フリーランス・業務委託
フリーランス看護師の仕事と始め方。業務委託と雇用の違いも整理
更新 2026年10月23日読むのに約6分
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「フリーランスの看護師」「業務委託で働く」という言葉は目にしても、どんな仕事があり、何から始めるのかは分かりにくいままです。この記事では、仕事の例と始める手順、そして契約の名前ではなく実態で決まる雇用との違いを整理します。
自由そうな働き方ほど、何が変わるのかを先に見ておきたいよね。
雇われる働き方と、業務委託は、守りが違う
雇われる働き方は、事業主に使われて賃金を受け取ります。労働基準法9条は、事業または事務所に使用されて、賃金を支払われる人を「労働者」と定めています。労働者には、労働基準法や最低賃金などの決まりが適用されます。
フリーランスや業務委託は、仕事を請け負う契約で、事業者として働く形を指すのが一般的です。労働者にあたらない働き方では、雇われて働く人向けの決まり(労働基準法など)の対象になりません。その分、働く時間や場所、仕事を断れるかなどを、契約の中身で決めていくことになります。
雇われる働き方(労働者)
指揮監督のもとで働き、賃金を受け取ります。労働基準法、最低賃金、社会保険などの対象になります。
業務委託・フリーランス
仕事を請け負い、報酬を受け取ります。労働者にあたらなければ、これらの決まりの対象になりません。取引の決まり(フリーランス法など)が関わります。
契約書の中身で見る、という考え方は、雇用の場合も同じです。有期や短時間の見分け方は、非常勤・契約社員の違いで扱っています。
フリーランス看護師の仕事の例と、始める順番
看護師の資格を生かして業務委託で受ける仕事には、医療・健康の記事の執筆や監修、セミナーや研修の講師、イベントの救護、企業の健康相談などがあります。同じ仕事でも、アルバイト(雇用)で募集されることもあるので、契約の形は募集ごとに確かめます。病院や施設で、シフトに入って指示を受けながら看護をする働き方は、契約の名前が業務委託でも、実態は雇用に近くなりやすい点に注意します。
- 1. 契約の形を確かめる:業務委託か雇用かを、契約書と実際の進め方の両方で見る
- 2. 開業届を出す:税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を出す。所得税法229条と国税庁 No.2090 では、提出期限は、事業を始めた日の属する年分の確定申告期限まで
- 3. 青色申告を選ぶなら申請する:「青色申告承認申請書」は、原則その年の3月15日まで。1月16日以後に事業を始めたときは、開始の日から2か月以内
- 4. 保険と年金を切り替える:会社の保険を抜けるなら、国民健康保険と国民年金の手続きを14日以内に
- 5. 記録を始める:報酬の入金と、交通費・書籍などの経費を、日付つきで残す
青色申告にすると、帳簿のつけ方に応じて特別控除が受けられます。国税庁 No.2072 では、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を期限内に出すと55万円、そのうえで e-Tax で申告するか、仕訳帳と総勘定元帳を電子帳簿保存(優良な電子帳簿の要件と届出が必要)すると65万円、それ以外の青色申告者は10万円です。最初の年から複式簿記が負担なら、会計ソフトを使うか、税務署の相談で始め方を聞く方法があります。
「業務委託」と書いてあれば、労働者ではないのか
厚生労働省は、労働者にあたるかどうかは、請負や委任といった契約の形式や名称にかかわらず、契約の内容、労務の提供の形、報酬などから、個別の事案ごとに総合的に判断される、と説明しています。実態は労働者なのに、名目上は自営業者として扱われ、保護を受けられていない問題がある、とも指摘されています。
判断の軸は、2つです。1つ目は、他人の指揮監督のもとで働いているか。2つ目は、報酬が、その指揮監督のもとでの労働の対価として払われているか。厚生労働省は、これを使用従属性と呼んでいます。判断の基準は、昭和60年(1985年)12月19日の労働基準法研究会報告で整理されています。指揮監督のもとでの労働かどうかは、次のような点から見ます。
- 仕事の依頼や指示を、断る自由があるか
- 仕事の進め方に、具体的な指示や監督があるか
- 時間や場所が、拘束されているか
- 自分の代わりに、別の人にやってもらえるか
- 報酬が、働いた時間に応じた労務の対価の性格か
補強の要素として、事業者としての性格があるか、特定の相手にほぼ専属かどうか、も見られます。診療所などの指示で、時間・場所・手順を細かく決められる働き方は、労働者性が問題になりえます。ただし、個別のケースへの当てはめは、ここでは書きません。
迷うときは、全国の労働基準監督署に、令和6年(2024年)11月1日から「労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口」が設けられています。受付は平日の8時30分から17時15分です。
- 依頼を受ける条件を聞く
- 内容を書面で確認範囲・報酬・時間
- 仕事をする進め方は誰が決めるか
- 報酬を受け取る支払いの時期を確認
名前は契約書で、実態は毎日の仕事の中に出るよ。
契約書の言葉って、読んでいるうちに分からなくなってくるよね。
迷ったら、実際の仕事の進め方に当てはめてみよう。
フリーランス法は、取引の側を整える法律
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)は、2024年(令和6年)11月1日に施行されました。対象は、業務を委託される側の「特定受託事業者」です。個人で、従業員を使わない人。または、法人で、代表者1人のほかに役員がなく、従業員を使わない人を指します。従業員を使っている個人事業主や、代表者以外に役員がいる法人は、この定義には入りません。
発注する側の義務は、発注者が従業員を使っているかと、委託の期間で変わります。公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省のリーフレットでは、主に次のとおりです。
- 取引条件の明示:業務の内容・報酬の額・支払期日などを、書面やメールなどで直ちに示す
- 報酬の支払期日:受け取った日から60日以内の、できる限り早い日に定め、期日内に払う
- 禁止行為:1か月以上の委託では、受領拒否・報酬の減額・買いたたき・不当なやり直しなど7つの行為をしてはならない
- ハラスメント対策:相談に応じる体制を整える
- 中途解除の予告:6か月以上の委託を途中で解除したり更新しなかったりするときは、原則30日前までに予告し、求めがあれば理由を示す
契約の名前が「業務委託」でも、実態が労働者であれば、この法律ではなく労働基準法などが適用されます。報酬の未払いや減額など取引の困りごとは公正取引委員会・中小企業庁、中途解除の予告やハラスメントは都道府県労働局が窓口です。
お金と手続きの見取り図
会社の健康保険・厚生年金に入らない働き方になるなら、国民健康保険と国民年金への加入手続きが要ります。国民健康保険は、資格を取得したときから14日以内に、国民年金は、退職日の翌日から14日以内に、市区町村の窓口へ届けます。退職後の生活費の見通しは、貯金の必要額の出し方で扱っています。
業務委託の報酬は給与ではないので、年末調整の対象になりません。業務委託だけで働くなら、確定申告で1年分の所得と税を計算します。会社員として給与を1か所から受けている人が、副業として業務委託で所得を得た場合は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えるときに、確定申告が必要です(国税庁 No.1900。基準は収入ではなく、経費を引いた所得)。事業所得になるか雑所得になるかの区分は、税務署で確かめます。
雇用をやめて、業務委託だけで働く人は、休んだ月も、国民健康保険・国民年金の支払いは続きます。確定申告の準備に使う時間も、予定に入れておきます。収入が一定でない月が出るので、貯えの目安を先に出しておくと、判断しやすくなります。
本業が雇用で、副業が実態も業務委託なら、労働時間の通算の対象にはなりません。ただし、過労で本業に支障が出ないよう、業務量・時間・健康状態を自分で管理することが求められます(副業・兼業ガイドライン)。2か所で働くときの決まりは、ダブルワークの社会保険・税の基本で扱っています。
確かめる項目が分かれば、話を聞くときも落ち着けるよ。
まずは、契約書の言葉を1つずつ読むところからだね。
よくある質問
看護師が業務委託で働くことは、できますか?
働き方としては、契約の内容次第です。ただし、契約が「業務委託」でも、実態が指揮監督のもとで働く形なら、労働者として扱われることがあります。個別の判断が必要なときは、労働基準監督署の相談窓口で確かめられます。
フリーランスになると、有給休暇や社会保険はどうなりますか?
労働者にあたらない場合は、雇われる人向けの決まりの対象になりません。会社の保険から外れる場合は、国民健康保険と国民年金への加入手続きが要ります。いずれも、資格取得や退職日の翌日から14日以内が目安です。
副業で業務委託を受けるとき、労働時間は通算されますか?
雇用同士の場合に通算されるため、業務委託は通算の対象になりません。ただし、体調や本業への影響は自分で管理することが求められます。
出典・参考(公的な情報)
- 労働基準法 第9条・第14条・第15条・第37条・第38条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法における「労働者」とは(厚生労働省)
- 労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口(山形労働局(厚生労働省))
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 第1条・第2条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- フリーランス・事業者間取引適正化等法 リーフレット(令和8年1月改訂)(公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)
- No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(国税庁)
- 所得税法 第229条(開業等の届出)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- No.2072 青色申告特別控除(国税庁)
- 国民健康保険の加入・脱退について(厚生労働省)
- 国民年金に加入するための手続き(日本年金機構)
- No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)
- 副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月8日改定版)(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。