復職・ブランク
潜在看護師とは。なぜ多いのかと、届出制度・復職の相談窓口
更新 2026年10月23日読むのに約6分
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「潜在看護師」は、本人の気持ちとは別に、制度の側で使われている呼び名です。言葉の意味となぜ多いのか、離職中の看護師が届け出る制度と相談の入口を、公的な資料で整理します。
「潜在」って、なんだか不思議な響きの言葉だよね。
どんな意味で使われているのか、先に見てみようか。
「潜在看護師」は、制度の側から付けられた呼び名
「潜在看護師」は、看護の免許を持ちながら、いまは看護の仕事に就いていない人を指して使われることが多い言葉です。法令に出てくる用語ではなく、厚生労働省の資料では「潜在看護職員」という言い方が使われています。この記事では、探されやすさを考えて「潜在看護師」と書きます。
数字も、制度の側の見方です。厚生労働省の資料の注記では、平成30年(2018年)末時点の推計で、65歳未満の就業している看護職員が約154.0万人、65歳未満の潜在看護職員が約69.5万人とされています(平成22年末は約71.5万人)。令和2年度の厚生労働科学研究費補助金の研究にもとづく推計です。2018年末時点・65歳未満という区切りの数字なので、いまの人数を示すものではありません。
この呼び名には、本人の気持ちは含まれていません。休んでいる理由も、戻りたい時期も、そもそも戻りたいかどうかも、人によって違います。厚生労働省は、少子化が進むなかで、潜在看護職員を含む離職中の看護師等の復職を支援する必要があると説明しています。呼び名は、その支援の対象を指す言葉として使われています。
潜在看護師は、なぜ多いのか。離職の理由から見る
看護の仕事を離れる理由は、働き方の不満だけではありません。厚生労働省の資料に載っている、日本看護協会中央ナースセンターの2021年度の登録データ(看護経験があり、いまは未就業か看護職以外で働いている求職者。複数回答)では、退職理由の上位は、結婚11.6%、子育て10.5%、転居9.1%、妊娠・出産8.8%、自分の健康(主に身体的理由)7.4%でした。夜勤の負担が大きい(4.9%)や、勤務時間が長い・超過勤務が多い(5.4%)も、上位10位に入っています。年代別の上位3つは、次のとおりです。
- 20代:1位 結婚 13.1%、2位 転居 12.7%、3位 看護職の他の職場への興味 11.5%
- 30代:1位 結婚 15.7%、2位 妊娠・出産 15.2%、3位 子育て 14.5%
- 40代:1位 子育て 16.1%、2位 結婚 13.0%、3位 妊娠・出産 11.9%
- 50代:1位 親族の健康・介護 12.7%、2位 自分の健康(主に身体的理由)10.4%、同率で結婚 10.4%
同じ資料は、離職の理由はライフステージと結びつきやすく、20代では「自分の健康(主に精神的理由)」が他の年代より多いと説明しています。戻りにくさの側も見ておきます。日本看護協会の2007年の調査(未就業で就業の意向がある人)では、戻るときの希望の勤務形態は「日勤のみ」が61.3%で、交代制(3交代4.9%、2交代7.0%)は合わせて1割あまりでした。古い調査ですが、夜勤のある働き方に戻ることへのためらいが、復職の壁になりやすいことがうかがえます。日勤だけの職場の探し方はブランクのあとの働き方にまとめています。
離職を届け出る制度は、つながりを保つためにある
看護師等の人材確保の促進に関する法律が改正され、2015年(平成27年)10月1日から、離職した看護師等がナースセンターに届け出る制度が始まっています。届出は努力義務で、届け出なくても罰則はありません。厚生労働省は、離職中の看護師等とつながりを保ち、復職に向けた研修、無料の職業紹介、相談員による助言や情報提供を行うための制度だと説明しています。
潜在看護師と呼ばれる立場の人は、ほとんどがこの届出の対象に当たります。病院などを離職した人、看護の仕事に就いていない人、免許を取ってすぐには働かない人などです。対象の細かい区分と、届け出る項目は、離職時の届出の中身にまとめています。
届出は、本人だけの仕事でもありません。病院等の開設者や養成所の設置者には、届出が適切に行われるよう必要な支援に努める責務があり、離職する職員に届出を促す、まとめて代行届出をする、といった支援が示されています。離職の手続きのときに、職場から案内される場合もあります。
届け出ると、何が起きるのか
届出の方法は、インターネットの届出サイト「とどけるん」が原則です。インターネットの環境がない場合は書面でも届け出られ、窓口は都道府県ナースセンターです。
届出と、求職の登録は、別のものです。届出のときに「無料職業紹介事業への登録を希望する」を選ぶと、届出の情報がeナースセンターにも自動で登録され、届出と同じIDで求職の機能を使えます。選ばなければ、届出だけで終わります。相談員による相談を希望するときは、届け出た都道府県のナースセンターに、電話か窓口で伝えます。
- 届け出る原則ネット。書面も可
- 登録を選ぶ無料職業紹介を希望
- 求人を受け取る条件に合う求人をメールで
- 相談を伝える電話か窓口で
届出だけで止まっても、あとから相談に進めるよ。
届出の情報の扱いについて、厚生労働省のページは、届出情報は復職支援のためだけに使われ、ナースセンターの外には提供・利用されないこと、ナースセンターの職員には法律上、秘密を守る義務があることを説明しています。プライバシーポリシーの全文は、「とどけるん」のページで確かめられます。
いまは、届け出るかどうかを考えるだけでも、ひとつ前に進んでいるよ。
復職の相談は、どの窓口に持っていくか
都道府県ナースセンターは、法律にもとづいて都道府県知事が指定し、各都道府県の看護協会が運営する、看護職員確保の公的な拠点です。厚生労働省の資料では、離職中の看護職の復職支援(無料職業紹介)、看護職や医療機関への情報提供・相談対応、訪問看護などの研修の実施を行うと説明されています。47都道府県すべてに1つ以上のセンターかサテライトがあり、就業の相談は無料です。サービスの内容は、都道府県によって一部違います。
もう一つの入口が、ハローワークです。厚生労働省は、ナースセンターの相談員が地域のハローワークで相談を行う場合があると説明しています。ナースセンターが遠い人は、最寄りのハローワークで相談できます。開催の日時は、都道府県ナースセンターに確かめます。
ナースセンター
看護職の就業相談に特化した窓口です。日本看護協会のeナースセンターは、看護経験のある相談員もいると案内しています。厚生労働省は、病院以外の働き方も含めて検討できると説明しています。
ハローワーク
幅広い職種の求人を扱い、雇用保険の手続きの窓口でもあります。医療や福祉の分野を支える人材確保対策コーナーを設けている事務所もあります。
どちらが良いかは、公的な資料からは決められません。看護職に特化した相談をしたいのか、雇用保険の手続きもまとめて済ませたいのかで、入口が変わります。ナースセンター全体でできることはナースセンターとはにまとめています。この記事では、届出と窓口の関係だけを押さえます。
| 窓口 | できること | 覚えておくこと |
|---|---|---|
| とどけるん | 離職時等の届出 | 努力義務。罰則なし |
| eナースセンター | 求職登録・求人のメール案内 | 無料職業紹介 |
| 都道府県ナースセンター | 相談・復職支援研修・交流会 | 内容は都道府県で違う |
| ハローワーク | 地域での相談・雇用保険の手続き | 日時はナースセンターに確認 |
内容は都道府県や事務所で異なります。窓口で確かめてください。
窓口は、聞きたいことで選んでいいんだよ。
届出をしていない人が、ナースセンターのサービスをどこまで使えるかは、厚生労働省のページには明記がありません。使いたいサービスがあるときは、お住まいの都道府県ナースセンターに、届出が要るかどうかを聞くのが確実です。
求職の登録の手順はナースセンター登録の流れに、復職支援研修の受講料や日数は復職支援研修の記事に分けています。
ブランクが気になるときは、復職に向けた勉強の進め方を、復職したあとの働き方の選び方はブランクのあとの働き方を読んでみてください。
届け出たからといって、働くと決めたことにはならないからね。
調べに来てくれて、ありがとう。
よくある質問
潜在看護師は、いま何人くらいいますか?
厚生労働省の資料の注記では、平成30年(2018年)末時点の推計で、65歳未満の潜在看護職員は約69.5万人です。これは2018年末時点の推計で、いまの人数ではありません。
潜在看護師は、なぜ多いのですか?
ナースセンターの2021年度の登録データでは、退職理由の上位は結婚・子育て・転居・妊娠・出産で、暮らしの変化が中心です。50代では親族の介護、20代では心の健康を理由にする人が他の年代より多くなっています。
離職の届出をしないと、罰則がありますか?
届出は努力義務で、届け出なくても罰則はありません。厚生労働省は、届け出ると復職研修や職業紹介などの支援を受けられると説明しています。
届け出ると、求職の登録もしたことになりますか?
別のものです。届出のときに「無料職業紹介事業への登録を希望する」を選ぶと、eナースセンターにも自動で登録されます。選ばなければ、届出だけになります。
出典・参考(公的な情報)
- 看護師等免許保持者の届出制度(厚生労働省)
- 離職時等の届出制度(公益社団法人 日本看護協会)
- ナースセンターへの届出制度と復職支援をご利用ください!(リーフレット)(厚生労働省)
- ブランクを経て働く(厚生労働省)
- 看護師等(看護職員)の確保を巡る状況(厚生労働省)
- 看護職員の離職理由(2021年度ナースセンター登録データ。看護師等の確保を巡る状況 の中の1枚)(厚生労働省(資料出所:日本看護協会 中央ナースセンター))
- 看護職員の離職理由・再就業の希望条件(日本看護協会「潜在ならびに定年退職看護職員の就業に関する意向調査」2007年。2009年12月の審議会資料)(厚生労働省(日本看護協会 提出資料))
- eナースセンター(日本看護協会)
- 人材確保対策コーナー(ハローワーク大阪西の案内)(大阪労働局(厚生労働省))
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。