制度の解説
看護師のストレスチェックとは。仕組みと、結果の使い方を整理する
更新 2026年10月23日読むのに約6分
ストレスチェックは、受けたあとに「この結果は、どうなるのだろう」と気になりやすい制度です。ここでは、言葉の意味、仕組み、結果の使い方、注意点の順に整理します。
あの質問票に答えたとき、どんな場面を思い浮かべたか、覚えてる?
ストレスチェックとは、どんな検査か
ストレスチェックは、労働安全衛生法66条の10に定められた検査です。条文は、事業者が労働者に対して、医師や保健師などによる「心理的な負担の程度を把握するための検査」を行わなければならないと書いています。病名を判定する検査とは書かれていません。
中身は、労働安全衛生規則52条の9で、3つの項目と決められています。職場における心理的な負担の原因に関する項目、心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目、職場における他の労働者による支援に関する項目です。実施は、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期に行います。
3つの項目を日常の言葉に置き換えると、「何が負担になっているか」「体や心にどんな自覚症状があるか」「同じ職場の人から支援を得られているか」の3方向です。夜勤のある職場で働く人なら、勤務の組み方や人手は一つ目、眠りや疲れは二つ目、困ったときに頼れる人がいるかは三つ目を思い浮かべながら答える、という場面があるかもしれません。
対象は「常時使用する労働者」と条文にあります。厚生労働省のQ&A集は、契約期間が1年未満の人や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は、義務の対象外と説明しています。パートで週3日勤務の人などは、対象に入らないことがあるため、案内が来ないときは勤め先に確かめます。結果は、検査を行った医師などから、本人に通知されます。
- 検査を受ける年に1回、定期に
- 結果が届く検査した医師等から本人へ
- 申し出る面接指導を希望するとき
- 医師が聴く面接指導と意見
- 措置を考える必要と認められたとき
結果が届いてからの道すじを、先に知っておくと、少し落ち着くよ。
この流れのうち、結果を職場がどう使うかは、本人の同意で変わります。次の節で、受ける・受けないと、結果の行き先を整理します。
受けないこともできるのか、結果は会社へ伝わるのか
厚生労働省の「ストレスチェック Q&A集」は、従業員にストレスチェックを受ける義務はあるかという問いに、「労働者に受検義務はございません」と答えています。そのうえで、全労働者が受検することが望ましいとしています。受検を義務にする規定がないのは、治療中などの特別な理由がある人に、無理に受けさせる必要がないためと説明されています。
「会社に結果を知られるのでは」という不安には、条文が答えています。66条の10は、検査を行った医師などは、あらかじめ本人の同意を得ないで、検査の結果を事業者に提供してはならないと定めています。同意は、書面または電磁的記録で行います(規則52条の13)。同意を得て結果の提供を受けた事業者は、その記録を5年間保存します。
結果を自分だけで持つ
同意しなければ、結果は事業者に提供されません。自分のための振り返りとして使えます。
同意して、職場にも伝える
同意すると、事業者が結果の提供を受けます。記録は5年間保存されるため、保存の扱いも勤め先に確かめます。
どちらが良いかは、人によって違います。結果を職場に伝えると、働き方の相談がしやすくなる場合もあれば、伝えたくない事情がある場合もあります。判断を急ぐ必要はなく、同意の確認が来たときに、考える時間をもらえるかを担当部署に聞いてみます。
受ける前の準備として、回答の方法(紙かウェブか)と、回答できる期間を、担当部署に聞いておくと慌てません。勤務の合間に急いで答えるより、落ち着いて考えられる時間を確保できるかも、確かめておく価値があります。方法や期間は、職場ごとに違います。
受けないこと、同意しないことで不利に扱われないかも、気になる点です。厚生労働省のストレスチェック指針は、受検しないこと、結果の提供に同意しないこと、要件を満たすのに面接指導を申し出ないことを理由にした不利益な取扱いを、事業者が行ってはならないものとしています。例として、就業規則で受検を義務づけ、受けない人を懲戒処分にすることは、法の趣旨に照らして行ってはならないと書かれています。そうした扱いを受けたと感じたときは、労働相談の窓口の選び方を参考に、職場の外にも相談できます。
受けたくない気持ちがあるのも、ふつうのことだよ。
高ストレスと出たときの面接指導と、ほかの窓口
検査の結果の通知を受けた労働者のうち、省令の要件に当てはまり、医師による面接指導を受けたいと申し出た人には、事業者は面接指導を行わなければなりません。申し出たことを理由に、不利益な取扱いをすることは禁止されています。要件は、労働安全衛生規則52条の15で、検査の結果、心理的な負担の程度が高い人で、面接指導を受ける必要があると検査をした医師などが認めた人、とされています。申し出は結果の通知を受けたあと遅滞なく行い、医師などは申し出をすすめることができます(52条の16)。当たるかどうかは、結果通知の案内と、検査をした医師などに確かめます。
面接指導の結果をもとに、事業者は医師の意見を聴き、必要があると認めるときは、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などの措置を講じることになっています。これは、事業者が必要と認めたときに行う措置で、夜勤を減らす権利が労働者にあるという意味ではありません。
面接指導は、希望した人が受けるものです。選ばなかった高ストレスの人が、放っておかれないよう、事業者は面接指導以外の相談窓口を案内することが重要と、こころの耳は書いています。職場の外の窓口は、相談先の選び方と、最初の1回の流れに並べました。
職場の規模で変わることと、早見表
ストレスチェックの実施は、常時50人以上の事業場では義務です。50人未満の事業場は、当分の間、努力義務と読み替えられています(労働安全衛生法の附則4条)。こころの耳によると、令和7年(2025年)の労働安全衛生法の改正で、50人未満の事業場も義務になり、施行は令和10年(2028年)4月1日です。
実施の状況について、厚生労働省の令和7年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況(常用労働者10人以上の民営事業所が対象)では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所のうち、64.0%がストレスチェックを実施していました。規模別では、労働者50人以上の事業所で89.8%、30人から49人で58.4%、10人から29人で55.9%です。いずれも、取り組んでいる事業所の中での割合で、全事業所の割合ではありません。
勤め先がストレスチェックをしていないように見えるときは、規模や、年に1回の時期を、担当部署に確かめます。産業医がいる事業場は、常時50人以上(労働安全衛生法施行令5条)です。産業医は、治療をする主治医とは別の役割で、労働者の健康管理に関わります。
| 項目 | 決まり | 根拠 |
|---|---|---|
| 実施の頻度 | 1年以内ごとに1回、定期に | 労働安全衛生規則52条の9 |
| 受検 | 労働者に受検義務はない | 厚生労働省のQ&A集 |
| 結果の提供 | 本人の同意なく事業者に出せない | 労働安全衛生法66条の10 |
| 同意の方法 | 書面または電磁的記録 | 労働安全衛生規則52条の13 |
| 結果の記録 | 同意を得て提供を受けたら5年保存 | 労働安全衛生規則52条の13 |
| 50人未満 | 令和10年4月1日から義務 | こころの耳(厚生労働省) |
決まりの細部は、勤め先の担当部署や窓口で確かめてください。
知っておくだけで、結果の受け取り方が少し楽になるよ。
休むかどうかを考える段階になったときは、休職を考えたときの流れへ進めます。職場のストレス全般の見方は、ストレスの受け止め方にまとめています。
「受けない」も「受けて、使わない」も選べるって、知るだけで楽になるよね。
よくある質問
ストレスチェックは、受けなければなりませんか?
厚生労働省のQ&A集は、労働者に受検義務はないと答えています。全労働者が受検することが望ましいとも書かれているため、受けるかどうか迷うときは、担当部署に聞いてみてください。
ストレスチェックの結果は、上司に知られますか?
労働安全衛生法66条の10により、検査を行った医師などは、本人の同意なく結果を事業者に提供できません。同意を求められたときは、記録の保存期間(5年)と使い道を確かめてから決めます。
ストレスチェックで高ストレスと出たら、どうすればよいですか?
面接指導の要件に当てはまれば、医師による面接指導を申し出られます。申し出たことを理由にした不利益な取扱いは禁止されています。面接指導以外の相談窓口も、職場の外にあります。
ストレスチェックを受けないと、職場で不利になりますか?
厚生労働省の指針は、受検しないことや、結果の提供に同意しないことを理由にした不利益な取扱いを、事業者が行ってはならないとしています。受けない人を懲戒処分にすることも、行ってはならない例として挙げられています。
出典・参考(公的な情報)
- 労働安全衛生法 第13条・第13条の2・第13条の3・第66条の2・第66条の4・第66条の5・第66条の10(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働安全衛生規則 第45条・第50条の2・第52条の9・第52条の13・第52条の14(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働安全衛生法施行令 第5条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- ストレスチェック Q&A集(厚生労働省)
- 心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(10 不利益な取扱いの防止)(厚生労働省)
- ストレスチェック制度について(労働者数50人未満の事業場)(こころの耳(厚生労働省))
- 令和7年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。