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退職後のお金

看護師の失業保険はいくらか。日額と日数を条件別に試算する

更新 2026年10月23日読むのに約6分

退職後に収入が途切れる間、失業保険がいくらになるのかが分かると、貯蓄の見通しが立てやすくなります。この記事では、給与明細から3つの数字を順に出して、条件別の金額まで、計算式にそって試算します。

失業保険って、日数も金額も、条件でずいぶん違うんだね。

給与明細を6か月分、手元に出してから読んでみよう。

試算に使う数字は3つ。賃金日額、日額、日数

雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)の総額は、「日額 × 日数」で考えます。日額は賃金日額から、日数は年齢・勤続・離職理由から決まります。実際の金額はハローワークが決めますが、計算式は公表されているので、給与明細があれば自分でもかなり近い額を出せます。そもそも受給できるのは、離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上ある人です(特定受給資格者・特定理由離職者は、離職前1年間に通算6か月以上)。

  • ① 賃金日額:離職前6か月に支払われた賃金の総額(ボーナスなど臨時の賃金と、3か月を超える期間ごとの賃金は除く)を、180で割った額(雇用保険法17条)
  • ② 基本手当日額:賃金日額に、50%〜80%の範囲で、賃金日額が低いほど高くなる率をかけた額(同法16条。60歳以上65歳未満は45%〜80%)。年齢ごとに上限額がある
  • ③ 総額:基本手当日額 × 所定給付日数。日数は90日から360日の間で、年齢・加入期間・離職理由によって決まる

率は、賃金日額ごとの計算式で決まります。厚生労働省が公表している令和8年8月1日からの式(60歳未満)は、次のとおりです。毎年8月1日に見直されることがあります。

  • 賃金日額3,203円以上5,480円未満:日額=賃金日額×0.8(80%)
  • 賃金日額5,480円以上13,490円以下:日額=0.8w−0.3×{(w−5,480)÷(13,490−5,480)}×w(wは賃金日額。80%から50%へ、なめらかに下がる)
  • 賃金日額13,490円超:日額=賃金日額×0.5(50%)。ただし年齢ごとの上限額まで
  • 日額の下限は2,562円(全年齢)。60歳以上65歳未満は、別の式(45%〜80%)
試算の前に、手元に出すもの

給与明細から、賃金日額を出してみる

例として、離職前6か月の総支給額が、毎月30万円(ボーナスを除く)だった人を考えます。6か月の合計は180万円。180万円を180で割ると、賃金日額は1万円です。

数える対象は「支払われた賃金」です。手取りではなく、税や保険料を引く前の総支給額で数えます。夜勤手当や残業代は、各種手当を含めた総支給額に入りますが、手当ごとの扱いの細かい違いは、ハローワークで確認します。

看護師は、夜勤の回数で、月ごとの総支給額が大きく動きます。基準は離職前の最後の6か月なので、退職前に夜勤を減らした月が混ざると、6か月の合計は小さくなります。体調や家庭の事情で夜勤を減らす時期と、退職が重なる人は、この点を頭に入れておくと、見込みの金額とのずれに驚きません。

日額には、年齢ごとの上限額があります(令和8年8月1日現在のハローワークの案内。毎年8月1日に変わる場合があります)。

  • 30歳未満:7,450円
  • 30歳以上45歳未満:8,270円
  • 45歳以上60歳未満:9,110円
  • 60歳以上65歳未満:7,830円

賃金日額1万円の人を、上の2つ目の式に当てはめると、8,000円−0.3×(4,520÷8,010)×10,000円で、日額は6,307円(率は約63%)です。厚生労働省の発表でも、賃金日額6,000円の60歳未満の人の日額は4,683円とされています。計算した日額が上限を超えるときは、上限額が日額になります。

日数は、年齢・勤続・離職理由で決まる

所定給付日数の軸は3つです。離職日の年齢、算定基礎期間(雇用保険に加入していた期間)、離職の理由。自己都合などの一般の離職者は、算定基礎期間だけで決まり、10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です(雇用保険法22条)。

倒産や解雇などによる特定受給資格者は、算定基礎期間が1年以上(30歳未満は5年以上)の場合に、年齢と期間の組み合わせで、日数が長くなります(同法23条)。

年齢・勤続・理由で変わる所定給付日数
離職時の年齢と勤続自己都合などの日数特定受給資格者の日数
27歳・勤続7年90日120日
32歳・勤続3年90日120日
38歳・勤続8年90日180日
38歳・勤続12年120日240日
50歳・勤続15年120日270日
50歳・勤続22年150日330日

雇用保険法22条・23条の条文から作成。加入期間の通算や離職理由の区分は、ハローワークで確かめます。

条件が1つ変わるだけで、日数が倍になることもあるんだね。

表の読み方です。自己都合の列は、年齢が関係せず、勤続だけで日数が決まります。特定受給資格者の列は、年齢と勤続の両方で動き、45歳以上60歳未満の層が、同じ勤続でも日数が長くなっています。

離職理由の区分には、看護師にとって身近な項目が含まれます。離職前の時間外労働が過重だった場合、ハラスメントを受けていて必要な措置がなかった場合、事業主から退職勧奨を受けた場合などが、特定受給資格者に当たる場合がある、とハローワークは案内しています。ただし、当たるかどうかは、離職票や本人・事業主の主張を踏まえて、ハローワークが個別に判断します。区分の見分け方は、失業保険のもらい方にまとめています。

受給期間は、原則として離職の翌日から1年です。病気・けが・妊娠・出産・育児などで30日以上働けない場合は、延長を申し出ることができ、最長3年とされています(条件はハローワークで確認します)。

数字を追っていると、目がしぱしぱしてくるよね。

ひと口飲んでから、次の計算に進もう。

条件別の試算:賃金日額6千円・1万円・2万円の場合

令和8年8月1日からの計算式で、賃金日額ごとの日額を出し、日数をかけます。賃金日額6千円は月の総支給額がおよそ18万円、1万円は30万円、2万円は60万円の人にあたります。実際の支給額は、ハローワークの決定で確かめます。

  • A:27歳・勤続7年・自己都合・賃金日額6,000円。日額4,683円×90日=42万1,470円
  • B:38歳・勤続8年・自己都合・賃金日額10,000円。日額6,307円×90日=56万7,630円
  • C:38歳・勤続8年・会社都合(特定受給資格者)・賃金日額10,000円。日額6,307円×180日=113万5,260円
  • D:50歳・勤続15年・自己都合・賃金日額20,000円。計算上は50%の1万円だが、45歳以上60歳未満の上限9,110円で止まる。9,110円×120日=109万3,200円
  • 参考:賃金日額20,000円でも、30歳未満なら日額は上限の7,450円、30歳以上45歳未満なら8,270円

BとCは、年齢も勤続も給与も同じで、違うのは離職理由だけです。それでも、日数が倍になるので、総額も倍になります。試算でいちばん動くのは、離職理由がどう判定されるか、という部分だと分かります。自分の離職理由がどちらに当たるかは、書類とハローワークの判断で決まります。貯蓄の計画は、会社都合を見込まず、自己都合の幅を基準にしておくと、ずれが小さくなります。

この幅には、再就職手当、教育訓練の給付、傷病手当などは含まれていません。

お金が入る順番と、再就職手当の計算例

申込みから最初の入金までの順番
  1. 求職の申込み離職票を出し、受給資格が決まる
  2. 待期7日この間は支給されない
  3. 給付制限自己都合は原則1か月(2025年4月以降の退職)
  4. 失業の認定4週に1回、直前の28日分
  5. 振込認定日から通常5営業日

最初の入金まで、少し時間があるね。その間は、貯蓄で見ておこう。

待期の7日と給付制限の1か月を合わせると、約5週間です。そのあとに失業の認定と振込が続くので、最初の入金は、申込みの約5週間後よりさらに先になります。この間の生活費は、貯蓄で見ておきます。

給付制限は、正当な理由のない自己都合の離職が対象で(雇用保険法33条)、2025年4月1日以降の退職は原則1か月です。5年以内に2回以上の自己都合離職がある場合などは3か月です。教育訓練を受ける場合の解除を含めた詳しい説明は、失業保険のもらい方にあります。給付制限の間の生活費の見積もりは、看護師の貯金の必要額を出す手順で出せます。

認定は、4週間に1回、直前の28日について行われます。認定の対象になる期間には、原則として2回以上の求職活動の実績が必要です(初回の認定は1回)。

給付の途中で再就職が決まったとき、条件を満たすと、再就職手当が支給されます。主な条件は、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること、1年を超えて勤務することが確実であること、受給手続きを済ませていることなどです。支給額は「基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率」で、給付率は、残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%です。

例:所定給付日数90日、日額4,683円(上のA)の人が、残り60日(3分の2以上)の時点で再就職した場合、4,683円 × 60日 × 70% = 19万6,686円です。再就職手当の計算に使う日額には上限があり、ハローワークの案内では6,745円(60歳以上65歳未満は5,454円)です。上のBのように日額6,307円の人はそのまま、上限を超える日額の人は6,745円で計算します。

再就職手当を受けると、その額を日額で割った日数分の基本手当を、受け取ったものとみなされます(同法56条の3第4項)。基本手当と再就職手当を、両方まるごと受け取れるわけではありません。申請の方法と期限は、ハローワークで確認します。

失業中の収入の見通しと、保険料の支払いは、別の話です。国民年金や健康保険の切り替えは、年金の切り替えと、退職後の健康保険で確かめられます。

退職の段取りチェックリスト

金額の幅が見えただけで、肩の力が少し抜けるよね。

次は、ハローワークに行く日を、手帳に書いておこう。

よくある質問

失業保険の計算は、手取りでしますか?

手取りではありません。離職前6か月に支払われた賃金の総額で、税や保険料を引く前の額です。ボーナスなど臨時の賃金は除きます。

自己都合で辞めると、何日分もらえますか?

加入期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。前の職場の期間が通算されるかは、ハローワークで確認します。

試算した金額は、いつ振り込まれますか?

申込み後に7日の待期があり、自己都合の場合はそのあと原則1か月の給付制限があります。そのうえで、失業の認定を受けると、認定日から通常5営業日(厚生労働省のQ&Aでは約7日後)で振り込まれます。

看護師の失業保険は、月給30万円だといくらですか?

ボーナスを除く月30万円が6か月続いた場合、賃金日額は1万円で、令和8年8月1日からの式では日額6,307円です。自己都合で勤続10年未満なら90日分で56万7,630円になります。夜勤手当で月ごとに額が揺れる人は、6か月の合計で計算します。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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