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免許の基本

看護師の免許取り消しの条件。戒告・業務停止・取消しの違いと手続き

更新 2026年10月23日読むのに約6分

免許取り消し、という言葉は強く響くので、届出を忘れただけで失う話のように聞こえてしまうことがあります。この記事では、法律に書かれている範囲で、取り消しの条件と手続きの順番を整理します。

「免許取り消し」って言葉は、読むだけで胸がどきっとするよね。

「取り消し」と「更新されない」は、別の話

看護師免許について調べると、「取り消し」「失効」「更新」といった言葉が入り混じって出てきます。まず、言葉の意味をそろえておきます。取り消しは、保健師助産師看護師法(以下、保助看法)14条1項が定めている処分の一つです。看護師・保健師・助産師の免許は厚生労働大臣が与えるので、処分も厚生労働大臣が行います。准看護師の免許は都道府県知事が与えるもので、処分も都道府県知事が行います(14条2項)。免許の種類による違いは、准看護師と看護師の違いで整理しています。

一方、「更新」は別の仕組みです。保助看法の本則には、免許の「更新」や「有効期間」という語が出てきません。看護師免許は、期限が来たら自然に切れるものとして定められていない、ということです。その代わりに、業務に従事している人には、2年ごとの届出があります。届出の期限や対象は免許の更新と届出の違いにまとめたので、この記事では取り消しだけを扱います。

つまり、「手続きを忘れて、いつの間にか免許がなくなった」という話と、「取り消し」とは、別の問題として切り分けられます。取り消しは、次の章で見る事由に当たり、さらに所定の手続きを経たうえで行われる処分です。

条文にある三つの処分と、きっかけになる事由

保助看法14条1項は、看護師などが、9条の各号のいずれかに当たるに至ったとき、または品位を損するような行為があったときに、厚生労働大臣が、次の三つの処分のうちのどれかをすることができる、と定めています。

  • 戒告
  • 3年以内の業務の停止
  • 免許の取消し

ここに出てくる9条の各号は、次の四つです。

  • 罰金以上の刑に処せられた者
  • 1号に当たる人を除き、保健師・助産師・看護師・准看護師の業務に関し、犯罪または不正の行為があった者
  • 心身の障害により業務を適正に行うことができない者として、厚生労働省令で定めるもの
  • 麻薬、大麻またはあへんの中毒者

免許を受ける前(9条)

この四つのどれかに当たる人には、免許を与えないことがあります。免許を申請する段階の話です。

免許を受けたあと(14条)

免許を受けたあとに、この四つに当たるに至ったとき、または品位を損するような行為があったときに、三つの処分のどれかが選ばれることがあります。

条文の書き方にも注意が要ります。14条は、処分を「することができる」と書いています。四つの事由のどれかに当たれば自動的に取り消される、とは書かれていません。戒告、3年以内の業務停止、免許の取消しという段階があり、どれが選ばれるかは、次の章で見る手続きを経て決まります。

どの行為なら何年の停止、という基準は、条文には書かれていません。医道審議会の看護倫理部会がまとめた「保健師助産師看護師の行政処分の考え方」(2005年改正)は、処分の内容は法定の量刑を参考にし、事案の重大性、看護師等に求められる役割、社会に与える影響などの観点から、個別に判断すべきものとしています。

実際の処分の例は、部会の議事要旨で公表されています。2026年9月28日の部会では、保健師・助産師・看護師29名の諮問に対し、22名を行政処分、7名を行政指導(厳重注意)とする答申でした。処分の内訳は、免許取消3名(傷害、強制わいせつなど)、業務停止16名(3年から2か月まで。道路交通法違反や過失運転致傷、窃盗、暴行など)、戒告3名です。勤務の外での交通事故や暴行でも処分の対象になっていることが分かります。元看護師2名については、再免許の付与は不適当とされました。

条文の言葉は、ひとつずつ書き留めながら読むと、迷子になりにくいよ。

処分が決まるまでの手続きと、処分のあとにあること

15条は、厚生労働大臣が免許の取消しまたは業務の停止の処分をしようとするときは、あらかじめ医道審議会の意見を聴かなければならない、と定めています。准看護師の場合は、都道府県知事が、准看護師試験委員会の意見を聴きます。処分を受ける人については、意見の聴取や弁明の機会に関する規定も置かれています。

処分のあとには、再教育研修の仕組みがあります。15条の2は、戒告または業務停止の処分を受けた人と、再免許を受けようとする人に、倫理の保持または必要な知識・技能に関する研修を受けるよう命ずることができる、と定めています。研修を修了した旨は、免許の籍に登録されます(保助看法施行令2条1項6号)。この命令に違反した場合は、50万円以下の罰金の対象です(45条)。

業務停止の期間中に業務を行った場合の罰則も、条文にあります。6か月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金です(44条の3)。古い解説にある「懲役」は、2025年の刑法改正を反映した現行の条文では「拘禁刑」になっています。

処分の流れと、取消し後の道(14〜15条の2)
  1. 事由に当たる9条の各号、または品位を損する行為
  2. 医道審議会の意見取消し・停止の前に聴く(15条)
  3. 三つの処分戒告・3年以内の停止・取消し(14条)
  4. 研修・再免許再教育研修(15条の2)・再免許(14条3項)

矢印は、条文に書かれた手続きの並びを示したものだよ。

取り消されたあとの道も、条文に書かれています(14条3項)。取消処分を受けた人でも、その理由となった事項に当たらなくなったときなど、再び免許を与えるのが適当と認められるに至ったときは、再免許を与えることができます。ただし、9条1号・2号に当たる事由、または品位を損するような行為で取消しを受けた人のうち、処分の日から5年を経過していない人は、再免許の対象から除かれます。

手続きの名前が続いたね。順番だけ覚えておけば大丈夫だよ。

よくある誤解を、条文に戻して見る

「取り消し」の話は、うわさや不安が先に走りやすい分野です。ここでは、よく聞く不安を三つ取り上げて、条文でどこまで言えるかを確かめます。

一つ目は、「届出を忘れたら、免許が取り消されるのか」という不安です。2年ごとの届出は33条が定めていて、これに違反した場合に書かれているのは、50万円以下の罰金です(45条)。条文が、届出の違反そのものを取消しの事由として挙げているわけではありません。ただし、14条には「品位を損するような行為」という幅のある言葉もあり、何が当たるかは条文だけでは言えません。届出は、期限内に済ませておくと安心です。

二つ目は、「看護師として働いていない期間が長いと、免許が消えるのか」という不安です。本則に有効期間の定めがなく、働いていない期間があること自体を理由とする取消しは、9条・14条の条文には出てきません。ブランクがある人の復職の進め方は、ブランクのある看護師の復職準備で別に整理しています。

三つ目は、「心の不調や病気で休むと、免許に響くのか」という不安です。9条3号は、「心身の障害により業務を適正に行うことができない者として、厚生労働省令で定めるもの」と書いています。病名や状態を条文が一律に決めているわけではなく、省令に委ねています。施行規則1条は、視覚・聴覚・音声機能・言語機能・精神の機能の障害により、業務を適正に行うのに必要な認知・判断・意思疎通を適切に行うことができない者、と定めています。病気で休むこと自体が当たるという書き方ではありません。休むかどうかを考えるときは、制度の心配より先に、体と心の状態を見てください。つらさが続くときの相談先は、つらいときの窓口にあります。

不安が残ったときに、確かめる順番

取り消しの条件を知っても、自分のことに当てはめると、不安が残ることがあります。条文の言葉と自分の状況を、一人で結びつけると、悪いほうに読んでしまいがちです。次の順番で、一つずつ確かめてみてください。

不安が出たときの確かめ方

氏名変更や免許証の再交付など、免許の手続きそのものは免許番号の探し方・紛失・氏名変更の手続きにまとめています。

知っておくのは、備えるためだよ。不安が残ったら、窓口に話すだけでも十分だからね。

よくある質問

看護師免許は、どんなときに取り消されますか?

保助看法14条1項は、9条の各号に当たるに至ったとき、または品位を損するような行為があったときに、戒告・3年以内の業務停止・免許の取消しの処分をすることができると定めています。どの行為がどの処分になるかの基準は、条文には書かれていません。

免許が取り消されると、二度と看護師になれませんか?

14条3項に、再免許の規定があります。理由となった事項に当たらなくなるなど、再び免許を与えるのが適当と認められるに至ったときは、再免許を与えることができます。ただし、一定の事由で取消しを受けた人は、処分の日から5年を経過するまで除かれます。

処分は、本人の話を聞かずに決まるのですか?

15条は、取消し・業務停止の処分の前に医道審議会の意見を聴くことを定め、処分を受ける人の意見の聴取や弁明の機会に関する規定も置いています。処分の内容は、事案ごとに個別に判断するとされています。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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