不調のサインと受診
看護師の燃え尽きかも?と思ったとき。セルフチェックと休み方の順番
更新 2026年10月23日読むのに約6分
仕事のことを考えると体が重く、患者さんや同僚の声まで遠く感じる。そんな日が続くと、燃え尽きかもしれないと不安になります。WHOの定義に沿った振り返りメモと、休み方の順番をまとめました。
出勤前の玄関で、靴を履く手が重い日ってあるよね。
そんな朝が続いていたのかもしれないね。ゆっくり読んでいこう。
「燃え尽き」という言葉は、何を指しているのか
燃え尽き(バーンアウト)は、日常でもよく使われる言葉です。WHO(世界保健機関)は2019年5月に、国際疾病分類 ICD-11 の説明の中で、燃え尽きを次のように位置づけました。原文は英語で、以下は当サイトによる要約です。
「うまく対処されてこなかった、慢性的な職場のストレスから生じる症候群」。WHO は、その特徴を3つ挙げています。
- エネルギーが尽きた、疲れ果てたという感覚
- 仕事から心理的な距離ができる。または、仕事に対して否定的・皮肉な気持ちが増える
- 仕事での有効性(役に立てているという感覚)が下がる
WHO は、この言葉を職業の場面の現象に限って使うもので、生活のほかの領域の経験には当てはめない、と書いています。発表の見出しも、『職業上の現象(occupational phenomenon)』という言い方です。この記事でも、診断のための言葉としてではなく、いまの状態を言葉にする手がかりとして使います。
看護の仕事には、夜勤や責任の重さなど、ストレスの元になる場面が並びます。厚生労働省の令和7年の労働安全衛生調査(実態調査)では、現在の仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスがあると感じる労働者は67.5%でした。その内容(主なもの3つ以内)は、『仕事の量』と『仕事の失敗、責任の発生等』が39.5%で並んで最も多く、『対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)』32.9%、『仕事の質』30.7%と続きます。常用労働者10人以上の民営事業所で働く全職種の数字で、看護師だけの数字ではありません。それでも、重さの出どころを、自分の弱さだけでなく仕事の側にも探してよい、という手がかりにはなります。
三つの特徴を、自分の場面で振り返る
ここからは、セルフチェックというより、振り返りのメモです。点数をつけて判定する形にはしていません。公的に確かめられた尺度が今回は見つからなかったため、民間や研究で使われる質問票の項目も使いません。WHO が挙げた3つの特徴に、最近の自分の場面を当てはめて、言葉にするだけのものです。
4つ目の項目は、WHO の言葉が職業の場面に限られているために入れています。仕事の場面にだけ重さが強く出ているのか、休みの日や仕事以外の場面にも広がっているのかは、誰かに相談するときに、状態を伝える大事な手がかりになります。
仕事以外の場面にも広がって、気分の落ち込みや日常生活への大きな支障が続くときについて、国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイトは、自己判断せず、総合病院の精神科、心療内科、精神科クリニックなどに相談するよう案内しています(うつ病の説明ページ)。かかりつけの内科医や、保健所・精神保健福祉センターも利用できるとされています。「燃え尽き」という名前がつくかどうかより、日常生活への支障が続いているかを見る、という考え方です。
- 夜勤明けの回復の遅さ
- 仕事の量
- 責任のある場面
- 休めた日
- 話せる相手
- 相談できる窓口
重さだけを見ないで、支えも並べてみよう。
書き出すと、頭の中のもやもやに、輪郭がつくよ。
休み方の順番を、先に決めておく
燃え尽きかもしれないと思っても、いきなり大きな決断をする必要はありません。順番を決めておくと、判断が極端になりにくくなります。
- 1. 睡眠と休日を確保する。厚生労働省の『健康づくりのための睡眠ガイド2023』(2024年2月)は、成人は6時間以上を目安に、個人差を踏まえて必要な睡眠時間を確保するとしています
- 2. 2週間、休みの日に回復できるかを見る(上のメモの続き)
- 3. 回復しないときは、話す相手を一人決める(上司・産業医・かかりつけ医・窓口)
- 4. 仕事の側で動かせるものを、1つだけ上司に聞く(夜勤の入り方、担当の量など)
- 5. それでも難しいなら、休職や通院の段取りを調べる
1つ目について、同じガイドは、睡眠の不調や休養感の低下があるときは生活習慣の見直しが大切だが、病気が潜んでいる可能性にも留意する、と書いています。眠れない、休んでも回復しないといった症状が続き、日中の生活に影響しているなら、速やかに医師に相談する、という案内です。
仕事の側にも目を向けます。日本看護協会の『就業継続が可能な看護職の働き方の提案』(2021年3月)は、スウェーデンの研究として、夜勤・交代制勤務をする人は、そうでない人より疲労を1.75倍、不眠を2.75倍引き起こしやすいと紹介しています。外国の研究で、日本の看護職の数字ではないため、そのまま当てはめることはできません。ただ、疲れの重さが気持ちの弱さだけでなく、勤務の組み方にも関わる、と考える材料になります。
職場の中では、産業医やストレスチェックの面接指導も相談の入口になります。仕組みと、結果が職場にどう扱われるかはストレスチェックの記事にまとめました。
4つ目の「仕事の側で動かせるもの」は、燃え尽きの3つの特徴に合わせて考えると、上司に頼むことを具体的にできます。エネルギーが尽きた感じが強いなら、夜勤の回数や連続勤務の並びを。患者さんとの距離が遠く感じるなら、受け持ちの人数や、重症の患者さんが続く配置を。役に立てていない感じが強いなら、できている仕事を確かめる短い面談を。全部ではなく、いちばん重い1つから頼みます。
休むことを考えるときは、職場の就業規則で、休暇と休職の扱いを確かめます。休職の流れは休職を考えたときの流れに、通院と勤務を両立させる段取りは通院しながら働く段取りにまとめています。
最近、休みの日も疲れが抜けず、仕事中に集中が続きません。夜勤の入り方も含めて、一度相談させてください。
上司や産業医に切り出すときの例
ひとりで抱えないための窓口
職場の相談先が使いにくいときは、働く人向けのこころの耳など、公的な窓口があります。番号と受付時間、24時間つながる窓口は、メンタルの相談窓口の早見表にまとめています。
窓口に話すときは、上で書いた振り返りメモが、そのまま説明の材料になります。いつごろから、どの特徴が強いか、仕事以外の場面にも広がっているか、の3点を伝えれば、相手も状況をつかみやすくなります。疲れの出どころを睡眠の面から探すときは、疲れたと感じる日の整理も使えます。
読み終えたところで、ひと息ついてみて。今日は、メモの1行目だけ書いてみない?
よくある質問
燃え尽き症候群は、病気ですか?
WHO は ICD-11 で、燃え尽きを職業に関連する現象として説明し、生活のほかの領域には使わないとしています。病気かどうか、治療が要るかどうかは、医師が診察して決めることです。
セルフチェックで、燃え尽きだと分かりますか?
分かるとは言えません。この記事のメモは、点数で判定する形ではなく、自分の場面を言葉にするためのものです。つらさが日常に出ているときは、医師や窓口に相談してください。
燃え尽きたら、休職したほうがいいですか?
休職するかどうかは、医師の意見と、職場の就業規則の定めをもとに決めることで、この記事では決められません。まず睡眠と休日を確保し、2週間ほどで回復するかを見て、回復しないときは医師や職場に相談する、という順番で考えます。
出典・参考(公的な情報)
- Burn-out an "occupational phenomenon": International Classification of Diseases(2019年5月28日)(世界保健機関(WHO))
- 令和7年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況(厚生労働省)
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)
- 就業継続が可能な看護職の働き方の提案(2021年3月)(公益社団法人 日本看護協会)
- うつ病(こころの情報サイト)(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。