転職の準備
看護師の志望動機の書き方。理由から組み立てる4つの型と職場別の例
更新 2026年10月23日読むのに約8分
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志望動機の欄で手が止まるのは、文章が苦手だからとは限りません。辞める理由・応募先・自分の経験の3つの材料をそろえ、きっかけ→叶えたいこと→選んだ根拠→入ってからの一歩の4つの順に並べると、応募先が変わっても、書き直す所が少なくて済みます。
志望動機の欄って、白いままだと、ペンが止まっちゃうよね。
先に材料を3つ集めると、文はあとから組み立てられるよ。
看護師の志望動機で、読む人が確かめていること
志望動機を読むのは、看護部長や師長、採用の担当者です。読む人が知りたいのは、文章のうまさより、この人が入ったあとに落ち着いて働けそうか、という見通しです。そのために、志望動機の中から、次の3つの問いへの答えを探しています。
- なぜ動くのか:今の職場を離れて、何を変えたいのか
- なぜここなのか:数ある職場の中から、この病院・施設を選んだ根拠
- ここで何をするのか:これまでの経験を、入ってからどう使うのか
書けないときは、この3つのどれかの材料が足りていないことが多いです。理由が定まっていないと1つ目が、応募先を調べていないと2つ目が、経験を振り返っていないと3つ目が、ぼんやりした言葉になります。「理念に共感し」で止まってしまうのは、文才より、材料が手元にないためと考えられます。
辞める理由は、人によってさまざまです。厚生労働省の「令和7(2025)年雇用動向調査」では、転職して入職した人が前の職場を辞めた理由として、女性は「その他の個人的理由」を除くと「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.9%で最も多く、「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.5%で続きました。全産業・全職種の集計で、看護師だけの数字ではありません。
それでも、勤務の条件や人間関係のように、そのまま書くと不満に読まれやすい理由で動く人は少なくない、と読み取れます。理由を隠すのではなく、「次に叶えたいこと」へ向きを変えて書くことが、志望動機の中心の作業になります。
| 問い | そろえる材料 | 集め先 |
|---|---|---|
| なぜ動くのか | 辞める理由を1つ | 診断・今の職場で書いたメモ |
| なぜここなのか | 応募先の特徴を1つ | 求人票・ホームページ・見学 |
| ここで何をするのか | 経験の場面を1つ | 職務経歴書の下書き |
3つのうち、どこが空いているかを先に見てみよう。
書く前に、理由・応募先・経験の材料を1つずつ集める
材料は、たくさん集めるより、1つずつに絞るほうが書きやすくなります。理由が3つも4つも並ぶと、志望動機が不満の一覧のように読めてしまうためです。
理由は、人間関係、夜勤や勤務の組み方、給与、これからのキャリア、責任の重さのうち、いちばん近いものを1つ選びます。迷うときは、「これが解決したら、今の職場に残るか」と自分に聞いてみます。残ると答えた理由が、志望動機の出発点です。理由の整理そのものに時間がかかりそうなら、看護師を辞めたいと感じたときの整理から始めるほうが近道かもしれません。
応募先の特徴は、求人票、病院や施設のホームページにある看護部の方針、見学で見たことから1つ拾います。病床の種類、教育の仕組み、勤務の組み方、地域との関わり方など、ほかの職場と区別できる具体的な点を選びます。求人票の読み方は看護師の求人票の見方、見学の見どころは転職の見学で確かめることにまとめています。
経験の場面は、「いつ・どこで・何をしたか」が分かる出来事を1つ思い出します。受け持ちの調整、退院に向けた支援、後輩への声かけなど、日々の業務の中の一場面で足ります。特別な実績を探さなくても、志望動機は書けます。場面の書き出し方は、看護師の自己PRの書き方と看護師の職務経歴書の書き方が手がかりになります。
経験の場面がなかなか出てこないときは、職務経歴書の下書きツールで、担当した業務や工夫したことを入力してみると、思い出す糸口になります。入力した内容は、使っている端末の中に保存されます。
志望動機の型:きっかけ・叶えたいこと・選んだ根拠・入ってからの一歩
材料がそろったら、4つの部品の順に、1〜2文ずつ並べます。順番を固定しておくと、応募先が変わっても、入れ替える所がはっきりします。
- きっかけ:今の職場で経験したこと、気づいたこと(理由を、出来事として書く)
- 叶えたいこと:次の職場で大事にしたい看護や働き方
- 選んだ根拠:それが、この応募先でなら叶うと考えた具体的な点
- 入ってからの一歩:自分の経験を、入職後にどう使うか
- きっかけ出来事として書く
- 叶えたいこと次に大事にしたいこと
- 選んだ根拠この職場の具体的な点
- 入ってからの一歩経験の使い道
部品ひとつを1〜2文にすると、全体の形が見えてくるよ。
1つ目のきっかけでは、不満を言葉にするのではなく、出来事として書きます。「人間関係が悪かった」ではなく、「相談の場が少なく、判断に迷う場面を一人で抱えることがあった」のように、何が起きていたかを書くと、読む人は事情を想像できます。
2つ目の叶えたいことは、きっかけの裏返しになります。相談の場が少なかったなら、「チームで確かめ合いながら判断できる環境で働きたい」となります。叶えたいことがきっかけとつながっているほど、話の筋が通ります。
3つ目の根拠は、志望動機の中でいちばん差が出る部分です。「教育体制が充実しているから」だけでは、どの病院にも当てはまります。「見学で、新しく入った人に週1回の振り返りの時間があると伺った」のように、その職場で見聞きした点を書きます。4つ目の一歩は、経験の場面をもとに、入ってから役に立てそうなことを、控えめに1文で添えます。
夜勤の少ない人数で、確認が追いつかないまま次の業務に移る場面が何度かあり、手順を一つずつ確かめながら働ける環境で経験を積み直したいと考えるようになりました。見学の際、貴院では与薬の確認を二人で行う流れを丁寧に説明していただき、ここでなら落ち着いて力を出せると感じました。これまでの病棟で身につけた記録の正確さを活かしながら、まずは病棟の流れを早く覚えることから取り組みます。
一般病院の病棟へ応募するときに、4つの部品を順に並べた例
理由の言い換えは、事実を変えずに、向きだけを変える作業です。たとえば、次のような直し方があります。
- 給与が低い → 担ってきた役割と経験が、評価の仕組みに反映される職場で働きたい
- 夜勤がつらい → 体調を整えながら、看護を長く続けられる勤務の組み方を選びたい
- 教えてもらえない → 確かめながら覚えられる環境で、基礎を固め直したい
- 記録が毎日深夜にずれ込む → 業務の流れが整った環境で、ケアそのものに時間を使いたい
言い換えた理由と実際の事情が、ずれないように気をつけます。面接では、言い換えの元になった事情を聞かれることがあるためです。聞かれたときの答え方は、面接での退職理由の話し方で、理由別に整理しています。
クリニックも訪問も気になって、どれから書けばいいか迷う日もあるよね。
応募先が決まっているなら、その職場の記事を1本だけ開けば足りるよ。
職場別の志望動機は、「根拠」と「一歩」を書き換える
4つの部品のうち、きっかけと叶えたいことは、応募先が変わってもあまり変わりません。変わるのは、3つ目の根拠と、4つ目の入ってからの一歩です。
職場別の文例と、その職場ならではの注意点は、次の記事に分けてまとめています。応募先の種類に合う1本から読むと、どこを書き換えればよいかが分かります。
- クリニック:外来が中心で少人数という、病院との違いから根拠を探す。クリニックの志望動機と文例
- 介護施設(デイサービス・老健・老人ホーム):施設の種類によって、看護師の役割が変わる。介護施設の志望動機の例文と型
- 訪問看護:「なぜ病棟ではなく訪問か」を聞かれやすい。訪問看護の志望動機。なぜ訪問か、の書き方
- 診療科・外来・大学病院:共通の骨組みに、科ごとの一文を足す。診療科・外来別の志望動機の書き分け
- 経験のない科:今の経験とのつながりを、どう示すか。未経験の科へ転職するときの志望動機
- 看護学生の就職:実習の場面を材料にする。看護学生の志望動機と面接の答え方
- ブランクからの復職:空白の期間の伝え方と合わせて考える。ブランクの理由の伝え方
職場の種類のほかに、自分の立場によっても、重みを置く部品が変わります。1年目で動く人は、きっかけを短めにし、叶えたいことと学ぶ姿勢を厚めにすると、早い転職の事情が伝わりやすくなります(1年目の転職の見方と動き方)。転職の回数が多い人は、これまでの転職と今回の違いを、きっかけの中で一言添えます(転職回数が多いときの伝え方)。経験の長い人は、4つ目の一歩に、任されてきた役割を具体的に入れると、根拠が強まります(3年目から6年目の転職・40代の転職)。
どこにでも出せる文
「理念に共感し、スキルアップしたいと考えました」。どの応募先にも当てはまるため、選んだ理由が読む人に伝わりにくくなります。
その職場にしか出せない文
「見学で伺った、週1回の振り返りの時間に惹かれました」。応募先で見聞きした事実が入るため、調べたうえで選んだことが伝わります。
種類の違う職場に同時に応募するときは、前半の2つの部品を共通の下書きとして残し、後半の2つだけを応募先ごとに書き分けます。全部を一から書き直すより早く、話の筋もぶれにくくなります。
書いたあとに、履歴書・面接・見学で同じ話にそろえる
志望動機は、履歴書の志望動機の欄、職務経歴書の末尾、面接での質問と、少なくとも3か所に出てきます。書類と面接で話が食い違うと、読む人はどちらが本当かを確かめようとします。書類は短く、面接ではその書類を声にして少しふくらませる、という関係にしておくと、ずれが出にくくなります。欄ごとの書き方は看護師の履歴書の書き方と文例、面接全体の組み立ては転職の面接でよく聞かれる質問、志望動機と並んで聞かれやすい問いは看護観を聞かれたときの答え方にあります。
面接に向けて言葉を整えるときは、面接準備ノートが使えます。ノートには、「転職を考えた理由を教えてください」「どんな職場で働きたいですか」など、よく聞かれる8つの質問に下書きを書く欄があります。この記事の1つ目と2つ目の部品を前者の欄に、3つ目と4つ目を後者の欄に書き写すと、書類と同じ筋で話す準備になります。
同じノートには、退職理由の言い換えの例と、夜勤の回数や教育の体制など確かめたい条件7項目のチェック欄もあり、印刷やPDFでの保存もできます。
志望動機に書いた根拠が、本当にその職場で叶うかは、見学や面接の逆質問で確かめられます。聞き方の例は面接の逆質問と質問例、入る前に条件を書面で見比べる方法は入職前に確かめておきたいことにまとめました。
1週間に分けるなら、たとえば次の進め方があります。勤務の予定に合わせて、日を入れ替えて使います。応募から入職までの全体の流れははじめての転職の5つの段で見渡せます。
- 1日目:材料を3つ書き出す(理由・応募先の特徴・経験の場面)
- 2日目:4つの部品の順に、下書きを1つ作る
- 3日目:応募先に合う職場別の記事を読み、根拠と一歩を書き換える
- 4日目:声に出して読み、言いにくい所や長すぎる文を直す
- 5日目:面接準備ノートに書き写し、確かめたい条件に印をつける
書いている途中で、そもそも辞めるかどうかに迷いが出てきたら、志望動機をいったん置いておくのも一つの方法です。理由がはっきりしないまま書いた文は、面接で深く聞かれたときに、続きが出てきにくいためです。条件の優先順位から考え直すなら、後悔しないための条件の優先順位の決め方が手がかりになります。
下書きは、何度直してもいいものなんだよ。
まずは理由を1行書けたら、もう材料がひとつそろったね。
よくある質問
看護師の志望動機は、何文字くらいで書けばよいですか?
応募先に指定があれば、それに合わせます。指定がない履歴書の欄なら、4つの部品が1〜2文ずつ入り、欄からはみ出さない長さが一つの目安です。面接では、同じ内容を短くまとめて話せるようにしておくと、深掘りの質問にも続けやすくなります。
前向きな転職理由がなくても、志望動機は書けますか?
書けます。不満から動く場合も、何が起きていたかを出来事として書き、そこから次に叶えたいことへ向きを変えれば、志望動機の形になります。事実と違う理由を作る必要はありません。
同じ志望動機を、複数の病院や施設に使い回してもよいですか?
きっかけと叶えたいことは共通にして、選んだ根拠と入ってからの一歩を、応募先ごとに書き換える方法が使いやすいです。根拠まで同じだと、どの応募先にも当てはまる文になり、選んだ理由が伝わりにくくなります。
志望動機と自己PR、退職理由は、どう違いますか?
志望動機は「なぜこの職場か」、自己PRは「自分は何ができるか」、退職理由は「なぜ今の職場を離れるか」に答えるものです。三つは重なりますが、志望動機では応募先の話を中心にし、強みは自己PRに、事情の説明は退職理由の答えに分けると、話がくり返しになりません。
出典・参考(公的な情報)
- 令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。