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退職の書類

看護師の退職届と退職願の違い。書き方と出し方を文例つきで整理

更新 2026年10月23日読むのに約6分

退職届と退職願は、似た名前でも会社の承諾が要るかどうかの考え方が違います。厚生労働省の説明を軸に、書き方・出し方・撤回の考え方を、文例つきで整理します。

名前がよく似ているのに、意味が少し違うんだって。知っておくと安心だよ。

まず何を書くかを決めてから、願か届かを選ぼうか。

書く前に決める4つ。退職日・理由・宛名・日付

退職の書面は、用紙の形を整えるより先に、中身を決めておくほうが早く書けます。決めるのは、表題、退職日、理由、宛名の4つです。表題を願と届のどちらにするかは次の節で選ぶので、先に退職日から決めます。

退職日は、就業規則の申出期限を見て決めます。民法627条1項は、期間の定めのない雇用では、申入れの日から2週間で雇用が終了するとしています。一方で、就業規則に「1か月前まで」などの定めがある職場も多く、厚生労働省の資料にも、就業規則の期限に沿って申し出るのが無難という説明と、2週間で効力が生じるという説明の両方があります。条文と公的な説明の関係は退職理由の伝え方と申入れの基本に、退職日の決め方は退職の時期にまとめました。

理由の欄は、一般には「一身上の都合」のような短い書き方がよく使われます。詳しく書くか、どこまで職場に話すかは、自分で選べます。

宛名は、病院名と代表者(院長など)の名前にするのが一般的ですが、職場によって、看護部長宛てにするなどの決まりがあることもあります。就業規則か、人事への確認で確かめます。厚生労働省が紹介する大隈鐵工所事件(最高裁昭和62年9月18日)では、人事部長が退職願を受理したことで、会社が承諾の意思を表したと解されました。誰に出すかで、承諾の扱いが変わりうるので、提出先は、就業規則で決められた窓口にします。

書く前の、5行メモ
  • 表題:退職願か退職届か(次の節で選ぶ)
  • 退職日:○年○月○日(就業規則の期限を見てから)
  • 理由:短く(一身上の都合 など)
  • 宛名:病院名と代表者名(職場の決まりを確認)
  • 日付・所属・氏名:提出する日の日付で

空欄がなくなったら、書き始めていいよ。

退職願と退職届。厚生労働省の説明で、違いを確かめる

厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、会社に退職を申し込み、会社が承諾して成立する退職を合意退職と呼び、一般には「退職願」の形で行われることが多いと説明しています。合意退職は、会社が承諾しない間は効果が生じません。一方、民法627条1項に基づく、辞める意思の一方的な申入れ(任意退職)は、会社が承諾しなくても、申入れから2週間後に効力が生じます。

退職願と退職届のちがい(厚生労働省の説明)
退職願退職届
意味合い会社への合意退職の申込み辞める意思を、明確に書いた申入れ
会社の承諾要る。承諾まで効果は生じない承諾がなくても、申入れから2週間後に効力
撤回会社が承諾する前なら、撤回できると考えられる承諾後や申入れ後の撤回は、会社の同意が要る
確実に退職したいとき一般に、申込みはこの形で行われることが多い一定の日に退職したいなら、この形が無難とされる

表題だけでは決まらず、争いになれば、文書の内容や言動も含めて判断される。2026年10月時点の公的な説明の範囲。

名前より、書いた中身が見られるんだね。

表題が「願」か「届」かだけでは決まらない点も、同じ説明にあります。退職時期などが実際に争いになれば、文書の記載内容や、前後の言動なども含めて判断される、という書き方です。そのうえで厚生労働省は、確実に一定の日に退職したいときは、合意退職の申込みと解釈されない表現で、退職の意思を明確に書いた退職届を出すのが無難、としています。

撤回の考え方も分かれます。退職願は、会社が承諾するまでは撤回できると考えられる、と説明されています。承諾の後や、任意退職の申入れをした後に撤回したいときは、会社の同意が要ります。厚生労働省の裁判例のページには、撤回によって会社に不測の損害を与える場合は、信義則に反して許されない、という趣旨の記述もあります。「退職届は撤回できず、退職願なら撤回できる」と言い切れる話ではありません。出す前に、慎重に決めておきます。

使い分けの目安を、場面ごとに並べます。

  • 退職日をずらせない事情がある(次の勤務の開始日が決まっている、など):意思を明確に書いた退職届のほうが、厚生労働省の説明に沿う
  • まず上司と日程を話し合いたい:口頭で相談してから、日程が固まった段階で書面を出す
  • 引き止められそうで、返事を迫られたくない:退職日と意思を固めてから、書面を出す。受理された時点で承諾と扱われる場合がある点を、頭に置く
  • 契約期間のある働き方(1年更新の契約職員など):2週間の話は、期間の定めのない雇用のもの。民法628条は、やむを得ない事由があるときの解除を定めている。総合労働相談コーナーなどに確認する

厚生労働省のモデル就業規則は、退職の規程例を「退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して【空欄】日を経過したとき」とし、日数を空欄にしています。解説には、会社の承認がなくても、申出の日から原則14日で退職になる(民法627条1項)とあります。規程例なので、勤務先の就業規則の日数を確かめます。

迷ったら、「いつ辞めたいか」を先に書いてみよう。願か届かは、そのあとでいいよ。

文例。退職願と退職届の本文

本文は短く、退職日が分かるように書きます。次の2つは、書き方の一例です。勤務先に決まった用紙や書式があるときは、それに従います。まず退職願の例です。会社に承諾を求める形で、「お願い申し上げます」で結びます。

退職願/私事、このたび一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。/○年○月○日 所属・氏名/病院名 院長 ○○○○殿

承諾をお願いする形

次に退職届の例です。意思を言い切る形で、「退職いたします」と書きます。

退職届/私は、一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたします。/○年○月○日 所属・氏名/病院名 院長 ○○○○殿

退職日と意思を明確に書く形

どちらも、日付を空欄にしない、退職日を「できるだけ早く」のようなあいまいな書き方にしない、の2点が大事です。避けたい書き方を挙げます。

  • 「退職を考えております」「退職したいと思っています」:意思が固まっていない書き方に読め、意思を明確に書くという厚生労働省の説明から外れる
  • 退職日が空欄、または「できるだけ早く」:いつ雇用が終わるのかが決まらない
  • 職場や同僚への不満を並べる:書面は残るので、事実と感情を分け、理由は短くする
  • 提出日を書かない:いつ意思が伝わったかが分かりにくくなる(2週間の数え始めは、申入れの日から)
出す前の確認

出し方。順番と、受け取ってもらえないときの備え

順番は、就業規則で期限と提出先を確認し、直属の上司に口頭で意向を伝え、日程が決まったら書面を出し、引き継ぎの日程を組む、が基本です。伝える順番と言い方は退職の伝え方と順番にあります。書面だけが先に届くと、職場の側が段取りを組みにくくなることがあります。

書面を出したら、渡した日と相手を記録し、控えを残します。受け取ってもらえなかったり、預かると言われたまま返事がなかったりしたときは、退職の意思を書面で伝えたという事実が手元に残っていると、あとで話しやすくなります。

辞めさせてもらえないと言われたときも、取る順は同じです。就業規則を確認し、書面で意思を伝え、話し合いが進まなければ、総合労働相談コーナーに相談します。茨城労働局は、会社が承諾しなくても、意思表示が会社に伝わった日の翌日から14日を経過すれば退職は成立すると説明し、後任が見つかるまで辞められないという扱いはできないとしています。ただし、退職の効力と、引き継ぎや損害賠償の話は別です。突然の退職で賠償が認められた裁判例もあるので、何も気にせず今日辞められる、という話ではありません。

出したあとに気持ちが変わったときは、会社の承諾の有無で扱いが変わります。承諾の前なら撤回できる場合がありますが、承諾の後は会社の同意が要ります。迷いが残るなら、書面の前に、休むことや部署の調整を相談できる窓口もあります(つらいときの窓口)。

書面が通ったあとの書類(離職票、源泉徴収票、退職証明書など)は退職前後の書類に、持ち物や引き継ぎの整理は退職のチェックリストにまとめています。

5行メモが埋まったら、書く準備はほとんど整ってるよ。あとは日付を入れるだけ。

よくある質問

退職届と退職願は、どちらを出せばよいですか?

確実に一定の日に退職したいときは、意思を明確に書いた退職届のほうが無難、と厚生労働省は説明しています。ただし、表題だけでは決まらないため、書く内容も大切です。迷うときは、総合労働相談コーナーに確かめます。

退職願を出したあと、撤回できますか?

会社が承諾する前なら、撤回できると考えられる、と説明されています。承諾の後は、会社の同意が要ります。誰が受け取ったかで、承諾の扱いが変わる場合もあります。

上司が退職届を受け取ってくれません。

就業規則を確認し、書面で意思を伝えた記録を残します。話し合いが進まないときは、総合労働相談コーナーに相談できます。後任が見つかるまで辞められない、という扱いはできないとされています。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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