異動・転勤
看護師の転勤なし・ありの見分け方。職場の種類別の早見表と確かめ方
更新 2026年10月23日読むのに約6分
転勤のない職場を探すとき、求人票に「転勤なし」と書かれているとは限りません。職場の仕組みから見立てて、書類と面接で確かめる順番を、早見表にまとめます。
転勤のない職場、探しているんだね。見立てのコツがあるよ。
表を見る前に、言葉の意味をそろえておこうか。
「転勤」の意味を、3つに分けて見る
求人で「転勤なし」と書かれていても、何が「なし」なのかは、書き手によって違います。確かめる前に、転勤を3つに分けておきます。
- 同じ施設の中で、部署や診療科が変わる異動:病棟から外来へ、など。勤務地は変わらない
- 同じ法人の別の施設へ移る異動:通勤できる範囲のことも、転居を伴う遠方のこともある
- 転居を伴う転勤:勤務地が遠くなり、住まいも変わる
この記事が主に扱うのは、2つ目と3つ目です。1つ目の、部署が変わる異動は、診療科が変わる異動の記事にまとめました。「転勤なし」と書かれていても、1つ目の異動はある、ということは珍しくありません。何が「なし」なのかを、聞いて確かめます。
転勤が出やすいかどうかは、職場の運営の仕組みから、おおよその見立てができます。決め手は、運営している母体が、いくつ施設を持っていて、それがどこにあるか、の2点です。
職場の種類ごとの、転勤の出やすさ早見表
次の表は、職場の形ごとに、転勤の出やすさの手がかりと、求人で見る所を並べたものです。公的な統計に基づく数字ではなく、仕組みから考えた見立てです。
| 職場の形 | 転勤の出やすさの手がかり | 求人で見る所 |
|---|---|---|
| 運営母体が1か所だけの病院・クリニック | 施設間の異動は出にくい。部署の異動はありうる | 運営法人名と、施設の数 |
| 同じ法人が、複数の病院や施設を持つ | 通勤できる範囲の施設間異動が出ることがある | 「配置転換」「他施設」の記載 |
| 系列が広い範囲にあるグループの病院 | 遠方の施設への異動が出る可能性がある | 系列施設の所在地の一覧 |
| 訪問看護ステーション(単独の事業所) | 事業所間の異動は出にくい。担当の地域は変わりうる | 運営法人名と、事業所の数 |
| 訪問看護や介護施設を広く展開する法人 | 事業所間の異動が出る場合がある | 事業所の一覧と、異動の定め |
| 公立・公的な病院 | 運営する自治体や法人の仕組みによる | 募集要項の勤務地と、運営母体 |
あくまで見立てです。同じ種類でも職場ごとに違うので、求人票・面接・書面で確かめてください。
見立ては、確かめる前の下ごしらえだよ。
表の読み方のコツは、「施設が複数あるか」を最初に見ることです。1か所だけの運営母体なら、施設間の転勤は仕組みの上で起こりにくくなります。複数の施設を持つ法人は、人の配置を法人全体で考えるので、施設間の異動の可能性が残ります。
施設一覧の読み方にも、コツがあります。法人のホームページで運営している施設の一覧を開き、所在地を地図で見て、自宅から通える範囲に収まるかを確かめます。収まる施設が複数あるなら、施設間の異動があっても、通える可能性があります。収まらない施設があるなら、そこへの異動が出る場合の扱いを、面接で聞く材料になります。
気になる職場に、表を当てはめて、書き込んでみよう。
同じ種類でも、答えが違うことに気づくかもしれないよ。
求人票と面接で、確かめる言い方
求人票の見る場所は、勤務地、配置転換の有無、運営法人の名前、系列施設の記載です。法人のホームページで、施設の一覧を見ると、系列の広がりが分かります。求人票に「転勤なし」と書かれていれば安心、とは考えず、その言葉の範囲を聞いて確かめます。
勤務地は、こちらの施設だけと考えてよいでしょうか。法人内の別の施設への異動がある場合は、頻度や、転居を伴うことがあるかも、教えてください。
面接や見学で、勤務地を確かめる例
聞きたい中身は、自分の事情によって変わります。次のように、事情ごとに、確かめる焦点を決めておきます。
- 子育て中:送り迎えや急な呼び出しに間に合う距離の範囲かどうか。通える範囲の異動と、転居を伴う異動を分けて聞く
- 介護をしている:通える距離かどうかに加えて、休みの取り方や、急な欠勤の連絡の仕方を聞く
- 住まいを変えにくい:転居を伴う転勤が、これまでにあったか、あるとしたら、どんな場合かを聞く
- パートナーの勤務地に合わせたい:施設の場所と、法人内の異動の範囲を、先に聞く
聞き方は、責める調子にしないことが大切です。「転勤が嫌だ」というより、「長く働く前提で、生活の見通しを立てたい」と伝えると、相手も答えやすくなります。答えが曖昧なときは、あとで書面の形でもらえるかも聞きます。
聞いた答えは、面接のあとすぐにメモに残します。日付、答えてくれた人の立場(採用担当、師長など)、答えの中身を、一行ずつ書きます。あとで労働条件通知書を受け取ったときに、聞いた話と書面の記載を、並べて照らし合わせられます。食い違いがあれば、入職の前に問い合わせます。求人票に勤務地の記載がないときも、「記載がない」と「転勤がある」は別の話なので、同じ質問で確かめます。
決まったあとに、書面と就業規則で確かめる
面接で聞いた話は、口約束で終わらせず、書面で確かめます。内定のあとに渡される労働条件通知書や雇用契約書で、就業の場所の欄を見ます。勤務地を限定する書き方なのか、「会社の定める場所」のような広い書き方なのかで、あとの扱いが変わりうるからです。2024年4月からは、労働基準法施行規則の改正で、雇い入れ直後の就業場所と業務に加えて、その「変更の範囲」も書面で示すことが会社の義務になりました。通知書に「就業場所(変更の範囲)」の欄があるので、ここに転居を伴う施設が含まれる書き方になっていないかを見ます。
大阪労働局のQ&Aは、勤務地を完全に限定して契約している場合は、労働者の同意なく勤務地を変更することはできないのが原則だと説明しています。限定していない場合は、就業規則などに転勤を命じる場合があると明記され、業務上の必要性があれば、特別な事情がない限り、原則として拒否できません。つまり、入る前に勤務地がどう書かれているかが、あとから効いてきます。詳しい整理は、異動・転勤を断れるかの記事にあります。
確かめる順番の目安です。時期や書類は職場で違うので、窓口や採用の担当者に確かめてください。
同じことを、段階を分けて確かめるよ。
迷ったときと、入ってから困ったときの窓口
条件を絞りきれないときは、都道府県のナースセンターが使えます。無料の職業紹介を行い、相談員が希望の条件をもとに就業先を探すと、厚生労働省は案内しています。「転勤なし」の希望も、条件の1つとして伝えられます。サービスの内容は都道府県によって違うので、使う県のセンターで確かめます。使い方はナースセンターの記事にまとめます。
入職したあとで、聞いていた話と違う異動を言われたときは、総合労働相談コーナーに相談できます。配置転換を含む労働問題が対象で、無料、予約は要りません。まず、聞いた内容と、書面の記載を手元にそろえてから行きます。窓口の選び方は労働相談の窓口の選び方にあります。転勤の内示を受けたときの考え方は、転勤の記事にまとめています。
Uターンや地方への移住で、勤務地そのものを変える場合は、考えることが変わります。進め方は、Uターン・Iターン転職の記事で扱っています。
聞いて確かめておけば、入ったあとの「えっ」が、ぐっと減るよ。
よくある質問
求人票に「転勤なし」と書いてあれば、安心してよいですか?
言葉の範囲を確かめるのが先です。施設間の転勤が「なし」でも、部署の異動はあることがあります。面接で範囲を聞き、内定のあとに通知書で就業の場所を見ます。
クリニックや訪問看護なら、転勤はありませんか?
運営母体が1か所なら、施設間の転勤は出にくい見立てです。ただ、複数の事業所を持つ法人もあります。法人の施設・事業所の数を、ホームページなどで確かめます。
転勤のない職場だけに絞ると、選択肢が狭くなりますか?
地域や職場の種類によって違います。絞り方を迷うときは、ナースセンターの相談員に、希望の条件の優先順位ごと伝えて、相談する道があります。
出典・参考(公的な情報)
- eナースセンター(無料職業紹介・都道府県ナースセンターの案内)(日本看護協会)
- ブランクを経て働く(ナースセンターの相談・研修)(厚生労働省)
- よくあるご質問(配置転換等)(大阪労働局(厚生労働省))
- 2024年4月から労働条件明示事項が追加されます(就業場所・業務の変更の範囲)(厚生労働省)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。