解雇・退職勧奨
看護師がクビ・解雇と言われたら。その日の動き方と相談先
更新 2026年10月23日読むのに約6分
突然「辞めてほしい」「解雇だ」と言われると、頭が真っ白になり、その場で何か答えなければと焦ってしまうものです。この記事では、その場で決めなくてよいことと、確かめる順番、相談先を、公的な説明に沿って整理します。
突然そう言われたら、心臓がばくばくするよね。
整理できるところから、順番に見ていこう。急がなくていいよ。
「辞めてほしい」と言われたら、まず言葉の種類を分ける
「辞めてほしい」と言われても、法律上の意味は、言い方によって違います。大きく分けると、会社が一方的に契約を終わらせる「解雇」と、辞めてほしいとお願いされる「退職勧奨」です。
退職勧奨は、応じるか断るかを、自由に選べます。その場で承諾する必要はなく、厚生労働省も、社会通念上相当と認められる範囲を超えた退職強要は違法とされる、と説明しています。一方、解雇には、法律で、予告や理由などの条件が決められています。
どちらなのか曖昧なまま、書類に署名したり、「分かりました」と口にしたりすると、合意による退職の話が進んでしまうことがあります。厚生労働省は、会社が退職を承諾したあとは、撤回に会社の同意が要る、と説明しています。
- その場で答えない署名・承諾は持ち帰る
- 言われたことを書く日時・場所・言った人・言葉
- 書面を求める解雇の通知・理由
- 日数を確かめる30日前の予告か、手当か
- 窓口に相談する総合労働相談コーナーなど
全部その日にやらなくていいよ。順番だけ、頭の隅に置いておこう。
言われたことは、日時・場所・言った人・言葉を、その日のうちにメモに残します。あとから、メールで「本日の話の内容を、書面かメールでいただけますか」と確認する方法もあります。経過が残っていると、相談窓口に話すときにも、伝わりやすくなります。
解雇に、法律が求めている条件
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効、と労働契約法16条に定められています。会社が「解雇」と言えば、それだけで有効になる、という仕組みではありません。
労働基準法20条は、解雇するときは、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うよう定めています。予告の日数は、平均賃金を支払った日数分だけ短縮できます。天災事変で事業の継続が不可能な場合や、労働者の責に帰すべき事由による解雇には例外があり、労働基準監督署長の認定が要ります。
解雇が禁止されている期間や理由もあります。
- 仕事が原因のけが・病気で、療養のため休業している間と、その後30日間(労働基準法19条)
- 産前産後の休業の間と、その後30日間(同条)
- 妊娠・出産、産前産後休業の請求・取得などを理由とする解雇(男女雇用機会均等法9条)。妊娠中・産後1年以内の解雇は、事業主が妊娠等を理由とする解雇でないと証明しない限り無効
- 労働基準監督署に、法律違反を申告したことを理由とする解雇(労働基準法104条)
- 育児休業・介護休業などの申出や取得を理由とする解雇(育児・介護休業法)
病気やけがで休んでいる場合は、それが仕事によるものかどうかで、19条が使えるかが変わります。仕事とは関係のない病気での休職は、19条の対象ではありません。例外として、打切補償を払う場合や、天災で事業の継続が不可能な場合があります。
| 言われたこと | 考えられる意味 | 最初の動き |
|---|---|---|
| 明日から来なくていい | 解雇の意思表示の可能性 | 書面と理由を求める。署名しない |
| 自分から辞めてくれないか | 退職勧奨(応じるかは自由) | その場で返事をしない |
| 試用期間だから | 14日を超えると、予告が必要 | 入職からの日数を確かめる |
| 契約期間の途中で辞めろ | 期間中の解雇には、やむを得ない事由が必要 | 契約書の期間を確かめる |
一般的な整理です。個別の判断は、相談窓口で確かめます。
言われ方で、動き方が変わるんだね。迷ったら、窓口に聞いてみよう。
ここで、ちょっと息をつこう。難しい言葉が続いたね。
いま大事なのは、その場で決めないこと。それだけ覚えておけば足りるよ。
予告・理由・書類。会社に求められるもの
解雇の予告をされた日から退職の日までの間に、解雇の理由について証明書を請求すると、会社は遅滞なく交付しなければなりません(労働基準法22条2項)。退職したあとも、退職の事由(解雇の場合は理由を含む)について、証明書を請求できます(同条1項)。証明書には、請求していない事項を書いてはならないとされています(同条3項)。
解雇とのことですが、理由を書面でいただけますか。今日はこの場で、返事はできません。
その場で書面を求めるときの一言
予告が、日付の入った書面やメールで来ているかも確認します。予告手当を払う場合の平均賃金は、基本として、直近3か月の賃金の総額を、その期間の総日数で割った額です(最低保障もあります)。金額の見込みは、給与明細を持って窓口で聞くと、話が進みやすくなります。
試用期間中でも、労働契約はすでに成立していて、14日を超えて働いたあとの解雇には、30日前の予告か手当が必要になります(労働基準法21条)。中央労働委員会(厚生労働省)の説明では、試用期間中の解約も、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と是認されるものでなければなりません。有期契約の途中の解雇には、やむを得ない事由が要ります(労働契約法17条1項)。
懲戒解雇は、就業規則に、その事由が定められている必要があると、厚生労働省は説明しています。就業規則に書かれた事由に、実際の出来事が当たるのかを、書面と照らして確認します。
解雇のあと:離職票の理由と、雇用保険
解雇のあとの生活費の支えになるのが、雇用保険の基本手当です。待期のあとに1か月などの給付制限がかかるのは、正当な理由のない自己都合退職の場合です。解雇の場合に、どの区分になるかは、ハローワークが、離職票と本人・事業主の主張を確認して決めます。自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)とされると、給付制限が3か月になる場合があります。
離職票の離職理由の欄が、実際と違うときは、受給手続きの際に、ハローワークの担当者に伝えます。解雇の通知や、理由を書いた書面があれば、持参します。決定に不服がある場合は、ハローワークを管轄する都道府県労働局の雇用保険審査官に、処分を知った日の翌日から3か月以内に、審査請求ができます。
日数や金額の見込みは、失業保険の試算で、手続きの順番は、失業保険のもらい方で確かめられます。離職票・源泉徴収票など、離職後の書類は、退職でもらう書類の一覧にまとめています。
相談先と、ひとりで抱え込まないための動き方
平日の昼間は、都道府県労働局や労働基準監督署内の「総合労働相談コーナー」が使えます。予約不要・無料で、専門の相談員が面談か電話で対応します。解雇などの個別の労使トラブルについて、助言・指導やあっせんの案内もあり、法律違反の疑いがあるときは、労働基準監督署の担当部署へ取り次がれます。反対に、自分は辞めたいのに辞めさせてもらえない場面は、辞めたいのに辞められないときにまとめています。
夜間や休日に話したいときは、厚生労働省の委託事業の電話相談(労働条件相談ほっとライン)もあります。窓口ごとの違いと選び方は、労働相談の窓口の選び方にまとめています。
気持ちが追いつかないときは、悩み全般を聞く「よりそいホットライン」(0120-279-338。24時間・無料)もあります。労働相談専用ではないので、仕事の法律の話は、上の2つと分けて使います。
解雇が有効かどうか、請求できる金額がいくらかといった判断は、個別の事情で変わります。この記事では判断できないので、必要に応じて、弁護士などの専門家に相談します。
つらさが強くて、眠れない日が続くときは、つらいときの窓口もあります。
ひとりで受け止めるには、重たい話だったよね。
電話でも、聞いてもらえる窓口があるよ。使えるものは、使っていいからね。
よくある質問
「明日から来なくていい」と言われたら、すぐ辞めたことになりますか?
解雇の意思表示の可能性があり、労働基準法20条の予告か手当が問題になります。その場で返事や署名をせず、書面と理由を求めて、総合労働相談コーナーなどに相談します。
自分から辞めるように言われたとき、断れますか?
退職勧奨は、応じるか断るかを自由に選べると、厚生労働省は説明しています。その場で承諾する必要はありません。持ち帰って、相談先で確かめます。
解雇予告手当は、いくらもらえますか?
30日分以上の平均賃金が基本です。平均賃金は、直近3か月の賃金の総額を、その期間の総日数で割る形で、最低保障もあります。給与明細を持って、窓口で確認します。
出典・参考(公的な情報)
- 労働契約法 第3条・第8条・第16条・第17条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法 第5条・第12条・第15条・第16条・第19条・第20条・第21条・第22条・第24条・第64条の3〜第66条・第104条・第106条・第137条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 男女雇用機会均等法(妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止、母性健康管理)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 退職、解雇、雇止めなど(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- 社長から突然解雇を告げられました。労働基準法上問題はない?(確かめよう労働条件Q&A)(厚生労働省)
- 個別あっせん事例 [9] 試用期間中の解雇(中央労働委員会(厚生労働省))
- 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要(ハローワークインターネットサービス(厚生労働省))
- Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~(厚生労働省)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 労働条件相談「ほっとライン」(厚生労働省)
- 電話相談窓口(よりそいホットライン ほか)|まもろうよ こころ(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。