均と同じ水準の報酬だったこと、国民年金は40年納めて満額であること、平成15年4月以後の式だけで計算したことです。実際には、若いころの報酬は低めのことが多く、パートや休職の期間があれば下がります。この試算は当サイトの計算で、個人の見込額ではありません。自分の額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめます。
足りない額の早見表と、条件を変えたときの動き
上の年金の試算と、単身の無職世帯の支出の目安(月161,435円)を並べると、次のようになります。65歳から90歳までの25年間、同じ差が続くと置いた場合の合計も載せます。
| 厚生年金の加入 | 年金の月額(試算) | 支出の目安との月の差 | 25年分の合計 |
|---|---|---|---|
| 40年 | 約16.6万円 | 約0.5万円の余り | 不足なし |
| 30年 | 約14.3万円 | 約1.9万円の不足 | 約568万円の不足 |
| 20年 | 約11.9万円 | 約4.3万円の不足 | 約1,287万円の不足 |
当サイトの試算。支出は家計調査2025年の65歳以上単身無職世帯(消費支出+非消費支出)。年金は税・保険料を引く前の額。
加入年数が10年違うと、25年分で数百万円動くんだね。
数字は、条件で大きく動きます。毎月の支出が2万円違えば、25年で600万円動きます。持ち家でローンが終わっていれば支出は下がり、賃貸なら家賃の分だけ上がります。夫婦の場合は、支出の目安が月296,829円になり、二人分の年金の記録を合計して比べます。夫婦の一方が厚生年金に入っていた期間が短いと、差は広がります。
年金の側も動かせます。65歳より後に受け取る繰下げは、1か月につき0.7%の増額で、早める繰上げは1か月につき0.4%の減額です。65歳以降も働いて厚生年金に入れば、加入月数が増えます。仕組みの全体と、自分の見込額の見方は、看護師の年金の仕組みと見込額の見方にまとめています。
- 年金の記録を出すねんきん定期便
- 月額を確かめる公的年金の見込み
- 支出と並べる毎月の差を出す
- 期間を掛ける仮の年齢で置く
- 置き場に分ける退職金・積立・貯金
答えを一つ決めるより、条件を変えて何度か出してみよう。
足りない分を、どの置き場で埋めるか
足りない額が見えたら、埋める置き場を考えます。置き場は、退職金、iDeCo、新NISA、貯金の4つが中心です。退職金は勤め先の制度で決まり、ないこともあります。受け取るときは退職所得として扱われ、国税庁の案内では、勤続年数に応じた退職所得控除を引いた額の2分の1が、課税の対象になります。額の見方と受け取るときの税金は、看護師の退職金の全体像にまとめています。
iDeCoは原則として60歳まで引き出せない私的年金で、掛金は所得控除の対象です。新NISAは、投資の利益が非課税になる制度で、非課税の期間は無期限です。どちらも元本が保証されるものではありません。上限額や改正の内容は、ふるさと納税・iDeCoの記事で確かめてください。どの商品を選ぶか、いくら積むかは、収入・家族・目的で変わる個別の判断になるため、この記事では書きません。
年金が始まるまでのつなぎや、急な出費に備えるお金は、いつでも使える貯金の側で考えます。いまの貯金の目標額の出し方は、看護師の貯金の必要額を出す手順にあります。
数字が一つ出ると、不安が「この額をどう埋めるか」に変わるよ。
条件を変えて、何度か出し直してみようね。
よくある質問
看護師の老後資金は、いくら足りないのですか?
人によって違います。当サイトの試算では、看護師の平均賃金で厚生年金に30年入った単身の場合、家計調査の支出の目安と比べて月約1.9万円、25年で約568万円の不足でした。40年なら不足はなく、20年なら約1,287万円の不足です。自分の額は、ねんきん定期便で出し直してください。
看護師の年金は、月いくらくらいですか?
加入期間と報酬で決まります。看護師の平均(月約43.7万円)で厚生年金に40年入り、国民年金も満額と仮定すると、税・保険料を引く前で月約16.6万円という試算になります。実際の額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめます。
iDeCoや新NISAは、始めたほうがよいですか?
制度の説明にとどめ、始めるべきかは書きません。iDeCoは原則60歳まで引き出せない点が、新NISAと違います。使う時期と、続けられる額を整理してから、金融機関の窓口で確かめます。
出典・参考(公的な情報)
- 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要(参考4 65歳以上の無職世帯の家計収支)(総務省統計局)
- 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額(日本年金機構)
- 令和8年4月分からの年金額等について(日本年金機構)
- 報酬比例部分(年金用語集)(日本年金機構)
- 令和7年賃金構造基本統計調査 職種 第1表(一般労働者・看護師の月額と賞与)(e-Stat(厚生労働省))
- 年金の繰下げ受給(日本年金機構)
- 年金の繰上げ受給(日本年金機構)
- No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(国税庁)
- iDeCoの特徴(iDeCo公式サイト)(国民年金基金連合会)
- NISAを知る:NISA特設ウェブサイト(金融庁)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。