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夜勤・勤務時間・休み

看護師の夜勤は寿命を縮める?健康リスクと研究、体を守る対策

更新 2026年10月23日読むのに約7分

夜勤を続けていると、体への影響を調べたくなる日があります。この記事では、国際機関の評価で言えること・言えないことを分けたうえで、深夜業について決められている健康の仕組みと、勤務の組み方で体を守る方法を整理します。

夜勤のあとって、ふと体のことが不安になるよね。

分かっていることと、分かっていないことを、分けて見ていこう。

夜勤と健康について、国際機関が示していること

夜勤と健康の関係で、よく引かれるのが、世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)の評価です。IARCは2019年6月の専門家会合で、夜勤を「おそらく人に対して発がん性がある」とするグループ2Aに分類しました。ここでいう夜勤は、一般の人がふだん眠っている時間帯の勤務を指します。2007年の評価でも、昼夜のリズムを乱す交代勤務は同じ2Aとされていました。

根拠として挙げられたのは、主に3つです。人での研究では、夜勤と乳がん・前立腺がん・結腸がん・直腸がんとの間に関連が見られたこと。ただし「限定的な証拠」とされ、偶然や偏りなど、別の説明を排除しきれないとされています。動物実験では、明暗のリズムを変えることの発がん性に「十分な証拠」があること。そして、免疫の抑制や慢性の炎症など、仕組みの面での証拠が強いことです。調べられた研究には、看護師を対象にしたものも含まれています。

大事なのは、この分類が「どのくらい危ないか」を示すものではない点です。IARCは、分類はがんを起こしうるか(ハザード)についての証拠の強さを示すもので、どの程度の夜勤で、どれだけがんになりやすくなるか(リスク)は示していない、と説明しています。同じ2Aに入るものどうしでも、実際の危険の大きさは大きく違いうる、とも書いています。

  • 言えること:夜勤といくつかのがんとの関連を示す研究があり、国際機関が「おそらく発がん性がある」に分類している
  • 言えないこと:夜勤を何年、月に何回続けると、どれだけ危険が高まるか。IARCはこの数字を出していない
  • 言えないこと:「寿命が何年縮む」という数字。夜勤と寿命の関係を数字で示した国の資料は、この記事を書く時点で見つけられていない

IARCは、個人がとるべき行動についての勧告はしておらず、夜勤をしていて健康が心配な人は、医師に相談するとよい、としています。この記事は病気の診断や治療には触れず、日本の法令が置いている健診の仕組みと、勤務の組み方の目安を見ていきます。肌やむくみなど見た目の変化は、夜勤のむくみ・肌荒れ・体力の悩みにまとめています。

深夜業について、法令が決めている健康の仕組み

午後10時から午前5時までの間の業務を、法令は深夜業と呼んでいます(労働安全衛生法66条の2)。夜勤を含む勤務は、これにあたります。深夜業について、次の仕組みがあります。

  • 定期の健康診断:深夜業を含む業務に常時従事する労働者には、配置替えのときと、6か月以内ごとに1回、健康診断が行われます(労働安全衛生規則45条1項)
  • 自分で受けた健診の結果の提出:深夜業の回数が、受診日の前6か月間の平均で月に4回以上の人は、自分で受けた健診の結果を示す書面を、事業者に提出できます(労働安全衛生法66条の2、同規則50条の2)。費用の扱いや提出の手順は、職場の規程と産業保健の窓口で確かめます
  • 医師の意見と措置:健診の結果に異常の所見があるとき、事業者は医師などの意見を聴かなければなりません(同法66条の4)。その意見を踏まえて必要があるときは、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などの措置を講ずることになっています(同法66条の5)
  • 記録の保存:健診の結果をもとに作る個人票は、事業者が5年間保存します(同規則51条)
深夜業の健康の仕組み(早見表)
仕組みいつ・だれが根拠
定期の健診配置替えのときと、6か月以内ごとに1回(深夜業を含む業務に常時従事)安衛則45条
自分で受けた健診深夜業が受診日前6か月の平均で月4回以上。結果の書面を事業者に提出できる安衛法66条の2・安衛則50条の2
医師の意見異常の所見があるとき、事業者が医師などの意見を聴く安衛法66条の4
措置意見を踏まえ、必要があるとき、深夜業の回数の減少などを講ずる安衛法66条の5

条文の趣旨です。自分の職場での扱いは、勤め先の窓口で確かめます。

自分の健診の結果は、手元で見られるようにしておこうね。

健診の結果は、年に2回分を1か所にまとめておくと、血圧や体重などの変化に気づきやすくなります。自分の職場で、健診がいつ・どのように行われ、結果がどう扱われているかは、健診の案内や、人事・産業保健の窓口で確かめます。

条文の言葉は固いけれど、自分のための仕組みでもあるんだよ。

体を守る勤務の組み方。回数より、勤務と勤務の間隔

労働基準法には、夜勤の回数の上限は書かれていません。勤務の組み方の目安は、職能団体や省庁の資料が示しています。この記事で見たいのは、勤務と勤務の間隔です。

  • 日本看護協会のガイドライン(2013年2月):勤務と勤務の間隔は11時間以上あけることを提案しています。回数や連続の目安など、ほかの項目は夜勤の回数を数字で伝える方法にまとめています
  • 勤務間インターバル:終業から次の始業までに、一定の休息時間を確保する仕組みです。労働時間等設定改善法2条1項は、事業主の努力義務として、終業から始業までの時間の設定などの措置を挙げています。義務ではありません。厚生労働省の2025年の調査では、導入している企業は6.9%でした(常用労働者30人以上の企業)

厚生労働省の医療業向けマニュアル(2025年3月)は、看護師を対象にした研究を紹介しています。紹介されている研究では、前の月の夜勤の有無よりも、11時間未満のインターバルがあったかどうかのほうが、翌月の病気休暇日数に関係しており、11時間未満が月に3回あると、翌月の病気休暇日数は約21%増えると試算されたとのことです。研究の紹介であり、厚生労働省が断定しているものではなく、個人にそのまま当てはまる数字でもありません。

この紹介から読み取れるのは、夜勤の回数だけでなく、勤務と勤務の間隔も、体の負担を考える手がかりになる、という点です。夜勤明けの翌日に日勤が入る、遅い勤務のあとに早い勤務が続く、といった組み方は、回数が同じでも休息を削ります。ガイドラインの数字は、すべてを一度に満たす必要はなく、現場の実情に合わせて緩められている場合もある、と日本看護協会自身が書いています。目安に届かないことを、違反と決めつけるものではありません。

今月の勤務表で、間隔を数える

不調を感じたときの動き方

「いつもと違う」と感じる体調の変化が続くときは、勤務の工夫だけで何とかしようとせず、医療機関への相談を先に考えます。受診するときは、夜勤をしていること、月の回数、勤務の間隔を伝えると、医師が状況をつかみやすくなります。職場に産業医がいれば、勤務の状況を伝えたうえで相談できる場合があります。

不調を感じたときの動き方(例)
  1. 気づく睡眠・食欲・疲れを記録
  2. 健診の結果を見る受けていれば手元で
  3. 医療機関・産業医へ勤務の状況を添えて
  4. 勤務の相談回数・間隔の事実を持って

ひとりで判断しないで、話せる人に渡そうね。

相談のときに役立つのは、感覚ではなく記録です。現在地ログや、勤務表の記録に、夜勤の日付と、眠れた時間、体調の様子を一行ずつ残しておくと、医療機関や職場に伝えるときの材料になります。

職場への相談では、回数や間隔の事実、困っていること、希望(回数を調整したい、間隔を空けたい)の順に話します。話しても動かないときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに、無料で相談できます。

気持ちの面のつらさがあるときは、つらいときの窓口に、電話で話せる窓口があります。体の症状が強いときや、急に悪化したときは、窓口より先に医療機関を受診してください。夜勤そのものを続けるかどうかを考えるときは、夜勤がつらくて辞めたいときも使えます。

言えることと言えないことを分けて見られたら、少し落ち着くよね。

今夜は、早めに休んでね。

よくある質問

看護師は夜勤で寿命が縮むのですか?

国際がん研究機関(IARC)は、夜勤を「おそらく発がん性がある」グループ2Aに分類していますが、どれだけ危険が高まるかの数字は示していません。寿命が何年縮むといった数字を示した国の資料も見つけられていません。体を守る手がかりは、健診の仕組みと、勤務と勤務の間隔です。

夜勤が多いと、健康診断は特別になりますか?

深夜業を含む業務に常時従事する労働者は、配置替えのときと6か月以内ごとに1回、健診が行われます(労働安全衛生規則45条1項)。実際の日程や内容は、勤め先の案内で確かめてください。

夜勤の回数を減らしてもらうことはできますか?

条文に、夜勤を減らす権利が書かれているわけではありません。健診で異常の所見があれば、医師の意見を聴いたうえで、事業者が深夜業の回数の減少などの措置を講ずる仕組みがあります。まずは記録を持って、職場と話します。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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