退職の進め方と手続き
看護師の退職の引き継ぎのしかた。後任に渡すメモの作り方と順番
更新 2026年10月23日読むのに約6分
引き継ぎで困るのは、書き忘れより、頭の中にしかない仕事を渡せないことです。この記事では、洗い出し・書き方・渡す順番・渡しきれないときの線引きを、チェックリストで整理します。
辞めるときまで、あとの人のことを考えているんだね。ありがとう、って言いたくなったよ。
引き継ぎで抜けやすいのは、書いていない仕事より、頭の中の仕事
職場には、決まった手順書に載っていない仕事が、思ったより多くあります。毎月の物品の発注、委員会の資料づくり、新人の相談役、ある医師の指示の癖への対応。長く働くほど、「自分が当たり前にやっていること」が増えます。当たり前の仕事は、書き出さないと、後任にとっては存在しないままになります。
引き継ぎ書は、後任のためだけでなく、残る同僚のためのものでもあります。辞める人が抜けたあとに、誰が何を持つのか分からない状態が、一番の混乱のもとです。書いておけば、自分がいなくなったあとも、自分の仕事が安全に続きます。
完璧を目指す必要はありません。引き継ぎは、見通しを立てるところから始まります。最終出勤日から逆算して、何を・いつまでに・誰に渡すかを置きます。まず、洗い出しから始めます。
洗い出しは、担当・定期・進行中・暗黙の4つの箱で
洗い出しは、頭の中をそのまま並べるのではなく、4つの箱に分けると進みます。
- 担当している仕事:受け持っている係、委員会、リーダー業務、物品や薬品の管理、新人の指導など
- 定期の仕事:毎日・毎週・毎月・毎年の仕事。〇日までに出す書類、月末の集計、年に一度の研修の準備など
- 進行中の仕事:途中で止まっている案件、返事待ちの連絡、期限が決まっている依頼
- 暗黙の仕事:誰にも頼まれていないが、自分がいつもやっている仕事。部署のルールのうち、書かれていないもの
4つ目が、一番抜けやすい箱です。思い出すコツは、勤務の流れを、出勤から退勤まで順に、頭の中でなぞることです。休憩の前にいつも確認していること、勤務の終わりに毎回行っていること、月の初めにやっていること。同僚から、よく頼まれることや、よく聞かれることも、手がかりになります。
書き出したら、一枚の表にまとめます。「仕事の名前」「いつ」「誰に渡すか」の3つの列があれば足ります。渡す相手がまだ決まっていない仕事は、「未定」と書いておき、師長に確認します。
後任に渡すメモは、1枚1テーマで書く
引き継ぎ書は、長く書くほど読まれません。1枚に1つの仕事を書き、4つの点だけを書く型が使えます。
- いつ:その仕事をするタイミング(毎月の何日、月の第何週など)
- 何を:やることを、動詞で2〜3行
- 誰に・どこに:連絡先、置き場所、保存先、使う書式
- つまずきやすい点:過去に起きたこと、気をつけること
- 仕事:物品の定期発注(月初に行う)
- いつ:月の最初の平日に、在庫を数えて発注
- 何を:在庫表を確認し、発注書に数を書いて、担当者へ渡す
- どこに:在庫表は共有フォルダ、発注書は〇〇の引き出し
- つまずき:納品が遅れる品は、前の週に早めに発注
1枚に1つ。4つの点だけで足りるよ。
患者さんの名前や、個人が特定できる情報は、引き継ぎのメモに書きません。ケースの引き継ぎが必要な場合は、職場で決まっている方法(記録や申し送りの場)に沿い、メモは、仕事の進め方や置き場所にとどめます。情報の扱い方は、勤め先の決まりに従ってください。
書き終えたら、後任の立場で、一度読み返します。専門用語や、部署の中だけで通じる略語は、ひと言添えます。自分にとって当たり前の言葉が、後任には当たり前でないことがあります。後任が決まっていない場合は、「次に担当する人」に向けて書きます。誰が読んでも、手順が追えることが目標です。
全部を渡さなきゃ、って、思いすぎてないかな。
最終日から逆算した、渡す順番
引き継ぎ期間が短くても長くても、順番は同じです。重要な仕事と、期限が近い仕事から先に渡します。
- 洗い出す4つの箱に分ける
- メモを書く1枚1テーマ
- 口頭で渡すやって見せる
- やってもらう抜けを見つける
後任に1回やってもらうと、メモの抜けが見つかるよ。
最終出勤日から逆算して、次のように置きます。例として、最終日の2週間前に、洗い出しと表づくりを終え、1週間前までに、メモを書き終え、最後の1週間は、口頭で渡し、後任にやってもらい、見守る時間にします。期間の長さは、職場と退職の日程によって変わりますので、あくまで例として使ってください。
口頭で渡すときは、メモを見ながら、一つずつ、実際にやって見せます。後任に1回やってもらうと、メモの抜けが見つかります。質問が出たら、その答えを、メモに足します。
引き継ぎの期間は、最終出勤日が決まらないと置けません。退職日の決め方と、就業規則にある申し出の期限の確かめ方は、退職の時期の決め方に書きました。引き継ぎ書と一緒に返す貸与品や、受け取る書類は、辞める前のチェックリストにあります。
渡しきれないとき、後任が決まらないときの線引き
全部を渡しきれないまま、最終日が来ることもあります。そのときの考え方は、「どこまでを渡し、どこから先を師長に預けるか」の線引きです。
- 渡せたもの:メモと口頭の両方で渡し、後任が1回やってみたもの
- メモだけ渡したもの:書いて置いたが、口頭は間に合わなかったもの
- 預けるもの:後任が決まらない、判断が要るもの。状況と期限を書いて、師長に渡す
預けるときは、「いつまでに、誰が決めるか」を、師長に確認します。あいまいなままにすると、あとで連絡が来る原因になります。退職後の問い合わせにどう対応するかも、辞める前に、師長と話しておくと安心です。
責任感が強い人ほど、「全部を渡さなければ辞められない」と考えがちです。ただ、引き継ぎは、時間と立場の範囲で、やれるところまで進めるものです。渡す時間が足りないとき、その事実を師長に伝え、優先順位を決めてもらうのも、引き継ぎの一部です。伝え方は、師長との退職面談で、話すこと・聞かれることの文例が使えます。
引き継ぎが終わったあとの、保険・年金・失業給付の手続きは、退職後の失業保険の手続きに続きます。
渡せる分が渡せたら、それで十分だよ。
あとは、次の一歩に進もうね。
よくある質問
引き継ぎ書は、何ページくらい書けばよいですか?
ページ数に決まりはありません。1枚に1つの仕事を書き、いつ・何を・誰に(どこに)・つまずきやすい点の4つに絞ると、短くても読まれやすくなります。
後任が決まらないまま、最終日が来そうです。どうすればよいですか?
「次に担当する人」に向けてメモを書き、渡せない分は、状況と期限を書いて師長に預けます。誰がいつまでに決めるかを、師長に確認しておきます。
引き継ぎ書に、患者さんの情報を書いてもよいですか?
名前など、個人が特定できる情報は書かず、職場で決められた記録や申し送りの方法に沿って伝えます。メモには、仕事の進め方や置き場所を書きます。勤め先の情報の扱いの決まりに従ってください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。