退職後のお金・保険
看護師の退職後の保険・年金・失業保険の手続きを、期限つきで一覧に
更新 2026年10月23日読むのに約6分
退職すると、会社が手続きしていた保険や年金が、自分で選んで届け出るものに変わります。この記事では、四つの制度を窓口と期限で並べ、健康保険の三つの選び方と、動く順番を整理します。
会社がしてくれていた手続きが、急に自分のものになるんだね。
どこから手をつけるか、迷って当たり前だよ。
会社任せだった手続きが、自分の期限に変わる四つ
在職中は、健康保険料も厚生年金の保険料も給与から差し引かれ、加入や脱退の手続きは勤務先が行っています。退職すると、その仕組みから外れます。次の勤務先に入るまでの間は、自分で窓口に出向いて届け出る手続きが生まれます。平日の日中に動きにくい夜勤のある看護師ほど、期限を先に知っておくと慌てずに済みます。
退職後に関わる制度は、大きく四つです。健康保険(病院にかかるときの保険)、年金(国民年金への切り替え)、雇用保険(いわゆる失業保険。正式な名前は基本手当)、住民税(前年の所得にかかる税)。名前が似ていても、窓口も期限もばらばらです。
- 健康保険:協会けんぽの任意継続は退職日の翌日から20日以内。市区町村の国民健康保険は、資格を取得したときから14日以内。家族の扶養に入るときは、家族の勤務先を通して届け出る
- 年金:国民年金は、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所・町村役場へ
- 雇用保険:会社から届く離職票を持って、住所地のハローワークで求職の申込みをする。受給できる期間は、原則として離職の翌日から1年間
- 住民税:退職時に勤務先へ一括で納める方法を申し出るか、自治体から届く納付書で自分で納める
- 書類を確かめる離職票・喪失の書類
- 健康保険を選ぶ国保14日・任意継続20日
- 国民年金へ14日以内
- 求職の申込み離職票を持って
期限の短いものから順に、動いていこう。
健康保険の三つの選び方と、それぞれの分かれ目
協会けんぽの案内では、退職後に選べるのは、協会けんぽの任意継続、市区町村の国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者、の三つです。勤め先が健康保険組合や共済の人は、条件や額が違うことがあるため、加入していた組合に確かめます。
任意継続は、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あることが条件です。「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を、住所地の都道府県の協会けんぽ支部へ、退職日の翌日から20日以内に出します。20日目が土日祝のときは翌営業日で、郵送は20日以内の必着です。最初の保険料を納期日までに納めないと、任意継続被保険者にならなかったものとみなされます(健康保険法37条。保険者が正当な理由を認めたときを除く)。
任意継続の加入期間は2年間です。保険料は、退職時の標準報酬月額に、住んでいる都道府県の保険料率(子ども・子育て支援金率を含む)をかけて決まり、在職中の2倍になるのが基本です(事業主が負担していた分も本人が払うため)。2026年4月からは、子ども・子育て支援金が保険料に上乗せされています。ただし、標準報酬月額が32万円を超えていた場合は、32万円で計算する上限があります。40〜64歳は、介護保険料が加わります。被扶養者の分の保険料はかかりません。
国民健康保険は、市区町村の国保窓口に、資格を取得したときから14日以内に届け出ます。保険料は、世帯の人数や前年の所得などで決まり、市区町村によって違います。退職後に入るときの添付書類は、「健康保険資格喪失証明書(退職した会社が発行)」か「健康保険の資格喪失確認通知書(日本年金機構が発行)」のどちらかです。両方が協会けんぽ沖縄支部の案内に並べて書かれています。必要な書類は市区町村で違うので、会社に出してもらえるかを、退職前に聞いておきます。
任意継続(協会けんぽ)
退職日の翌日から20日以内の申出。2年間。保険料は退職時の標準報酬月額が基本で、上限がある。途中でやめたいときは、本人が申し出る(受理された月の末日に資格を失う)。
国民健康保険(市区町村)
資格取得から14日以内に窓口へ。保険料は世帯の人数や前年の所得などで、市区町村ごとに決まる。離職理由によっては、軽減を受けられる場合がある。
軽減とは、厚生労働省が案内している「非自発的失業者」への制度です。対象は、雇用保険の特定受給資格者(倒産・解雇などによる離職)と特定理由離職者(雇い止めや、正当な理由のある自己都合による離職など)で、前年の給与所得を30/100として保険料を算定します。期間は、失業した時点からその翌年度末までです。どちらに当たるかは離職票の離職理由で判定されるため、自己都合の退職は対象外と決まっているわけではありません。市区町村の窓口に、離職票を持って確かめます。
家族の扶養に入る場合は、家族の勤務先で手続きをします。年間収入が130万円未満(60歳以上などは180万円未満)が原則で、収入は過去の実績でなく、認定される時点以降の年間の見込みで見られます。同居なら、本人の収入が家族の収入の2分の1未満であることも条件です。家族の加入先が健康保険組合や共済のときは、運用が違うことがあるので、その加入先に確かめます。そして、雇用保険の基本手当の日額が3,612円以上になる支給が始まるときは、扶養を外れる届出が必要、と日本年金機構が案内しています。基本手当をもらう見込みのある人は、日額を知ってから決めます。
| 選び方 | 手続き先 | 期限 | 保険料の決まり方 |
|---|---|---|---|
| 任意継続 | 協会けんぽの支部 | 退職日の翌日から20日以内 | 退職時の標準報酬月額が基本(上限あり) |
| 国民健康保険 | 市区町村の窓口 | 資格取得から14日以内 | 世帯の人数・前年の所得などで決まる |
| 家族の扶養 | 家族の勤務先 | 家族側の届出は事実発生から5日以内 | 本人の保険料はかからない(収入などの条件あり) |
期限と条件は2026年10月時点の公的な案内です。実際の期限は、窓口で確かめてください。
どれが安いかは世帯で変わるから、金額を窓口で聞いてみよう。
国保と任意継続、両方の見積もりを聞いてから決めよう。
期限のある話が続いたから、頭がぎゅっとなるよね。
年金・雇用保険・住民税は、窓口も数え方も別々
国民年金は、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所・町村役場へ「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を出します。基礎年金番号を確認できる書類(基礎年金番号通知書や年金手帳)か、マイナンバーカードを用意します。退職直後に手続きするときは、厚生年金の資格を失った日を証明する離職票などが必要になることがある、と案内されています。月の途中で退職したときは、たとえば4月15日の退職なら、4月16日から第1号被保険者になります。配偶者の扶養に入る場合(第3号)は、配偶者の勤務先を通して書類を出すため、自分で市区町村へ行く手続きではありません。
保険料の支払いが難しいときは、失業などの事実が確認できれば、前年の所得にかかわらず、免除や納付猶予を受けられる特例があります。退職した人の前年所得はゼロとして審査され、世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下であれば対象になります。離職票のコピーなどが書類になるので、ハローワークに出す前に、コピーを手元に残しておきます。詳しくは国民年金の切り替えと免除で扱います。
雇用保険の基本手当は、離職の日以前の2年間に、被保険者期間が通算12か月以上あることが原則の条件です(特定受給資格者・特定理由離職者は、離職前の1年間に6か月以上)。ハローワークで求職の申込みをしたあと、7日間の待期があり、自己都合で辞めた場合は、さらに給付制限があります。2025年4月1日以降の退職は、原則として1か月です(5年以内に2回以上の自己都合退職などでは3か月)。給付が始まるまでに間があくため、その間の保険料と生活費は、先に見込みます。給付制限と受給の手順は失業保険のもらい方に、待つ間の生活費の見込み方は退職後の貯金の必要額の出し方にまとめました。
離職票は、会社が離職日の翌々日から10日以内に手続きをしたあと、会社経由で届きます。届かないときの動き方や、ほかの書類との関係は、退職のときにもらう書類と役割にまとめています。
住民税は、退職したあとも、納め方を決める必要があります。自治体の案内の一例では、退職時に勤務先へ申し出ると、退職までに差し引けなかった税額を、最後の給与や退職手当などからまとめて差し引けます。一括で差し引けない場合は、自治体から届く納付書で自分で納める形になります。時期や期間は自治体で違うため、くわしくは退職後の住民税で見ます。
動き方は、次の職場が決まっているかで変わる
日本年金機構の転職向けの案内は、次の会社に入るまで期間が空くときに、自分で国民年金(第1号被保険者)の加入手続きをする、と説明しています。
- しばらく休んでから探す:健康保険(任意継続か国保)、国民年金、ハローワークの三つが、いずれも自分の手続きになる。期限のある順に、退職日の翌日から数える
- 次の職場がすぐ決まっている:新しい勤務先で健康保険と厚生年金に入る手続きになる。空白があるときだけ、国保・国民年金の手続きが必要になる。住民税の納め方は、退職時に確かめる
- 家族の扶養に入る:家族の勤務先を通して、被扶養者の届出をする。収入の条件と、基本手当をもらうときの扱いを、先に確かめる
病気やけがで働けない場合は、また別の制度が関わります。健康保険の傷病手当金は、退職後も条件を満たせば続けて受けられることがあり、任意継続に入ってから発生した病気は対象外です。退職前の通院や書類の準備は退職前の健康診断・通院のしかたで、ボーナスや退職金の時期は退職金・ボーナスの時期の考え方で扱います。
全体が見えると、少し肩の力が抜けるよね。
まずは、退職日の翌日の日付だけでも、書いておこうか。
よくある質問
退職後は、任意継続と国保のどちらにすればよいですか?
どちらが安いかは、世帯の人数や前年の所得、住んでいる地域で変わるため、一概には決められません。協会けんぽの支部と市区町村の窓口で、保険料の見積もりを聞いて見比べます。
失業保険(基本手当)をもらっているあいだ、家族の扶養に入れますか?
基本手当の日額が3,612円以上の支給が始まるときは、扶養を外れる届出が必要と案内されています。家族の勤務先の健康保険の運用も確かめてください。
退職後の手続きの期限に、間に合わなかったらどうなりますか?
任意継続の申出は、保険者が正当な理由を認めると、期限を過ぎても受理されることがあります。国保や国民年金も、遅れたときの扱いは窓口で確かめられます。気づいた時点で、早めに窓口へ連絡してください。
出典・参考(公的な情報)
- 任意継続(給付と手続き)(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 任意継続の資格の喪失について(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 健康保険法(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 国民健康保険の加入・脱退について(厚生労働省)
- 国民健康保険の保険料・保険税について(厚生労働省)
- 退職後に市町村の国民健康保険に加入する場合の取扱い(協会けんぽ沖縄支部)
- 被扶養者の認定と届出(家族を被扶養者にするとき)(日本年金機構)
- 国民年金に加入するための手続き(日本年金機構)
- 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(日本年金機構)
- 転職をご検討中の方へ(国民年金の加入、保険料免除・納付猶予制度)(日本年金機構)
- 基本手当について(ハローワークインターネットサービス(厚生労働省))
- 雇用保険の具体的な手続き(ハローワークインターネットサービス(厚生労働省))
- Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~(厚生労働省)
- 退職後の住民税の支払いについて(自治体の案内の一例)(鹿児島市)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
つぎに読む
この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。